05 勧誘するノルディカさん
アトミック王子と和解できたタイヨー君。
そこに登場したのはノルディカ副騎士団長。
ノルディカさんはジロさんの子供達にご執心です。
「先程は失礼な事を言ってごめんなさい。僕はアトミックと言います。タイヨーさん、よろしくお願いします。」
先程とは別人のように礼儀正しい挨拶をするアトミック王子。
「こちらこそ初めまして。ロキシー王女とは東部の村を一緒に作りました。今度王都に住む予定です。よろしくお願いしますね。」
「と言うことは、お姉様も王都に住むのですか?」
「はい。私も一緒に来ますよ。あとアトミックと同じ歳のスコット君という子も学校に通うために御家族と一緒に来ます。きっと友達になれますよ。」
「それは楽しみです!早く学校に行きたいです!」
アトミック王子はとても良い子なんです。
ただ素直過ぎて、スミス王の愚痴をそのままの通りに受け取っていただけなのです。
皆で談笑しているところに今度はノルディカさんがやってきました。
ノルディカ副騎士団長。
言わずとしれた王国最強のエルフの女性騎士。
「ロキシー王女、お久しぶりです。お元気そうで何よりです。タイヨー君も久しぶりだな。アトミック王子に突っかかってこられなかったかな?いつもスミス王が王子に愚痴っていたからな。」
そう言って大笑いするノルディカさん。
「お父様!!」
激怒のロキシー王女。
今のスミス王には威厳の欠片もありません。
「まぁスミス王の事は置いといて……」
王様、形無しです……
「先程、タイヨー君達が王都に引っ越してくると言っていたように聞こえたが?」
「あ、はい。2年後にジロさんの長男のスコット君が学校に通うために王都に来るんですが、僕も行商人として商業科を勉強してみたいと思ったんです。そうしたらロキシー王女も商業科を勉強したいという話になりまして。それならいっそのこと皆で引っ越しましょうか……と言うことになったので、今日は何かちょうどいい家は無いかと聞きに来た次第です。」
「……タイヨー君は騎士科ではないのか?」
「……僕は行商人ですよ?」
「……まぁそういう事にしておこう。でもスコット君とフラックスちゃんは騎士科だろ?何なら直接スカウトに行くぞ。」
ノルディカさん、目が真剣で怖いです……
「どうでしょう?スコット君はお父さんの後を継ぎたいようなことを言ってましたが……」
「いや、あれだけの資質だ。誰もが目を付けるだろ。スコット君には是非ともノルディカ王子と仲良くなって近衛になってもらいたいぞ。フラックスちゃんは私の後継者になってもらいたい。魔法師団にはやらんぞ!!」
何やらスカウトが始まりました。
これにはスミス王も興味を示しました。
「ジロ殿の御子息はそんなに凄いのか?」
するとノルディカさんが前のめりで説明します。
「以前模擬戦の様子を見たのですが、スコット君はまだ就学前だと言うのに、魔法で氷の剣を作り出して紅炎様と打ち合っていました。攻撃魔法もいろいろ使ってました。そして妹のフラックスちゃんは攻撃魔法もさることながら精霊魔法まで自在に使いこなしていました。あの2人は逸材です。是非王城に招き入れたい。何なら今すぐにでも招き入れたいくらいです。」
「ノルディカがそこまで褒め称えるなんて初めてのことだな。マークしておかなくてはな。」
スミス王もかなり興味を示しました。
後でジロさんに報告しておきましょう。
「そんなに凄いの?僕と友達になってくれるかなぁ。」
ちょっと不安顔のアトミック王子。
ノルディカさんは心配無いと言います。
「スコット君は既にとても強いですけど、それ以外はとても子供らしい素直で優しい子です。きっと仲良くなれますよ。」
「そうなんだね!とても楽しみになってきたよ。」
物件については宰相さんにお任せして、タイヨー君とロキシー王女は王都の街に出ました。
王女様は顔がバレたら大変なので帽子を深く被っています。
王女様は以前、隕石の落下から王都を守った事があり、今や女神様として住民から崇められています。
何しろ背中に生えた翼を羽ばたかせ、大空を飛んでの大活躍を、王都中の人々が目撃しているのですから。
街の片隅では吟遊詩人の歌うロキシー王女の活躍の歌に、多くの人が耳を傾けています。
「王女様は相変わらずの人気だね。」
「タイヨー君、やめてください。」
恥ずかしそうにうつ向くロキシー王女はとても可愛いです。
「そうだ!ロキシーは以前学校に通っていたんだよね。それはここから近いの?」
突然話題を切り替えてきたタイヨー君に驚きながらも、
「そうですね、それ程遠くはないですよ。行ってみますか?」
と答えました。
「せっかくだから近くまで行ってみよう。」
2人は賑わう街を歩きます。
しばらくすると塀で囲まれた広い場所に着きました。
「この塀の向こうが学校です。」
「思っていたよりも随分と広いんだね。」
「そうですね。ここは基礎科と各種専門科が同じ敷地にあるので大きいのですよ。それにやはり王都の学校は人気ですからね。」
大きな学校を目の当たりにしたタイヨー君は、あらためて学校に通うのが楽しみになってきました。




