47 夏休みの予定
牧場をいたたまれない空気にしたタイヨー君たち。
とりあえず馬車の動作は大丈夫でした。
その馬車で出掛ける目的があるようです。
馬車を引きながら技術部部室に戻るタイヨー君達。
「いやぁ〜なんとも言えない空気だったねぇ〜」
と笑うライド部長。
「やっぱり、どうせユニコーンが馬車を引くなら、貴族が乗るような豪華な馬車とか、迫力のある騎士団の馬車とかのほうが似合いそうだね。」
とウンウン頷きながら話します。
「やっぱり変でしたかね〜」
タイヨー君が聞くと、
「まず、見た目のバランスが悪いよね。ユニコーンはかなり大きな馬体をしてるじゃん?でもこの馬車は、通常の馬が1頭で余裕で引ける程の小型でしょ?違和感凄かったよ。」
ということでした。
「ジロさんの馬車がモデルだったからなぁ〜でも実際にこの馬車を引くのは、うちの馬だし問題ないか。」
「タイヨー兄さん。この場所で早速どこかに行くつもりですか?」
「うん、ほら長い休みになったらスコット君のお母さんのフリッチさんの故郷に行ってみようって話があったじゃん。もうしばらくしたら夏休みでしょ?その時にこの馬車も使ってみようかな〜って思ってね。」
「あ〜言ってましたね。デビューにはちょうど良さそうです。」
そうです。
途中で馬車がバラバラに壊れたとしても、拠点のメンバーとなら『木の扉』ですぐに帰ることが出来ます。
入学してから月日は流れ、季節は夏に変わろうかという頃。
初めての長いお休みです。
「君たち、夏休みに浮かれるのも良いけど、期末試験があるのを忘れてないよね?」
そうです。
夏休みといえば、その前にあるのは期末試験。
学校物の定番です。
とはいえ、この学校の試験はそれ程厳しいものではありません。
商業科は専門学科なので、テスト科目もひとつだけです。
基礎科の方は全科目のテストなので、やや大変です。
それでも最初の試験なので、ちゃんと授業を聞いていれば問題ありません。
「ス、スコット君はもちろん大丈夫だよね?」
「タ、タイヨー兄さんこそ大丈夫ですか?」
「なんだい、タイヨー君もスコット君も笑顔が引きつってるよ〜」
授業風景の描写は割愛していましたが、ちゃんと授業は行われていました。
本当ですよ。
あのユキ先生も、ちゃんと教鞭をとっていたのです。
信じられませんが。
「ははは、部活に精を出すのもいいけど、ちゃんとテスト勉強もするんだよ。」
と言ってライド部長は笑いました。
その日、家に帰ったタイヨー君は、夏休みの予定について皆に話しました。
「もうしばらくしたら夏休みに入るんだよね。その時に前に話していたフリッチさんの故郷、エルフの村に行ってみないかって思っているんだけどどうかな?」
「ああ、そんな話をしたっけね。私は賛成だよ。」
「私も行きたい!おじいちゃんとお婆ちゃんに会いたい!」
フリッチさんとフラックスちゃんは楽しみのようです。
「僕が行って大丈夫かなぁ〜」
ジロさんは不安顔。
「大丈夫ですわよ。私も一緒に行きますから。」
そう言うのは、エルフ達を守護しているライア様。
「私はユニを連れて行きますわ。学校に独りぼっちにはできません。」
ロキシー王女はユニに乗っていくようです。
フラックスちゃんの目が光りました。
「ユニってなぁに?」
「私が学校でお世話しているユニコーンですよ。」
「え!ユニコーン!?私も乗りたい!」
「可愛いですよ。楽しみにしてくださいね。」
フラックスちゃんとロキシー王女が楽しそうです。
「え?ユニコーンがいるの?それは珍しいね。そして良く人に懐いたね。」
驚くジロさん。
スコット君が説明します。
「ユキ先生が脅したら、涙を流して静かになったんだよ。」
「なるほど……」
ジロさん引きつり笑いです。
「私も久しぶりに行ってみるとするか。」
「私は初めてですな。」
「私も初めてですわ。楽しみです。」
「私もですわ。北とは違う生活なんでしょうね。」
ドラゴン様達にディーネ様も行く気でしょうか。
「そうだ。ノルディカさんにも声をかけておいたほうが良いね。スコット君、婚約者を紹介しないと。」
と笑うタイヨー君。
「え?それはちょっと。」
焦るスコット君。
ロキシー王女は、
「スコット君の事はともかく、ノルディカさんも久しぶりに実家に顔を出したいでしょう。ただ副騎士団長が長く不在にする事はできませんので、私が『木の扉』で送り迎えいたしますわ。」
と言いました。
それなら日帰りも可能です。
「夏休みの予定が決まったね。ライアは一足先に、エルフの村に皆で伺うことを、事前に伝えておいてもらって良いかい?いきなり大人数で行ったら迷惑だろうし。」
「承知しましたわ。」
「楽しみだなぁ〜」
「その前にスコット君にタイヨー様にロキシー様。」
ユキ様がにこやかに話します。
「夏休みの前には期末試験があるのを忘れてはいませんよね。」
「はい。私はテスト勉強を始めてますわ。」
「さすがロキシー様。100点をあげますわ。」
「まだ100点は早いですよ。」
笑い合うロキシー王女とユキ様。
「ぼぼぼ僕達もダイジョーブ。」
「……スコット君とタイヨー君は今から私とテスト勉強しましょうね。」
ふたりはロキシー王女に連れて行かれました。




