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45 女神の祝福

ユニコーンがやってきて数日。

噂を聞きつけた生徒や先生が牧場見学に訪れるようになりました。


皆の目的はひとつ。

ロキシー王女とユニコーンが駆ける姿をひと目でも見る事です。


授業前に馬小屋で準備をするロキシー王女。

既にロキシー王女は乗馬の装いをしています。

ユニコーンに馬具を装着し終えると、ロキシー王女はユニコーンに囁きました。


「さあ、朝の運動ですよ。軽く走りましょうか。」


それに答えるようにユニコーンは、

「ヒヒーン!」

と鳴きました。


そしてロキシー王女は颯爽とユニコーンに跨がると、軽やかに歩き出しました。

最初はユックリと。

やがてスピードを上げて走り出します。

すると、お互いの魔力が通じ合うのか、ユニコーンとロキシー王女は薄く金色に輝き始めました。


その姿は、まさに女神と駆ける神獣様。


見てる者の心を奪う、恐怖を覚える程の美しさと神々しさです。

それはまるで神殿の絵画のよう。

皆は自然と祈ってしまいます。

そして、その場にいた人は、なぜか活力がみなぎってくるのです。


その場にいる人も、ロキシー王女も気がついていません。

ロキシー王女が回復魔法を撒き散らしながら疾走していることを。

もっともユニコーンは気がついているようですが。

それこそまさに女神の祝福である事を。


ひとしきりユニコーンを走らせたロキシー王女は馬小屋の方に向かいました。


観覧者達は、

「いやぁー素晴らしいものを見たな。」

「こちらまで力をもらったようだ。」

「いや、本当に疲れが取れたよ。」

「私は寝不足が解消されちゃった。」

「俺は二日酔いが収まったぞ。」

と、口々に身体が快調になった事を話しながら解散していきました。


「お疲れさま、ユニ。のどが渇いたでしょ。水をしっかり飲んでね。」


ロキシー王女が水を汲むと、それは既に聖水です。

ユニコーンは全回復しました。


(王女は自覚が無いんだろうな。)


ユニコーンは思いますが、自分は既に王女の愛馬と自負しているので、ありがたく飲んでます。


(普通ならこの王女、良からぬ輩に拐われる心配をしなければならないところだが……)


「おーい、ロキシー、そろそろ教室に行くよー!」


「はーい、タイヨー君。すぐに着替えてきますわ。」


迎えに来たタイヨー君を見て、

(王女の夫があの破壊神だからなぁ。心配無用か。)

と思い昼寝の体勢になりました。


ロキシー王女とタイヨー君が教室に行った後、ユニコーンは良からぬ気配が近づいてくるのを察知。


「ロキシー王女は教室に行ったぞ。」

「ユニコーンを奪うなら今だ。」

「コイツを売れば、かなりの儲けになる。」

「噂が広がる前に盗んで即売って、この街から逃げれば追っ手も見つけられないだろう。」


(なるほど。王女と破壊神がいなくなったところで私を狙うか。)

そう思ったユニコーンは、先制攻撃の雷撃を盗人に放ちました。


「アガガガガ!」


感電して気を失う盗人達。


「何事だ!?」


集まってくる警備員に、盗人達は連行されていきました。


(ただの人間に、私をどうこうする事はできまい。スコット君や破壊神達が異常なのだ。)

ふぅ……と溜息をつくユニコーン。


(だが一番怖いのは白氷竜様だな。いつ食われるかわからん。ロキシー王女の側にいて大人しくしていよう。平和が一番。)

そして昼寝をするユニコーンでした。




放課後、タイヨー君とスコット君は、技術部の部室で何やら話し合ってます。


「タイヨー兄さん。何となく昨日はノリで屋台の馬車は良いね……なんて言ったけど、串焼きとかスープとか言ってたよね。」


「言ってたよね。どこでもお店が開けて便利だと思わない?」


「わかりますよ。そうなんですけど、タイヨー兄さんは、そもそも料理とか出来るんですか?確か食事をするだけでも苦労してましたよね。」


そうでした。


そもそもタイヨー君は、食事を必要としない為に味覚が無かったのです。

それを感覚を共有し、他人が食べた感覚を覚える事で、擬似的に味を認知しているのです。


「確かに……自分で作ったら危険な気がする。ロキシーは料理は……しているところを見たことないなぁ。」


「王城では料理人が作っていただろうし、今は僕の母さんが作っていますね。」


「うん。調理出来る馬車は目標として、まずは物を売るための行商用の馬車を作ってみようか。」


「そうですね。まずは基本的な事から始めましょう。」


そう言って、ふたりは設計図を描き始めました。

もちろんライド部長に協力してもらって。


あーだこーだ言いながら2時間ほど。

何となく馬車のイメージが出来てきました。


「こうやって設計図を描いてみると、いかに自分の考えが甘かったかを思い知らされるよね。」


「まったくですね。タイヨー兄さん。闇雲に作り出さなくて良かったね。」


それを聞いてライド部長が、

「そうだよ。しっかりした設計図、それをもとに用意する材料。ここまで出来れば後は組み立てるだけ。今の設計図作りは重要な作業だよ。」

と頷きながら言いました。


行き当たりばったりで完成させても上手くいかないでしょう。


「じゃあ明日はその図面をもとに、10分の1のミニチュアモデルを作ってみようか。」


さて、上手にできるでしょうか?

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