08 王子様の訪問
引っ越しもほとんど終わり皆さん休憩中。
そこに訪れる訪問者。
子供達が仲良くなるのに時間は必要ありません。
荷物を運び終え、まったりしている面々。
すると呼鈴の音が。
どうやらお客様のようです。
「はいはい。」
タイヨー君がいそいそと玄関に向かい、扉を開けました。
そこにいたのはノルディカさんとアトミック王子、そして4名の騎士。
「これはアトミック王子にノルディカ副騎士団長、こんにちは。」
「やあタイヨー君、久しぶり。スミス王から今日、家の鍵を取りに来たと聞いたのでな。挨拶に伺ったのだ。」
「それはわざわざ有難うございます。アトミック王子もお久しぶりです。1年半ぶりでしょうか。背も伸びましたね。」
「お久しぶりです、タイヨーさん。そうですか?大きくなりましたか?嬉しいです。僕も引っ越しのお手伝いを……と思ったのですが、もう終わったようですね。」
「そんな、王子に引っ越し作業なんてお願いできないですよ。それよりも、せっかく来られたんですからロキシー王女とスコット君に会っていってくださいよ。」
そう言って皆さんを案内しました。
騎士達は王子の護衛で来たそうなので、外で待機しているそうです。
家の中の護衛は……ノルディカさんがいれば十分なんでしょうね。
応接室に入るなりロキシー王女がアトミック王子に抱きつきました。
「久しぶりです、アトミック。大きくなりましたね。」
「お姉様、お久しぶりです……と言うか、皆の前で抱きつかれたりしたら恥ずかしいです。」
ロキシー王女が愕然としました。
「恥ずかしい……と?」
「もうすぐ学校に通う歳ですよ。もう甘える歳ではありません。」
アトミック王子にピシャリと言われてしまいました。
そうです。
子供の成長は早いのです。
ロキシー王女は、まだ実感できていないようですね。
自分が神になって悠久の時を生きる不老不死の存在になった事を。
もっとも世界樹の拠点では、ジロさんの家族以外の面々が皆、歳を取らないのですから感覚が麻痺するのも当然でしょうか。
ガックリと膝をつくロキシー王女を放っといて、アトミック王子は皆に挨拶しました。
「皆様初めまして。私はバートン王国スミス王の長男、アトミックです。どうぞ宜しくお願いします。」
「とても立派な挨拶です。バートン王国も安泰ですね。初めまして、私はユキと申します。世間では白氷竜などと呼ばれています。」
いきなりのドラゴン様の挨拶に驚くアトミック王子。
でもそれ以上にユキ様の美しさに心を奪われてしまったようです。
顔がもう真っ赤になりました。
続いて挨拶するドラゴン様に大精霊様。
神話の世界に登場する面々に興奮気味の王子。
それは少年らしい憧れの眼差しでした。
「うんうん。立派な挨拶だね。私はフリッチと言ってね、スミス王の従兄弟になるんだよ。アトミック王子からすれば叔母になるね。よろしくね。」
「はい。父上から聞いております。よろしくお願いします。」
「そしてこっちが息子のスコットと娘のフラックスだよ。」
「初めまして、アトミック王子。スコットと言います。僕は深緑の森の奥に住んでいたので、同じ歳の友達がいません。学校では同級生になりますので良かったら仲良くしてください。」
「僕と同じだね。僕も王城から出ることが少なく、会うとしても貴族のご子息ばかりで友達と呼べるような関係の人はいなかったんだよ。ぜひ友達になってほしい。僕のことは気軽にアトミックと呼んでほしいな。」
スコット君は、フリッチさんとノルディカさんが微笑み頷くのを確認して、
「うん、分かったよ。アトミック、これからよろしくね。」
と笑顔で言いました。
アトミック王子も、
「こちらこそ!スコット、よろしくね。」
と返して、2人は握手して笑い合いました。
皆、優しい眼差しで、その様子を見ていました。
ただフラックスちゃんはフリッチさんの後ろに隠れてます。
「フラックスちゃん、初めまして。僕はアトミックって言います。よろしくね。」
「……王子さま、初めまして。フラックスです。」
おー、照れてますね。
紅炎様の時とは、また違った反応です。
「フラックスちゃんも僕と仲良くしてほしいな。お兄ちゃんがひとり増えたと思ってくれると嬉しいな。」
微笑むアトミック王子。
爽やか王子スマイル炸裂です。
「分かった!アトミックお兄ちゃん!よろしくね!」
おお!こちらも負けず美少女スマイル炸裂。
あまりの眩しさに皆は目を細めました。
一般人代表のジロさんだけはハラハラしています。
「ふたりとも……相手は王子様なんだからもっと敬語で……」
「ジロさんでしたね。アトミックです。よろしくお願いします。ジロさんも僕の叔父になります。できれば普通に対応してくれると嬉しいです。」
「ハハハ……わかりました。」
ジロさん、顔が引きつってますよ。




