37 探索パーティー
無事に角を採取したふたり。
次は薬草探しです。
しかし、そこに聞こえる不穏な声……
ゲイル様の的確なアドバイスで、角兎の角を手に入れたタイヨー君とロキシー王女。
次は薬草採取です。
「これは簡単だよね。なんたって薬草は逃げないもん。」
「まったくですわ。これは誰の手も借りずに自分達だけで頑張りましょうね。」
「じゃあ早速、手分けをして探そう。」
こうして2人は薬草を探し始めました。
しばらくしてタイヨー君は薬草を見つけました。
「よしよし、あったぞ。これを丁寧に採取してっと。よし!出来た。ロキシー!こっちは見つけたけどロキシーの方はどう?」
「私も見つけましたわ。ヨイショッと。無事採取完了ですわ。」
にこやかに笑うロキシー王女の側に向かうタイヨー君。
「思いのほか簡単だったね。」
「ホントですわね。」
そう言って笑顔で薬草を見せ合う2人。
そして、やがて消える笑顔。
ふたりの採取した薬草……たぶん薬草は、よく似ていますがどうも別の種類のようです。
「いやだなぁ〜ロキシー。それは薬草じゃないよ。」
「タイヨー君こそ違いますよ。それは毒草じゃないですか。」
「またまた~僕はライアの弟子だよ?間違えるわけ無いじゃん。」
「タイヨー君、ちゃんと授業を聞いていましたか?」
ふたりとも一歩も引く気がありません。
「ぐぬぬ……」
その2人に突然聞こえる喧騒。
「やめてください!!」
ふたりはそちらを向き、続いて向き合って頷きあうと、声のした方に走りました。
そこでは先程同じ馬車に乗っていた兎人族の男女と、男性3人が言い争っています。
「いいからその薬草をよこせよ。」
「これは私達が見つけたものだ。なんで君達に渡さなくちゃいけないんだ。」
「だから角兎の角の採取を手伝ってやるって言ってるだろ。取れないで困ってるんだろ。」
「それは……でも君達は信用できない。」
「うるせえな。さっさとよこせ!」
「あのーそちらの兎人族の方。」
タイヨー君、空気を読まず声をかけます。
「もうやっちまおうぜ!」
「やめてください!」
「あのーそちらの兎人族の方。」
再び、声を掛けるタイヨー君。
「うるせーな!なんだ?お前は!……って破壊神!?」
タイヨー君に気がついた男達の1人が、後退りしながら言いました。
「破壊神とは失礼だなぁ。あ、そうそう、そちらの兎人族の君達に教えてもらいたいんだけど……」
「お、おい!今はオレ達が話をしているんだ!邪魔をするな!」
男達のひとりが、ビビりながらタイヨー君に怒鳴りました。
「え?そうなの?」
兎人族の男性に聞くタイヨー君。
「違います!彼らは私達の採取した薬草を横取りしようとしているんです。」
「彼はこう言ってるけど?」
にこやかに男達に言うタイヨー君。
「うるさい!お前には関係ない!」
「彼は横取りされそうと言ってるけど?」
タイヨー君から『威圧』が漏れ出ました。
「ぎゃー!バケモノ!」
「殺される!」
「に!逃げろ!」
3人は凄い勢いで逃げて行きました。
「やれやれ。バケモノとは酷いなぁ。」
ガックリするタイヨー君。
「ふふふ、まったくですね。」
笑うロキシー王女。
「あ、ありがとうございます。」
怖がりながら、お礼を言う兎人族の男性。
「いえいえ、気にしないでください。じつはおふたりに教えてもらいたいことがありまして。あ、僕はタイヨーって言います。」
「私はロキシーです。」
「は、はい。存じ上げてます、ロキシー王女様に破壊……いえ!タイヨー様。」
震えながら答える兎人族の男性。
「……その破壊神とは僕のことですか?先程の人達も言っていましたが。」
「……はい。ごめんなさい。」
謝る兎人族の男性。
「あはは!タイヨー君、入試の時のアレで皆に怖がられてるんですよ。」
「そんなぁ〜」
ガックリ膝をつくタイヨー君。
その様子を見て思わず笑う兎人族の女性。
ロキシー王女はその女性に話しかけました。
「先程は災難でしたね。よかったらお名前を伺っても?」
「あ、はい。私はスーリーと言います。こっちは兄のスワニーです。」
「よろしくお願いしますね。ところで先程の話から察するに、おふたりは角兎の角の採取で手こずっているようですが。」
「……はい。情け無い話ですが、兎人族の私達に角兎を傷付けるのは、やはり抵抗がありまして……」
そう言って耳を垂れるスワニーさん。
するとタイヨー君、
「なら僕達とパーティーを組んでください。臨時でも構いません。今から僕達が角兎を痛めつけることなく角を採取しますよ。」
「へ?」
スワニーさんは気の抜けた返事をしました。
「まぁ見ていてください。」
そう言うとタイヨー君は、兎人族の2人と共に結界に隠れました。
ここからは先程と同じ手順で角を採取。
角兎も元気に立ち去りました。
「は、ははは……」
引き攣った笑いのスワニーさんに対して、
「凄いです!お二人とも!角兎を痛め付けずに角を採取するなんて!」
こちらは大喜びのスーリーさん。
「と言うわけで、こちらの角をどうぞ。」
そう言って、角をふたりに渡すロキシー王女。
「ありがとうございます!」
お礼を言うふたりに、タイヨー君が聞きます。
「そこでね、パーティーになってくれたふたりに見てもらいたいんだけど……」
そう言って、タイヨー君とロキシー王女は、それぞれの薬草をスワニーさんに見せました。
「ふたりで薬草を採取したんだけど、どちらが本物の薬草ですか!」
さあ!審判の時です!




