51 驚く人々
続く来訪者の紹介。
どの方も驚きの面々。
今回は普通の人代表も驚かれます。
親子の感動の再会。
孫との嬉しい初対面。
今しかない!
意を決して一歩を踏み出したジロさん。
「私は……」
その前にアトミック王子が話始めてしまいました。
「始めまして。スーリーさん。僕はバートン・スミスの息子のアトミックです。スコット君とフラックスちゃんとは親友です。今回の訪問にあたり、父からの手紙をお持ちしました。」
そう言って、王家の紋章が入った手紙を差し出すアトミック王子。
その紋章を懐かしそうに見たあと、アトミック王子をみて、
「そうか、スミスの息子か。幼い頃のスミスにソックリだよ。おじいさんは元気かな?」
と優しい笑顔で尋ねました。
アトミック王子は少し影のある表情で、
「お祖父様は、僕が生まれる前に他界しました。」
と伝えました。
「そうか……兄さん……先に天に召されたか。」
と言って眩しそうに空を見上げました。
そして、
「私の孫と兄さんの孫が親友とは驚いたよ。兄さんが巡り合わせたのかな。」
と微笑みました。
「はい。きっとそうです。僕とスコット君は学校でもクラスメイトで毎日楽しく勉強しています。フラックスちゃんも来年同じ学校に入学するんですよ。」
「そうか、そうか、それは楽しみだね。またあとでゆっくり話を聞かしておくれ。今はまだ精霊様のお話の途中だからね。」
「そうでした。ごめんなさい、ライア様。」
「いいのよ、いいのよ。」
ライア様も号泣していました。
「では、感動の再会のあとで次の人達をご紹介しますが、皆さん気を確かにしてくださいね。」
そう言うと、3人の男女が現れました。
その3人から溢れ出る威圧と気配にエルフの皆は硬直しました。
「……間違いない……この気配は深緑竜様だ……」
「最近あまり見かけなかった深緑竜様が何故ここに……」
「いや、その深緑竜様と一緒にいるのは誰だ?とても美しいのに恐れ多くて直視出来ない……」
エルフや獣人は人族に比べて遥かに気配に敏感です。
相手の持つ力を本能的に感じ取ります。
エルフの皆は死を覚悟するほどの恐怖を感じました。
その様子を見てゲイル様が、
「あぁ……いやいや、別に皆を害そうとかそういう訳では無いから安心して欲しい。今回は皆で観光に来ただけだ。」
そう言って皆を落ち着かせました。
「私の事は皆も知っているかもしれないが深緑竜だ。普段はゲイルと名乗っている。そして後の二人だが……」
「私は獄炎竜と呼ばれている者だ。普段は紅炎と名乗っている。よろしく頼む。」
「私は白氷竜と呼ばれております。普段はユキと名乗っていますわ。私達も観光で来ていますのよ。世界を見て見聞を広げているところですの。よろしくお願いしますわ。」
そう言って微笑むユキ様。
そのあまりに美しい笑顔にウットリする男性達。
ウットリしたまま凍り始めています。
「ユキ様!冷気が漏れてます!」
「あら嫌ですわ。ごめんなさいね。」
と可愛らしくユキ様は謝ります。
「皆さんすみません。ユキ様は決して悪気があってやってる訳ではないので……それが問題なんですが……私はウンディーネのディーネと申します。ライアと同じく北の海の管理者です。」
「世界の頂点に君臨する3体のドラゴン様がこの場に集結している……」
「いや、それに女神様もいるぞ。」
「次期バートン国王まで来られるとは……」
「……さすがドライアド様……」
「さすがドライアド様だ!凄いお方達と懇意にしておられる!」
「エルフの村に祝福を!」
皆が祈り始めました。
「皆さん、落ち着いてください。お賽銭とかお布施とかいりませんから。最後にもう1人……」
エルフの方々が一斉に注目しました。
「はじめまして。行商人のジロです。」
エルフの人々はジロさんを見つめます。
ドラゴン様達の次に出てきたこの男が、何者かを知るために。
「いやいや、私は至って普通の人族ですから!」
ほっと胸をなでおろすエルフ達。
なんだ……と期待外れの顔をするエルフ達。
そのエルフ達が、次のジロさんの言葉で、驚愕の表情に変わりました。
「え〜っと、私はフリッチの夫です。」
「「「なんだってーー!?」」」
今日いちばんの驚きでした。
始めてエルフの村を訪れた人達の紹介が終わると、タイヨー君達は村長さんの自宅に招かれました。
フリッチさんのご両親も一緒です。
「ユニは深緑の森を探索してきて良いですよ。」
と言って、ロキシー王女はユニコーンから馬具を外しました。
ユニコーンは頷くと、パカパカとノンビリ森に入っていきました。
村長さんの自宅に着くと、アトミック王子はさっそく村長さんにスミス王からの親書を手渡しました。
それを一読した村長さん。
「そうか。まさか村の者とスミス王が親戚関係だったとは、わしも知らなかったよ。ノルディカは知っておったか?」
「いや、私もフリッチ殿から聞くまで知らなかった。」
「私も姉上もフリッチさんから聞いて驚きました。だからと言って、穏やかな暮らしをしているこの村に国交を結ぼうなどと押し入るつもりはまったくありません。親戚関係で仲良くしていきたいと話しておりました。事実、僕もスコット君とフラックスちゃんと親友ですからね。」
ちょうどその時、ノルディカさんの両親が村長の家にやってきました。
「久しぶりだね………」
と言いかけたところで……
「そうなのです。アトミック王子の親友にしてフリッチ殿のご子息であられるスコット君と、私は婚約したのです。」
村長、フリッチさんの両親、今、入ってきたばかりの両親が声を合わせました。
「「なんだってーーー!?」」




