34 部活決定
見事なダンスを披露したアトミック王子。
ダンス部を逃げたスコット君。
今回で部活を決めましょう。
ダンス部を後にするアトミック王子とスコット君。
入部は辞退しました。
スコット君の固い意志によって。
顧問の先生は涙を流しながら、アトミック王子の入部を熱望していましたが。
「アトミックは入部しても良かったんじゃない?」
「僕はお城で執拗に練習させられているからね。学校でまで踊りたくないよ。」
「じゃあなんで観に行ったの?」
「それはスコットのダンスを観たかったからだよ。」
「あーそうですかー」
感情無い返事を返すスコット君。
「まぁそんな顔するなよ。次はスコットがどこに行くか決めてよ。」
アトミック王子がスコット君に聞いてきました。
「んーそうだねーアトミックは弓矢はやったことある?」
「多少はやってたよ。」
「そうなんだね。僕はやったことないから見てみたいな。」
「オーケー!じゃあ行ってみよう。」
ふたりは弓道場に向かいました。
ここも中々人気があるようで、新入生が多く集まっています。
「弓をしっかり固定してグラつかないように。ユックリ矢を引いて……」
上級生部員の説明を聞きながら、新入生が挑戦しています。
「ヒュン!」
矢は勢いよく飛んでいきましたが、的からは外れてしまいました。
「うん。的は外れちゃったけど良い方向に飛んでいったね。以外と最初は矢を前に飛ばすのも上手くいかないんだよ。君はセンスが良いよ。」
「本当ですか!ありがとうございます!」
こちらにも上級生がやってきました。
「君達もやってみるかい……って、アトミック王子!?」
皆が注目しました。
「ああ、特に気にしないでください。僕達も体験させてもらっていいですか?」
「是非やってみてください。説明は要りますか?」
「いや、少し経験しているから大丈夫です。」
そう言って弓を構える姿は、とても様になっています。
そして射った矢は、真ん中こそ外しましたが、しっかりと的に命中しました。
「お見事です。」
「おー流石だなぁ。」
「アトミック王子カッコいい!」
絶賛です。
「次はスコットの番だよ。」
何という余計なお膳立てをしてくれるのでしょう、この王子様は。
アトミック王子と一緒に来たと言うだけで注目を集めてしまったというのに。
「あの〜僕はまったくの初めてなので教えてください……」
「あ、あぁ、そうなんだね。じゃあシッカリと弓が動かないようにして……」
スコット君は緊張しながらも、シッカリと弓を持ちました。
「うん、いいね。そうしたら矢を引いて、的をシッカリと見て、集中力を高めて……」
集中力を……そうだ!魔法で火の矢を放つイメージで……
「矢を放つ!」
「はい!火の矢!……あ!しまった!」
矢は物凄いスピードで跳んでいきます……的を大きく上方に外れて。
が、スコット君が火の矢をイメージしたせいで、勢いよく飛んだ矢は炎を纏い、やがて上空で爆発しました。
「………」
一同無言。
しばらくしてアトミック王子が、お腹を抱えて笑い出しました。
「はーはっは!ひーひっひ!お腹が痛い!スコット、あまり笑わせないでくれ!」
「いやいや、至って真面目にやったんだけど。」
「真面目にやるほど面白いんだって。でも的に当たらなくて良かったね。火事になってたかもしれないよ。」
その場にいた皆が、大きく頷きました。
「どうもセンスが無いみたいだなぁ。」
「いや、そんな事はないよ。」
上級生が言ってくれました。
「初めてで、力が入りすぎていたんだよ。もう一度やってみよう。今度はあまり集中しすぎないで、当たれば良いな〜ぐらいの気持ちでやってみて。」
注目の中でスコット君はどうしたものか……と思いましたが、緊張せずに気軽にやってみることにしました。
「今度は力まずに的をよく見て……軽く矢を放つ。」
「はい。」
「ヒュン!」
スコット君の放った矢は勢いよく飛んでいき、何と真ん中に当たりました。
「おおー!」
歓声が上がりました。
これにはアトミック王子もビックリです。
「やるじゃん!スコット!これでさっきの爆発の矢を放てば無敵じゃん。」
「いやいや、何と戦わせる気なのさ。でも……当たるととても気持ちが良いね。」
「そうだね。入部してもっと上手くなろうか。」
アトミック王子はそう言うと、上級生の部員に聞きました。
「とても面白いので入部したいと思いますが、他の部と掛け持ちでも大丈夫ですか?」
「アトミック王子達は、どの部と掛け持ちの予定ですか?」
「僕が園芸部で、彼は技術部です。」
「その2つなら、あまり拘束されないので大丈夫ですよ。弓は、あまり日を開けると感覚が鈍りますから。」
「そうですね。先程、園芸部と技術部でも、それほど拘束はしないと聞いているので大丈夫ですね。2人で入部するので、よろしくお願いします。」
「僕はスコットと言います。よろしくお願いします。」
「こちらこそよろしくお願いします、アトミック王子にスコット君。僕は部長のフィッシャーです。」
「先輩で部長ですから気軽にアトミックと呼んでください。」
フィッシャー部長は少し悩んだ後、
「そうだね、こちらこそよろしくね。アトミック君にスコット君。でもふたりが剣術部と魔法研究部の前に、ここに来てくれて良かったよ。」
「何故ですか?」
「彼等は部の掛け持ちを認めていないからね。」




