04 王子様登場
スミス王のもとに赴くロキシー王女。
ロキシー王女に連行されるタイヨー君。
そこに初登場の人物が。
王都の庭園に『木の扉』を開いたロキシー王女。
勝手知ったる王城でスミス王の執務室に向かいます。
「お父様。おりますでしょうか?」
突然訪問してきた我が娘に、驚くも嬉しいスミス王。
その後ろにいるタイヨー君を見て、その笑顔を引きつらせるスミス王。
宰相様はその様子に、笑いをこらえきれません。
「よく来たね!ロキシー。元気にしていたかい?」
「はい。お父様。森の村の住民共々、元気に楽しく暮らしていますわ。」
「……タイヨー君も元気そうだな。」
「……はい。おかげさまで。」
微妙な空気のスミス王とタイヨー君。
しょうがないのです。
スミス王は白氷竜のユキ様に半ば強引に言われて、タイヨー君とロキシー王女の婚姻関係を認めざるおえなかったのです。
「お父様?笑顔が引きつっているようですが……大丈夫ですか?」
父の気も知らず、ロキシー王女は心配そうに尋ねます。
「あ、ああ、大丈夫だよ。ところで2人揃って今日はどうしたんだい?」
「お父様は行商人のジロさんを覚えておいでですか?」
「ジロ殿と言えば深緑竜様の鱗を献上した者だな。覚えているよ。彼がどうかしたのかい?」
「はい。じつはそのジロさんのご子息が2年後に基礎教育の学校に通う年齢になりまして、それに合わせてジロさんのご家族と私達も王都に住もうかと思っているんです。そこで手頃な空き家があればお借りしたいなと思いまして。」
「なるほど。だが王家が一般人に家を提供するとなると中々難しいものがあるな。」
「私も王都に住むとなれば、ちょくちょくと王城に来れるかと思ったのですが……」
「よし。早速探そう。」
相変わらずロキシー王女に甘い王様です。
「宰相、何か手頃な物はあるか?」
「そうですね。来賓客に滞在していただく住居が数軒ありますので、学校に近いものを用意いたしましょう。何人程住まわれますか?」
「ジロさんのご家族が4人、私とタイヨー君、ユキ様にライア様にディーネ様、紅炎様とゲイル様も来ますかしら?」
ロキシーが指折り数えます。
「ド、ドラゴン様と精霊様も来られるのか?」
「王都見物を楽しみにしていましたよ。でも過剰な気遣いはご不要です。と言うか嫌うと思われます。」
「そ、そうか。ならその人数が住める家を用意しよう。」
「紅炎様は騎士団を訓練してくれるのではないかしら?それにジロさんのご子息は、まだ幼いのにドラゴン様や精霊様と日々模擬戦と言う遊びをしていらっしゃるので、とんでもなくお強いですよ。将来騎士団に入ってくれるかもしれませんわ。」
「それは頼もしいな。ん?あと2年後の入学と言えばアトミックと同じ歳か?」
タイヨー君が知らない名前が出てきました。
「ロキシー王女。アトミックとはどなたですか?」
さすがにスミス王の手前、タイヨー君も丁寧に話します。
「タイヨー君は会ったことが無かったですね。アトミックは私の弟。この国の第一王子ですわ。」
「弟君がおられたんですね。」
「はい。王位継承権第一位アトミック王子です。王位を継承する王子がいなければ、私とタイヨー君は結婚出来ませんでしたよ。」
オホホ……と笑うロキシー王女。
ピキピキと顔が強張るスミス王。
ははは……と引きつり笑いのタイヨー君。
三者三様の膠着状態が続くと思いきや、そこに少年登場。
「お姉さま!いらしていたんですね!」
「アトミック!久しぶりですね。大きくなりました。」
そう言ってロキシーはアトミックと呼ばれた少年の頭を撫でました。
バートン王国王位継承権第一位、アトミック王子の登場です。
アトミック王子はロキシー王女との再会にとっても嬉しそう。
ニッコニコです。
タイヨー君、ここは挨拶しなくてはいけません。
「こんにちは。初めまして。タイヨーと言います。よろし……」
「お前がお姉さまを連れ去った悪人か!この泥棒猫め!」
タイヨー君の挨拶を遮る、まるでゴミを見るような冷めた目をしたアトミック王子の罵声。
タイヨー君、引きつった笑顔のまま泣きそうです。
「こら!タイヨー君にそんな事を言ったらだめでしょ。私の大切な人なのよ。」
ロキシー王女が顔を赤らめながら王子を注意すると、
「だっていつもお父様が言ってるもん!泥棒猫のタイヨーめ!って。」
という返事。
ロキシー王女は冷たい笑顔でスミス王を見ると、椅子に隠れるようにビクビクしながら、
「だって……だって……」
と呟いてるスミス王。
呆れたロキシー王女は、アトミック王子の目を優しく見つめながら話します。
「アトミック、このタイヨー君はね、とっても強くて私を二度も助けてくれた命の恩人なの。そのタイヨー君を、私がとても好きになって結婚したのよ。」
「そうなの?じゃあお父様が嘘つき?」
「嘘つきと言うよりはヤキモチよ。」
「え?大人で父なのにヤキモチ?」
「そうなの。もう大人なのに、いつまでも子供のような人なのよ。」
「私が悪かった!もうやめてくれ!」
たまらずスミス王が止めに入りました。
ロキシー王女にさりげなく好きになったとか、スミス王にヤキモチを妬かれてるとか言われて、スミス王同様にいたたまれないタイヨー君でした。




