43 部活動で得られるもの
飼育部に入部のロキシー王女。
技術部に入部のタイヨー君。
授業以外の楽しみを見つけたようです。
「先生、私も飼育部に入部してよろしいかしら?」
ユニの手綱を握ったロキシー王女が飼育部の顧問の先生に話しました。
「そうですね。現状ユニコーンを扱えるのはロキシー王女とアトミック王子だけです。入部してくれるととても有り難い。私達も中々ユニコーンに接する機会など無いですからね。」
「ではよろしくお願いいたしますわ。」
そう話してる横ではタイヨー君が、
「僕も技術部に入って良いかな?」
とスコット君に聞いています。
「え?タイヨー兄さんが?なんで?技術部は戦う場所じゃないよ?」
「僕ってあまり戦っていない方だと思ったんだけど。」
「まぁタイヨー兄さんが戦う事態なんてそうそう無いか。で、技術部に入るのは問題ないと思うけど、何か作りたいものがあるの?」
「うん。馬車を作ってみたくてね。ほら、僕も行商人じゃん。荷馬車と屋台の馬車も面白そうだなぁ。」
「屋台の馬車かぁ。なんだか面白そうだね。」
タイヨー君は技術部に入ることになりました。
技術部に入ったからには先ずはユニコーンの馬小屋作りですね。
当然です。
スコット君も技術部部員も、その為にここに来たのですから。
「じゃあ杭を打ってロープを張りながら、馬小屋の間取りを決めようか。」
技術部のライド部長が指揮を取ります。
「材料の木材も用意しないと。」
「あ、それじゃあ僕が材木を用意しますよ。」
タイヨー君の申し出に対してライド部長が申し訳なさそうに、
「材木を買うのに、まずは予算を申請しないといけないんだよ。」
と言います。
「あぁ、それなら大丈夫。その辺の林から取ってくるよ。どれくらい必要なの?」
「え?取って来る?」
意味が分からないといった表情のライド部長から、必要数を聞いたタイヨー君は、
「ちょっと行ってくるね〜」
と言い残し、近くの林に向かいました。
「どうするんだろ?」
頭をひねるライド部長に、
「あーすぐわかります。」
とスコット君が困ったような笑い顔で言います。
森に入ったタイヨー君。
「さて、切り倒しますか。『風の刃』」
そう呟いたと思うと、数本の木が瞬時に倒れました。
「じゃあ『重力操作』で浮かしてっと。」
切り倒した木が空中に浮かんでいます。
「じゃ、帰ろう。」
タイヨー君は牧場に向かって歩きました。
スコット君達が間取りを決めていくと、何やら不思議な光景が目に入りました。
木が空中をプカプカと浮いています。
「な、なんだ?アレは……」
「あ、タイヨー兄さんが戻ってきましたね。」
驚くライド部長に、いつもの通りとスコット君。
「材木持ってきたよ〜」
と軽く言ってのけるタイヨー君。
「とりあえず置きますね。」
切り倒した木を置くと、
「どれくらいの長さに切りますか?」
とライド部長に聞きます。
「え?あ、そうだね。ちょっと図面を作るまで待とうか。」
と言って苦笑いをしました。
タイヨー君とスコット君も、図面作成の作業を見ています。
部員ですし興味もあったので。
間取りは決まったので馬小屋の形や高さを図面に描いていきます。
「よし。大体出来たぞ。まずは柱から立てていこうか。タイヨー君、この長さに木を切ってくれ。」
「わかりました。『風の刃』」
あっという間に柱が揃いました。
「凄いなぁ!それじゃあ杭を打った場所に柱を立てるから穴を掘ろう。」
「それも任せてください。『掘り起こし』」
杭のある場所に、柱の太さに合わせた穴が空きました。
その穴に柱をスポスポ立てていきます。
「本当に凄いな!もうタイヨー君ひとりで作れちゃうんじゃないかい?」
ライド部長が呆れたように言います。
しかしスコット君が指を指します。
タイヨー君が作った土の物置を。
「ライド部長。タイヨー兄さんがひとりで作った馬小屋の結果がアレです。タイヨー兄さんは力作業は世界一かもしれませんが、美的センスが壊滅的なんです。」
スコット君の解説にタイヨー君は、
「いくら何でも壊滅的は酷いよ!」
と文句を言いました。
その様子を見てライド部長は、
「ははは、なるほどね。誰にでも得意不得意があるって事だよ。じゃあ力仕事はタイヨー君とスコット君にお願いして、僕達は細部や内装を仕上げていこう!」
と指示しました。
「おー!」
技術部の心はひとつになりました。
結束した力はとても大きいのです。
「かなりのスピードで作業が進んだね。日も暮れてきたし今日はここまでにしよう。みんなー!お疲れ様ー!」
「お疲れ様ー!」
タイヨー君もスコット君も声を合わせます。
「お疲れ様ー!」
ライド部長がやってきました。
「ふたりのおかげで、あと3日もあれば完成しちゃうんじゃないかな?」
「そうなんですね。でもこうやって皆で協力して何かを作るって楽しいですね!」
「ははは、それこそが部活動の醍醐味だよ。この連帯感は他では味わえないよね。」
長い時間をひとりで過ごしてきたタイヨー君。
行商人で旅を続けてきたスコット君。
初めて多くの仲間とひとつの事に取り組んだ高揚感に、とても満足していました。




