42 女神降臨と王の風格
馬小屋を作るための準備をしてきた部員たち。
牧場に戻ると驚きの光景が。
測量や設計図を作るための道具を持ってきた技術部の面々。
牧場に戻ってきた時に彼等は驚きました。
そこで見たものは、牧場を華麗に走るユニコーンと騎乗する美しい少女。
それは薄く金色に輝き、恐れを感じるほどの神々しい姿です。
技術部の生徒達は、自然に祈りの姿をとっていました。
スコット君を除いて。
「え?ロキシー姉さん?」
ユニコーンが近づいてきました。
「あらスコット君、こんにちは。」
「あらスコット君……じゃないですよ。どうしてロキシー姉さんがユニコーンに乗っているんですか?」
「違うわよ、スコット君。ユニって名前よ。ね、ユニ。」
「ヒヒン♪」
先程スコット君と対峙した、あの恐ろしい姿はどこに行ったのでしょうか。
目の前にいるのは聖獣のように神々しい白馬と女神様です。
そして、
「やはりロキシー王女は女神様だったんだ。」
と、祈りを捧げる人々。
「とにかくロキシー姉さん、降りてください。部員の皆が信者になってしまいます。」
そう言われたロキシー王女は、華麗にユニコーンから降りました。
そしてユニの顔を撫でながら、
「ユキ先生がユニを怖がらせていたから助けてあげたら、懐いてくれたのよ。」
と微笑みます。
スコット君は思いました。
それだけでは無いよね……と。
森の生物はあらゆる気配に敏感です。
それは高位なものほど顕著です。
おそらく世界樹の力を持つ生命神ロキシー王女を背に乗せることを誇りに思っているのでしょう。
「まぁ気性が激しかったのでロキシー姉さんに懐いてくれるのは助かります。」
そして牧場の隅に目を向けました。
そこには何やら不格好な土の箱が……
「タイヨー兄さん。なんですか?この物置のような物は?と言うか拠点の物置と同じですよね?」
「あ、スコット君、お疲れ様。いや、ユキに頼まれてね。スコット君達がユニコーン専用の馬小屋を作り終わるまでの仮住居を作ってくれっ言うからさ。今作ったところだよ。中々良いでしょ?」
タイヨー君は満足そうです。
「タイヨー君、出来ましたか?」
ロキシー王女とユニがやってきました。
「ほらユニ、タイヨー君があなたの仮住居を作ってくれたわよ。」
ロキシー王女がユニに言いますが、ユニはとっても悲しそうな顔をしています。
「え?なんで?」
タイヨー君が愕然としています。
そこに噂を聞いたらしく、アトミック王子までやってきました。
「お~い!スコット!ユニコーンが来たんだって?……ってタイヨーさんにお姉様?どうしたんですか?それに……なんですか?そのみすぼらしい小屋は?」
愕然の表情のタイヨー君。
スコット君がフォローします。
「これはタイヨー兄さんが作ったユニコーンの仮住居だよ。」
「……ごめんなさい。タイヨーさん。」
「いや、アトミック王子が悪いんじゃないよ。僕のセンスの無さが悪いんだよ。アトミック王子は土魔法を勉強中だよね。良かったら作ってみてよ。」
「え?僕がですか?いや……でも……」
タイヨー君の手前、遠慮気味のアトミック王子。
「折角だから特訓の成果を見せてよ、アトミック。」
いつものお返しとばかりにグイグイ責めてくるスコット君。
「じ、じゃあ僭越ながら作らせてもらいます。」
そう言って地面に手を当て、土魔法を発動させるアトミック王子。
地面は盛り上がり、やがて簡素ながらも馬小屋が完成しました。
これにはスコット君もロキシー王女も、その場にいた皆が驚きました。
「アトミック!凄いよ!」
「本当ですわ!凄いです!アトミック!」
「アトミック王子!さすが!」
「ヒヒーン♪」
ユニも嬉しそうです。
タイヨー君だけ顔を強張らせています。
ユニはとても嬉しかったようで、アトミック王子に顔を擦り寄せます。
「ユニ、君は良い子だね。お姉様、僕もユニに乗っても良いですが?」
「ええ。ユニもあなたが気に入ったみたい。是非乗ってあげて。」
周囲はアトミック王子がユニコーンに騎乗すると言うことで注目しました。
颯爽とユニコーンに跨がるアトミック王子。
とても絵になります。
しかし走り出すと、それはロキシー王女の神々しさとは全く別のものでした。
アトミック王子の土魔法の影響を受けているのでしょうか。
しっかり大地を踏み力強く駆けるその姿は、まさに王の風格です。
とても勇ましく、見る者を圧倒します。
その場にいた全ての人が、アトミック王子に敬意を示しました。
ひとしきり牧場を駆けてアトミック王子が戻ってくると、
「アトミック王子!万歳!」
と、何故か大喝采。
「あはは、ありがとう。」
照れるアトミック王子。
羨ましくなったスコット君とタイヨー君。
「僕達も乗せてよ!ユニ!」
ふたりが近づくと、ユニはロキシー王女とアトミック王子の後ろに隠れて、小さくなってしまいました。
「な、なぜ!?」
「きっとスコットから滲み出ている恐怖の威圧が怖いんだよ。」
「タイヨー君の気配をユニは怖がっているんですわ。」
「スコットは騎乗禁止だね。」
「タイヨー君もですわ。」
「「ぐぬぬ……」」
悔しいタイヨー君とスコット君でした。




