07 引っ越しです
今、明かされるスミス王とフリッチさんの関係。
驚きの事実に驚く皆と青ざめるジロさん。
今回の目的の引っ越しをお忘れなく。
スミス王とフリッチさんがお知り合い?
昔を懐かしむように挨拶する2人に皆が唖然としている中、ロキシー王女が堪らず聞きました。
「お父様。フリッチさんとはお知り合いなのですか?」
「そうか。ロキシーは知らなくて当然かもな……と言うか、フリッチはロキシーに話していなかったのか?」
「まぁそうだね。今更公表しても王家に迷惑がかかるかもしれないからね。なので単なるジロの妻で頼むよ。」
「ちょ、ちょっと待ってくれ!」
思わず声をかけるジロさん。
「いったいどういう事だい?」
「私がハーフエルフなのは知っているだろ?母はエルフで父が人族だ。で、その父なんだけど王家に縁があるんだよ。」
「そうだな、私から説明しよう。」
そう言うと、スミス王は話し始めました。
「私の父……つまり先代の王には実の弟がいたんだ。その人は何というか……自由人とでも言うのか、とにかく王族としては変わり者でな、ある日突然、冒険に出る!と言って王城を飛び出して行ってしまったのだ。そしてエルフの女性と知り合い結婚、生まれた娘がフリッチなんだよ。つまり私の従兄弟だ。」
「子供の頃は先々代の王……お祖父様に会いに時々王城に来ていてね、スミス王ともよく遊んだものだよ。ハハハ!懐かしいねぇ。」
「本当に懐かしいよ。ハハハ!」
笑い合うスミス王とフリッチさん。
驚く皆。
顔面蒼白のジロさん。
「フリッチ、それは本当の話……なんだろうね。と言うと君は王族……」
「やだねぇ。お父さんは王位継承権を放棄しているからね。スミス王とは従兄弟であっても私は王族ではないよ。」
「そうだね。でもお子さん……スコット君だったかな?うちのアトミックと同じ歳で親戚でもある。是非仲良くしてほしいよ。」
するとスコット君は元気に返事をしました。
「はい!スミス王!僕も是非友達になりたいです。」
「ハハハ!元気があってよろしい。なんでも剣も魔法も得意だとか。頼りになる友達が出来ると私も嬉しいよ。」
そう言ってスミス王は笑うのでした。
とても驚きの顔合わせでしたが、本来の目的は引っ越す家を見に行くこと。
忘れてはいけません。
家の鍵をもらうと、皆はそちらに向かって歩き始めました。
「しかし驚いたよね〜ジロさんにそんな秘密があったとは。」
「僕の秘密ではないし、今始めて知ったことだし。もう驚き過ぎたよ。」
「ハハハ!悪かったねぇ。まぁハーフエルフだし王家の血筋だし、あまり公にしたくなかったんだよ。あんた、悪かったねぇ。」
まったく悪びれる様子もなく話すフリッチさん。
ジロさんは深く溜息をつくと、
「まぁ今更しょうがないよね。」
と言って笑いました。
しばらく歩き続けるその道は、お屋敷が並ぶ高級地。
ジロさんは普段来ることがない場所なので、何やら落ち着かない様子。
「なんだか大きなお屋敷ばかり並んでいるけど、本当にこの辺りなのかい?」
「はい、そうですよ。私達も人数が多いですからね、そこそこは広い家を用意してくれました。」
ロキシー王女は簡単に言いますが……
着いたそこに建っているのは、まさにお屋敷でした。
ジロさんもフリッチさんも目を丸くして驚きました。
「随分と立派な家だけど本当にここなのかい?」
「私達みたいな庶民が住むには分不相応な気がするんだけどねぇ……」
でもロキシーは不思議そうに言いました。
「え?そうですか?拠点の世界樹の家よりは、よっぽど普通の家だと思いますが?」
「あ、確かにそうだよね。」
ジロさん達はアッサリと納得しました。
中に入ると、あまりの広さにジロさん達は更に驚きました。
「これは掃除しがいがあるねぇ〜」
フリッチさんは、やる気満々です。
魔法主婦の血が騒ぐようです。
「私もやる気がみなぎってきました。」
そう言うのは執事姿のゲイル。
程々にお願いしますね。
広い家にはスコット君もフラックスちゃんも大喜び。早速探検しています。
「では早速荷物を運びますか?」
ライア様が壁に『木の扉』を作り出し、世界樹の家と繋ぎました。
もうこれで拠点とは行き来自由です。
なんて便利な事でしょう。
でも普段は隠しておいてくださいね。
万が一、お客さんが間違えて木の扉をくぐったら大変ですから。
世界樹のある拠点は秘密の場所なのです。
とはいえ、とっても便利なので、早速生活に必要な物をアレやコレやと運び入れました。
と、その前に大事なことがあります。
部屋割りです。
まず、いちばん広い部屋をジロさん家族に使ってもらうことにしました。
最初は拒んでいたジロさんも、ロキシー王女に説得されて仕方なく了承しました。
次に広い部屋を、ロキシー王女がタイヨー君と使うと宣言したので、その通りに。
何しろロキシー王女のコネで借りた家なので文句は言えません。
小さめの部屋は、他の皆がそれぞれ個室として選びました。
そして今度から学校に通うスコット君も個室になりました。
喜ぶスコット君。
寂しそうなフラックスちゃん。
するとライア様が、
「フラックスちゃんは全員の部屋に来て良いのよ。お兄ちゃんの部屋も、私の部屋も、ディーネの部屋も、ユキ様の部屋も、どこに来ても良いのですわ。」
と言うので、フラックスちゃんはすっかり機嫌良くなりました。
これで新居の準備は完了です。




