48 女神と神馬と召使い
期末テスト終了。
皆さんそれぞれ妥当な結果。
エルフの村に向けて準備です。
期末試験が終わりました。
ロキシー王女は本当に満点の成績を収めました。
さすがです。
スコット君も頑張りました。
クラスの真ん中辺の成績でした。
スコット君は体育会系という認識が広まっているので、誰もが当たり前のように受け止めていました。
ちなみにアトミック王子は満点です。
さすがです。
タイヨー君はギリギリ……本当にギリギリですが合格点に達しませんでした。
タイヨー君は破壊神という認識なので、こちらも誰も驚きませんでした……
そして唯一ひとり不合格のタイヨー君は、キャピタ先生とマンツーマンで補習し、再テストを受けて何とか合格しました。
「いやぁ~テスト大変だったね。」
タイヨー君は、ヤレヤレといった表情でロキシー王女に話します。
「本当ですわ。たったひとりの不合格者なんて。夏休み中に補習とならなくて良かったですわ。」
呆れるロキシー王女。
「と、ともかく、これで心置きなくエルフの村に行けるね。」
そう言って帰宅するふたり。
家に着くと、そこには豪華な馬車が。
「あれ?王家の馬車じゃない?」
「そうですわね。アトミックが遊びに来ているのかしら?」
家に入ると、そこにいるのはアトミック王子とノルディカさん。
「どうしたんですか?おふたりとも今日は?」
タイヨー君が聞くと、スコット君が申し訳なさそうに、
「じつは、学校でアトミックと話している時に、夏休みにエルフの村に行くって行ったら……」
「僕も連れて行ってください!」
「……という訳です。」
申し訳無さそうなスコット君に、目を輝かせているアトミック王子。
「僕も今ではすっかり森で遊んでいる仲間です。それなのに僕だけ除け者はないんじゃないですか?」
「いや、連れて行くのは良いんだけど、スミス王の許しはもらえたの?」
「まったくですねアトミック。あなたは王子なんですよ。夏休みと言っても、貴方にはお城でのお役目がいろいろとあるんじゃないですか?」
「それをお姉様が言いますか?まぁ心配無用です。これをご覧ください。」
そう言ってアトミック王子が見せるのは、物々しい王家の紋章が施された封筒。
「これはお父様から預かったバートン王国国王からエルフの長、及びフリッチさんのお父様に宛てた親書です。すなわち僕は国王の使者で伺うのです。」
「え?それは大丈夫なの?ライア。」
「森に人族が多く入ってくるのは困ります……と言うか命の保証がありません。親書はどのような内容ですか?」
ライア様がアトミック王子に聞きます。
「これは交易とかそういう類いではありません。スミス王がフリッチさんのお父様、すなわち大叔父に宛てた親書になります。そして大叔父に僕とお姉様を紹介したいと言った内容になります。」
「そうでした!私達は親戚でした。」
思い出したように言うロキシー王女。
「姉上とあろう方が困ったものです。手紙も無しにお祖父様の弟君と会われるおつもりでしたか?」
フフンと鼻を鳴らすアトミック王子。
「ぐぬぬ……」
「そういう事でしたら大丈夫ですわ。私が仲介いたしましょう。」
「ありがとうございます!ライア様!」
嬉しそうなアトミック王子に、悔しそうなロキシー王女。
「ま、まぁ行くメンバーも決まったことだし、出発は明日の午前で良いかな?」
「異議なし!」
まず準備が必要なのはロキシー王女とタイヨー君。
ふたりは早朝から学校に向かいました。
タイヨー君は自宅の馬を1頭連れています。
そして技術部に置いてある馬車を、その馬に引かせるために準備しました。
「どうだい?大丈夫そうかい?」
タイヨー君が馬に聞くと、
「ヒヒン♪」
と機嫌良さげに返事をしました。
こちらは準備完了です。
ロキシー王女は飼育部のユニコーンの馬小屋に行きました。
「さあ、今日は新緑の森に行きますわよ。皆で小旅行ですわ。楽しみですね。」
とユニコーンに語りかけると、
「ヒヒン♪」
とこちらも機嫌が良さそうです。
「タイヨー君、準備はできました?」
「うん。ロキシーはどう?」
「こっちも行けますわ。」
「じゃあ一度家に戻ろう。」
学校を出たロキシー王女がユニコーンで街を歩くと、早朝にもかかわらず大騒ぎになりました。
「女神様が神馬で降臨なされた!」
「なんて神々しい!」
「見ているだけでとても癒やされるようだ。」
「後ろの召使いの馬車は貧素だなぁ……」
多くの人が街道で手を合わせ拝んでいます。
「すっかり忘れていました……」
「王都ではロキシーは女神様と言われてたんだったね。しかし貧素な馬車とは失礼な。しかも召使いって。」
崇める人々に、ロキシー王女は手を振りながらタイヨー君を従えて家に戻りました。
アトミック王子はノルディカさんと既にタイヨー君の家に来ていました。
ノルディカさんは馬で行くようです。
アトミック王子はジロさんの馬車で、スコット君やフラックスちゃんとワイワイ楽しそうです。
紅炎様とゲイル様も馬に乗り、ライア様とディーネ様とユキ様はタイヨー君の馬車に乗りました。
「タイヨー様。この馬車は大丈夫なんですか?」
「とても不安な気配がしますわ。」
「なにしろタイヨー様お手製ですからね。」
「「えっ!?」」
「……降りても良いんだけど。」
「「いえいえ。ありがたく乗らせていただきますわ。」」




