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36 その頃のタイヨー君達は?

アトミック王子とスコット君は部活を決めました。

さて、その頃タイヨー君達は何をしていたでしょう?

ここからは商業科に話を移します。

スコット君が部活を決めた頃、タイヨー君の商業科では、課外授業についての説明が行われていました。


「今日まで商業組合で取引されている主な素材について勉強してきましたが、その中でも比較的簡単に採取出来るものを、今日は実際に皆さんに集めてきてもらう課外授業を行います。」


どうやら学校の外に出て実際に目的の物を持ってくる、初心者向けのクエストのようですね。


「持ってきてもらうものは2つ。1つ目は薬草を5束。2つ目は角兎の角を1本。これを各自が集めてくる事。尚、パーティーを組んで作業にあたっても構いません。その場合も、ひとり頭のノルマは変わりません。3人のパーティーなら数は3倍になります。」


ロキシー王女と相談するタイヨー君。


「2人パーティーで大丈夫だね。」


「ええ。何かあった時に自由に動けますからね。」


「いや、何もないでしょ?」


タイヨー君は笑います。


まだまだ無知なタイヨー君に、まだまだ世間知らずなロキシー王女。

何かあるとしたら、きっとあなた達が原因でしょう。


1時間後、準備を整えた生徒達は外に集合しました。

そこには数台の馬車。


「では、これから馬車で森に向かいます。各自、馬車に乗ってくださーい。」


先生の指示で皆が馬車に乗りました。

向かうのは、近くの比較的安全な森だそうです。


「初めて行く森だねー」


風景を見ながらタイヨー君はのんびりしてますが、同乗している他の生徒は緊張の表情です。

兎獣人の男女などは耳も垂れ下がり、泣きそうな表情です。


「皆さん、リラックスして行きましょうよ。」


にこやかにタイヨー君は言いますが、皆さんは破壊神が怖くて緊張しているのですよ。

その破壊神タイヨー君にリラックスと言われても心穏やかになれません。

とにかく早く目的地に着いてほしい……それだけを願ってました。


そしてやっと着いた目的地。


「久しぶりの馬車の旅だったね。」


「そうですねー」


にこやかに話すタイヨー君とロキシー王女。

そして、ややお疲れ顔の同乗者。


「皆さん集合してくださーい。」

先生の指示で皆が集まります。


「それでは、これから各自探索に向かってもらいます。素材が取れなくても3時間後には戻ってくるように。いいですね。」


皆はそれぞれ森に入っていきました。

もちろんタイヨー君達も向かいます。


「じゃあまずは角兎から探してみようか。」

そう言ってタイヨー君は気配を探りますが、まったく生き物の気配を感じません。


「前々から思っていたのですが……」

ロキシー王女が何か言いたげです。


「私達の気配に小型の動物は恐れてしまうのではないのでしょうか?」


「え?そうなの?」


「ええ。ゲイル様がそのような事を以前おっしゃってましたわ。タイヨー君がいると、その気配で魔獣が寄ってこないと。」


タイヨー君は愕然としました。

「どうすれば……」

オロオロするタイヨー君。


「とにかく気配を消す練習が必要かと。」


「ゲイル〜来て〜」


「お呼びでしょうか?タイヨー様。」


今日は自分で呼んだので、突然ゲイル様が現れてもタイヨー君は驚きませんでした。


「動物達が、僕達の気配に怯えて姿を見せないってほんとかい?」


「その通りです。お二人の神の気配はとても強く、気配に敏感な動物達は本能的に息を潜めてしまうのです。」


「なんとかならない?便利な機械を出して。ゲイルもん!」


「私を猫型ロボットのように呼ばないでください。しかし実際のところ難しいのも事実です。」


「え?そうなの?」

どういう事でしょう?


「ロキシー様は生命神ですが、ロキシー様も世界樹様もこの世界に生まれた存在。とてつもない力をお持ちではあっても、それは異質ではないのです。しかしタイヨー様の場合は、この世界にはいないはずの存在、これ以上無い異質な存在です。ノルディカ殿のように、人族でもその異質さを感じ取る者がいます。ましてや気配に敏感な動物にとっては恐怖以外の何者でもないのです。」


そうです。

タイヨー君は本来、この世界にいないはずの太陽の意思です。


「どうすれば……。」

ガックリ膝をつくタイヨー君。


「では、こういうのはいかがでしょうか。タイヨー様が『癒しの雨』を使って動物達をおびき寄せます。」


「それで?」


「動物達がタイヨー様に心許したところをバスッと仕留める。」


「じゃあちょっとやってみるね。」

そう言ってタイヨー君は『癒しの雨』を使いました。


すると、すぐに角兎が現れました。

とても愛くるしい姿をしてます。


「さあタイヨー様、バスッと。」


「……ムリです。」


角兎は逃げて行きました。


あまりに残酷です。

タイヨー君も良心が痛むようです。


「そうですか?では、こいうのはいかがでしょうか。まずタイヨー様は結界を張り、その中に閉じこもってください。そしてロキシー様が世界樹の生命力を放出します。すると動物達が集まってきます。すかさずタイヨー様は氷魔法で動物達を凍らせます。そして角を折ります。その後ロキシー様が動物に回復魔法をかければ角は元通り。氷魔法が溶ければ動物達は何があったのかわかりません。」


なるほど。

さすがゲイル様です。


こうして角兎の角は簡単に手に入れることが出来ました。


次は薬草ですね。

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