44 深夜の密談
無事に馬小屋が完成。
ユニもとても気に入ったようです。
そしてその夜、馬小屋を訪れる何者かが……
馬小屋を作り始めて3日後。
無事に完成しました。
「ユニ、お家が完成しましたよ。」
ロキシー王女がユニを連れてきました。
ユニは馬小屋を一周回ると、中を確認しました。
その様子を見ると、どうやら気に入ったようです。
良かったですね。
タイヨー君にスコット君。
ユニが嬉しそうですよ。
ちょっぴりビビってますが。
早速、新しい馬小屋に入り、ユニはロキシー王女にお世話されています。
その様子を満足そうに見て、
「馬小屋作りは楽しかったね。次は何を作るの?」
とタイヨー君はスコット君に聞きます。
しかしその前に、そもそも牧場に来た理由を思い出しました。
「そうですよ、ライド部長。すっかり忘れていましたけど、あの旅馬車を試運転するためにここに来たんじゃないですか。」
ライド部長もポンっと手を打って思い出しました。
「そうだったね。最初の目的を忘れちゃってたよ。」
早速飼育部の部員に馬を借りに行きました。
「やぁ、技術部で作成した馬車を試運転したいんだけど、馬を貸してくれないかい?」
「おー!なんだかおもしろい馬車だね。早速やってみようか。」
ライド部長の頼みに、飼育部の部員も興味津々です。
早速馬具を装着して馬車を動かしてみました。
「お!なかなか良いんじゃない?」
「そうだね。車輪や内装も具合よさそうだ。」
「馬も特に問題なく引っ張っているよ。」
技術部と飼育部で、馬車の評価をしています。
「うん。ひとまず試運転は成功だね。今度は実際にこれを使って校内でキャンプをしてみよう。」
「面白そうだね。上手くいったらその次はこの馬を使って近隣の野営地でも使ってみようよ。」
「いいね!」
話が盛り上がってます。
「よし!今日は協力ありがとうね。また頼むよ。」
ライド部長がお礼を言うと、
「こっちも楽しかったよ。また協力させてね。」
と飼育部も協力を申し出てくれました。
試運転を終えた馬車を、スコット君が技術部の部室まで引いていきます。
その様子を見てタイヨー君は、
「馬がいなくてもスコット君が引いていけばいいんじゃないの?」
などと来る時と同じことを言ってきます。
「それならタイヨー兄さんが魔法で浮かしていくのが一番いいんじゃないですか?」
とスコット君に言い返されてしまいました。
これには技術部の部員たちも大きく頷いています。
「そんな!失礼な!」
「タイヨー兄さんがそれを言いますか?」
スコット君に言い返されてしまいました。
ぐうの音も出ないタイヨー君。
そんなやり取りをしている間に、皆は部室に着きました。
そしてあらためて馬車を見るタイヨー君。
ライド部長がタイヨー君に、
「何か気になるところでもあるかい?」
と聞きました。
「いや、本当に面白い馬車だなぁって思って。僕もちょっと作ってみたいなと思ったんですよ。」
「お?何か面白いアイデアはあるのかい?」
「いや、目新しいものではないけど、例えば串焼きのような焼き物とかスープなどの煮物とかを提供する屋台を作れないかな~と思って。」
「タイヨー君は商業科だよね。なにか面白い商売でも思いついたのかい?」
「いやいや、そこまで大した話じゃないですよ。料理の知識がある訳でもないですし。ただ面白そうだと思って。」
それを聞いて、ライド部長は微笑みました。
「いいね。面白そうなのが思いついた。だから作ってみよう。これは技術部の原動力だからね。是非作ってみようよ。分からないことは何でも聞いてね。」
タイヨー君も乗り気になってきました。
「そうですね。やってみよう、スコット君。」
「え?僕ですか?」
「一緒にやろうよ~馬車を勉強したいって言ってたじゃん~」
纏わりついてくるタイヨー君を引き離しながら、
「わかりましたよ。僕もやりますから離れてください。」
と迷惑そうに了解したスコット君。
「仲がいいねー」
とライド部長は笑いました。
「まぁ今日は遅いし、明日からまた頑張ろう。今日はお疲れさまでした。」
「お疲れさまでした。」
馬小屋ではロキシー王女がユニに餌を与えています。
「じゃあ他のお友達に迷惑をかけちゃあ駄目だからね。そんな事をしたらユキ先生に怒られちゃうからね。」
「ヒヒン」
「じゃあまた明日ね。おやすみ、ユニ。」
その夜の事……
ユニコーンのユニのもとに、一頭の、やはり美しい白い馬が突然現れました。
白い羽を羽ばたかせながら。
ユニコーンと同等の希少種ペガサスです。
(人間の飼い馬になるとは落ちたものですね、ユニコーンよ。)
(ふふふ。ペガサスよ、お前は知らないからそんな事が言えるのだ。)
(なに?どういう事ですの?)
(ここにはな、まず白氷竜様がいる。先生と言う立場でな。)
(白氷竜様!?)
(まだ驚くのは早いぞ。生徒には、あの流星群からバートン王国を守った世界樹様が女神となって通学しているのだ。その女神様はバートン王国の姫君で、その弟君の王子もいるのだが、彼も凄い魔術師だ。)
(あの空を羽ばたいた女神様が!!)
(更にその王子の友人である少年は得体の知れない力を持っている。その少年がタイヨー兄さんと呼んでいた少年……いや少年ではないはずだ。彼はこの世界の存在ではない。神か……はたまた魔王か……あの白氷竜様がそのタイヨーという少年に従っているようなのだ。)
(どういうことです!?この場所にそれ程の異質な存在が集っているとは!?)
(ああ。だから私はこうして従っているふりをして、監視することにした。)
(そうなのですね……?……本当にそうですか?あなた……女神様から離れたくないだけなのでは?)
(ななな何を言っているのかな?お前は?)
(ふふふ。まあよいわ。理由は分かリました。事実無視できぬことも確かです。この場所はしばらくあなたに任せますわ。)
(ん?、この場所?)
(ええ。時々ですが深緑の森に人族の少女が来るのです。)
(人族の少女など餌になりに来るようなものではないか。)
(その少女は精霊を自在に召喚できるのです。そしてドライアド様とウンディーネ様が一緒にいるとか。)
(最上位精霊ではないか!なるほど……霊獣のお前には気になる存在だな。)
(ええ。私はそちらを監視しますわ。)
それだけ言うと、ペガサスは再び夜の闇に消えました。




