55 ノルディカさんとノルディカママ
ロキシー王女の暴走が止まりません。
その影響はとても大きくて。
招かざる者まで来てしまいました。
上機嫌なロキシー王女によってスーリーさんが若々しくなってしまいました。
「凄い……」
「さすが女神様だ……」
「ワシの腰痛も治るかいのぉ……」
エルフ達は皆驚いています。
ロキシー王女が翼を広げ、空に浮かび上がりました。
「まだ〜具合の悪い人いますかぁ〜元気ですか〜!元気があれば何でもできる!1・2・3・それぇ〜」
そういった途端、金色の光が広がりました。
それは深緑の森全体にまで広がります。
「なんという美しい光……」
「とても暖かい……」
「体が軽くなる……」
「何だか若返ったぞ!」
「おお……腰痛が治った!」
皆が喜びあっています。
ロキシー王女は満足したのかフラフラ降りてきたかと思うと、タイヨー君に抱きつき寝息を立て始めました。
「まったく!フラックスちゃんといい、ロキシー様といい!」
ライア様がプンスカです。
ユキ様がゲラゲラ笑い、
「ハッハッハッ!愉快です!最高ですよロキシー様!私も全盛期の力を超える力を得たようですわ。」
などと言ってます。
こちらもかなり酔っていますね。
「しょうがないなぁ〜ロキシーは。村長さん、部屋をお借りしても良いですか?」
「ははは、女神様に休んでいただけるなんて光栄です。是非部屋を使ってください。」
と案内してくれました。
「しかし……」
ゲイル様が周囲を見渡しながら、
「ロキシー様の暴走は凄まじいですな。村のエルフやここにいる精霊たち、森の魔獣達まで元気になりましたぞ。」
と言いました。
「魔獣まで?それは大丈夫ですか?」
ジロさんは心配顔。
「まぁこの場にドラゴンが3体いますから大丈夫でしょうが、強力な魔獣は……などと言っていたらさっそく来ましたね。」
上空遥か遠くに黒い影が見えました。
それは徐々にこちらに近づいてきています。
「あれはワイバーンですな。力を得て調子に乗ってるようです。こちらに挑んでくるようですな。」
「ワイバーンだって!?」
ジロさんが驚愕の表情を浮かべました。
しかし同時に、不気味に笑う声も聞こえてきました。
「ふふふ、やって来ました私の出番。」
ノルディカさんです。
「ふふふ、ノルディカだけには任せられません。」
そう言うのは戦姫ことノルディカママ。
「フェニックスちゃん!ハーピーちゃん!ふたりを上に連れてって!」
フラックスちゃんが頼むと、フェニックスがノルディカさんの上で、ハーピーがノルディカママの上で羽ばたきました。
「あなた達本当に良い子ね。」
そう言うと、ノルディカさんとノルディカママはそれぞれの足に掴まりました。
「さあ!行って!」
フェニックスとハーピーは、競うようにワイバーンに接近します。
ワイバーンに近づいたふたり。
足を掴んでいた手を離し、ワイバーンに突っ込みます。
すれ違う一瞬。
無数の剣の煌めきを残し、ふたりのエルフとワイバーンはすれ違いました。
再びフェニックスとハーピーの脚を掴むふたり。
ワイバーンは形が少しずつ崩れ、バラバラになり始めました。
そこに向けてフェニックスが炎を吐きます。
ワイバーンだった肉片は、焼かれながら落下していきます。
『重力操作』
ゲイル様が落下してきたワイバーン肉をひとまとめにしてバーベキューコンロの上に置くと、
「皆さん、ワイバーンのステーキは如何ですかな?」
と、焼かれたワイバーンを勧めてきました。
呆気にとられるエルフ達。
でもすぐに大喝采。
「すごいぞ!ノルディカ!戦姫!」
「フラックスちゃんの精霊さん達もすごいわ!」
「ワイバーンの肉は最高と聞いてるぞ!」
スコット君は、気になっていた事を祖父のスーリーさんに聞きました。
「おじいちゃん。ノルディカさんのお母さんが戦姫って呼ばれているんだけど、それはなに?」
「ああ、戦姫か。知らなくて当然か。彼女はな、私の兄が国王だった時代の副騎士団長だ。言ってみればノルディカの先輩だよ。」
どおりで強かった訳です。
「それじゃあ僕が挑んでもまったく勝てない訳ですよ。」
そこに戦姫ことノルディカママがやってきました。
「何言ってるの。あなたは先程、私といい勝負をしたじゃない。ノルディカがあなたの年頃の時なんて、一度剣を交えただけでピーピー小鳥の雛のように泣きじゃくっていたんだから。」
「やめてください!ママ!」
笑いながら話す戦姫に、顔を真っ赤にして怒るノルディカさん。
その様子をみたスコット君は微笑んで、
「ノルディカさんは、お母さんの前ではとても可愛らしい人なんですね。」
と言いました。
「忘れてーー!」
ノルディカさん、顔を手で覆い絶叫。
「スコット君、そうなのよ。騎士団では立場があるので周りを寄せ付けない雰囲気を出しているけど、じつはとても女の子らしい娘なのよ。これからも仲良くしてあげてね。で良かったらもらってちょうだい。」
「とても可愛らしい素敵な女性という事はわかりましたが、全ては僕がノルディカさんに勝利してからです。いつか絶対に勝ちます!」
「ふふふ。可愛らしい旦那さま。頑張ってね。」
ノルディカママはスコット君の頭を撫でるのでした。




