54 天使の奇跡
やらかしました、フラックスちゃん。
脅威の精霊召喚発動。
そしてロキシー王女もやらかします。
祖父母のフェノムさんとスーリーさんに、カッコイイところを見せたくなったフラックスちゃん。
「森の精霊ちゃんたち、おいでー」
精霊魔法を発動しました。
地面が光り、魔法陣のような模様が現れます。
まず最初に現れたのは大精霊ドライアド。
ライア様です。
なにしろ、すぐ近くにいたので、すぐに召喚に応じました。
「え?どうしたのです?」
ライア様の質問に、
「森の精霊ちゃんたちを呼んだの。」
と、ニコニコ答えるフラックスちゃん。
地面の魔法陣は、さらに広がりました。
エルフ達は驚いて見てます。
「なになに?この魔法陣は?」
「精霊召喚だ!フラックスちゃんが精霊魔法を発動したぞ!」
「え?こんな大きな魔法陣見たことないわ。」
「エルフでも使える者が少ない精霊魔法を、幼い少女がこの威力で!?」
「凄すぎる!何が出てくるんだ?」
「見てなかったか?最初にドライアド様が召喚されたのを。」
「なにーー!?」
エルフ達の驚きも気にせず、フラックスちゃんの前に精霊召喚に応じた精霊が集まり始めました。
ライア様の次はフェアリーたち。
数体の小さい人の形をして蝶のような羽根を持つ妖精が現れ、フラックスちゃんの周りを楽しそうに飛んでます。
次にトレント。
見た目は樹木ですが歩いています。
次にハーピー。
女性の上半身に、鳥の下半身と大きな鳥の翼を持つ美しいハーピーが、フラックスちゃんの頬にキスをしました。
空に現れたのはフェニックス。
燃える炎のような翼を羽ばたかせてフラックスちゃんの側に降り立ちました。
同じく空から現れたのはペガサス。
白い馬体に白い翼を羽ばたかせ、優雅に舞い降りました。
伝説と言われ、人前に姿を見せることは滅多にない精霊が目の前に勢揃い。
エルフ達は言葉が出ないほど驚いています。
「みんな!来てくれてありがと!」
フラックスちゃんは精霊達を撫で回しました。
「天使だ……」
「天使様が精霊と戯れている……」
「なんと美しい光景だ……」
「天使様が迎えに来たようじゃ……」
「ばあちゃんはまだまだ元気だよ!」
手を合わせ拝むエルフ達。
「これは……いやはや驚いた。」
「ほんとですね。私達の孫が天使だったとは。」
驚くスーリーさんとフェノムさんに、
「私もすごい?」
と無邪気に笑うフラックスちゃん。
そして頭を抱えるライア様。
「フラックスちゃん、一度にこんな精霊を呼び出したらみんなが驚くでしょ。しかもフェニックスにペガサス、あなた達は呼ばれてもまず来ないでしょ?」
「そうなの?」
「そうよフラックスちゃん。フェニックスやペガサスは上位の精霊で、まず召喚には応じないわ。もはや流石としか言いようがないわ。」
ライア様はもう呆れてます。
「でもせっかくのお祭りだからお花が見たい!」
お祭りではないのですがフラックスちゃんがそう言うと、トレントが広場の真ん中に移動しました。
そしてその周りをフェリー達がクルクルと踊りだします。
するとトレントから花が咲き始めました。
それは徐々に大きくなり満開の桜となりました。
「おおー!すごい!」
「花見だ!花見だ!」
「皆、酒だー!桜まつりだ!」
お祭りになりました。
ここからは飲めや歌えやの大騒ぎ。
フェニックスやハーピーもお酒を飲み気持ちよさそうです。
ペガサスは特にフラックスちゃんに甘えています。
「かわいい!」
「ヒヒン♪」
そこに散歩に出ていたユニコーンが帰ってきました。
ユニコーンはペガサスを見て愕然。
何やら近くに行って話してるようです。
ライア様が呆れて、
「もうこうなっては仕方ないですね。精霊たち。今日はあなた達も楽しんでいきなさい。」
と言うと、フェニックスが喜びの咆哮をあげました。
皆が盛り上がっている中、ジロさんは驚きすぎて放心していました。
「ハハハ……伝説級の精霊がこんなにたくさん……」
するとスーリーさんが来ました。
「私の孫はふたりとも凄い子たちだね。」
微笑みながら話しかけます。
「成長が著しすぎて驚いていますよ。あ、お義父さん、冷えたビールをどうぞ。」
ジロさんは持参したビールを差し出しましたが、
「ありがとう、だがすまないね、気持ちだけいただくよ。私も高齢になってね、酒はもう体が受け付けなくなりましてな。」
そう言って寂しそうに笑いました。
「そうですか……申し訳ありません。」
しんみりしたところに、金色の目をした少女がやってきました。
「どーしたんですかぁ〜?しんみりしてますよ〜」
世界樹様が出現しているロキシー王女です。
右手にビールのジョッキを持ちながら。
「いえいえ、体の具合があまり良くありませんで、酒は控えてるのですよ。」
困ったようにロキシー王女に話します。
「なに〜?それはいけませんよ〜!私の酒が飲めないなんて〜!ヒック」
ロキシー王女、絡み酒です。
「それじゃあ〜私が元気にしましょう〜元気があれば何でもできる!」
スーリーさんが金色に輝きました。
「こ、これは!?」
先程まで年老いたスーリーさんでしたが、今、目の前にいるのは、高齢ではあるようですが筋骨隆々のたくましい男性。
「誰ですか!?あなたは!?」
驚くジロさん。
「まぁ!あなた!以前のように若々しくなって!」
抱きつくフェノムさん。
「………ふ……ふふふ」
うつむいていたスーリーさんが顔を上げ叫びました。
「酒だ!酒を持ってこい!」




