41 ユニコーンの処遇
スコット君に敗れるユニコーン。
スコット君に敵意を見せるも、そこに現れるはユキ様。
白氷竜様に敵意を見せるほどユニコーンは愚かではありません。
飼育部の顧問の先生は、目の前で起きたことが信じられませんでした。
突然、ユニコーンが牧場に現れて暴れ出しました。
しかしスコット君はユニコーンの雷撃魔法を結界魔法で防ぎ、何かの魔法でユニコーンを簡単に無力化してしまいました。
その時、何やらスコット君が、とてつもなく恐ろしい存在に感じましたが……
更にはそこにユキ先生が現れてユニコーンに近づくと、ユニコーンは大人しくなり涙を流していました。
あんなに美しいユキ先生が怖い?
そして今、ユキ先生の言う事を聞いて頷いています。
え?頷いてる?
その場にいた先生や生徒は、呆気にとられる事しか出来ませんでした。
ユニコーンはユキ先生に従うように、皆のところに歩いてきました。
「このユニコーンはもう暴れたりはしませんわ。」
「魔獣のユニコーンが人に懐くなんて……どうやったのですか?」
飼育部の顧問の先生は、堪らずユキ先生に聞きます。
「簡単なことです。大人しくしないと食べちゃいますよ……って言っただけですわ。」
ユキ先生は可愛く笑いながら言います。
そんな馬鹿な……と皆は思いましたが、食べると言った瞬間に涙を流したユニコーンを見てると、あながち嘘とも言えないようです。
「ユニコーンはとても気高く希少な存在です。飼育部で育ててもらえませんか?」
「え?飼育部でですか?面倒をみるのは良いのですが……人や他の馬を襲いませんか?」
「それは大丈夫ですわ。賢いユニコーンにちゃんと言い聞かせてありますから。ね、ユニ。」
ユニコーンは首を縦に振ってます。
そしていつの間にかユニと呼んでます。
「わかりました。確かに希少なユニコーンを飼育出来る機会は、これを逃せばもう無いでしょう。ただ他の馬と同じ厩舎と言う訳には……」
「それは大丈夫ですわ。なんとタイミングよく、ここに技術部の方々がいます。そして部員のスコット君ならユニを押さえつけることが出来ます。」
そう言ってスコット君にウインクするユキ先生。
スコット君は知ってます。
面白い事が大好きなユキ先生の事を。
「はぁ~わかりました。僕の技術部での最初の仕事はユニの馬小屋作りですね。先輩方にも手伝ってもらいたいのですが……」
「あ、ああ、わかったよ。僕達もユニコーンの馬小屋を作るなんて今後無いだろうからね。是非一緒に作ろう。」
先輩達が快諾してくれました。
「では早速馬小屋を作る準備だ。これは飼育部と技術部の共同作業として頑張ってやり遂げよう!」
「おー!」
やると決まれば皆さんノリノリです。
「完成までの雨風をしのぐ場所は私が用意しておきますね。」
ユキ先生はにこやかに手を振りました。
今日の商業科の授業は終わりました。
タイヨー君とロキシー王女も今から帰宅です。
ふたり仲良く帰宅しようとしていた所に呼ぶ声が。
「タイヨー君、ちょっと待ってくれ。」
振り向くと担任のキャピタ先生でした。
「どうしましたか?先生?」
「帰るところ悪いね。じつは基礎科のユキ先生に、どうしても君を呼んできてほしいと頼まれてね。」
何だか嬉しそうに話しています。
(あー美人に頼まれて有頂天なんだなー)
タイヨー君は悟りましたが、それは言わないのが武士の情け。
「先生、鼻の下が伸びてますよ。」
ロキシー王女には武士の情けが無いようです。
「ソ、ソンナコトナイヨ。」
カタコトで返事したキャピタ先生は、確かに伝えたからねーと言って、スキップで去っていきました。
ユキ様は、何でも飼育部の牧場に来てほしいと言っていたそうです。
「なんの用だろうね〜」
と、ロキシー王女と牧場に向かうと、そこにはユキ様と角の生えた白い馬がいました。
「まぁ!ユニコーン!」
ロキシー王女は嬉しそうに走っていきました。
ユニもロキシー王女に気が付くと、嬉しそうに顔を擦り付けています。
「まぁ!なんて可愛い子なの!」
ロキシー王女の癒しの力がユニを包んでいるらしく、心地よさそうに甘えています。
「あら?私の時とは随分と態度が違うようですね。」
ユキ様から何やら殺気が漏れています。
ユニは震えながらロキシー王女の後ろに隠れて、大きな体を小さくしています。
「ユキ様、許してあげてください。」
ロキシー王女がお願いするとユキ様は、
「しょうがないですね。食べるのは今度悪さをした時にいたしますか。」
ユニが涙をポロポロ零しました。
「ユキ様!アンマリです!ユニが分かりやすくションボリしてますよ!」
ロキシー王女がプンスカです。
「ユニ、良かったわね。ロキシー様はあなたの命の恩人よ。生涯尽くすのよ。」
ユキ様は笑いながら言いました。
「さて、タイヨー様をお呼びしたのは他でもありません。このユニの仮住居を作ってほしいのです。」
「ん?仮?」
「そうです。馬小屋はこれから、もうひとりの命の恩人のスコット君達、技術部の子が作るので、完成までの間寝泊まりする場所を作って欲しいのですよ。」
「なるほど。どんなのが良いの?」
「またまた、タイヨー様、御冗談を。拠点にあるじゃないですか、土で出来た粗末な倉庫が。アレで充分ですよ。」
ユキ様、アレは一応、タイヨー君の最初の家ですよ。




