33 次の部活でリベンジを
飼育部ではまさかの退場スコット君。
馬車の整備なら……と訪れた技術部。
今度こそ入部できるでしょうか?
アトミック王子は飼育部の先生と部員のふたりと話して、スコット君の入部はちょっと難しそうと言う結論に至り、項垂れるスコット君を連れて飼育部を後にしました。
「残念だったね。スコット。」
とても残念そうに思っていないアトミック王子が、笑顔でスコット君に言います。
「アトミックがひどい!」
ガッカリのスコット君。
「いつか飼育部で手に負えない暴れ馬でも来たら教えてもらおうね。」
アトミック王子は笑いが止まりませんでした。
「あー面白かった。さて次はどうする?」
「もう……ちっとも面白くないよ。でもそうだね、馬がダメとなると今度は技術部かな。なんでも馬車を作ったりもしてるそうだから、いざという時に修理できるように勉強したいな。」
「なるほどね。まだ騎士ではなく行商なんだね。じゃあ行ってみよう。」
そう言ってさらに笑うアトミック王子と一緒に、技術部の部室に向かいました。
そこは部室と言うよりも、作業場と言うのが相応しい場所でした。
ここでも新入生に上級生の部員が説明しています。
「ここではいろいろな工作を行っているんだよ。既にある物を修理し改良する者、まったく新しい物を作ろうと試行錯誤する者等、部員はそれぞれ自分が作りたい物を作っているんだ。」
話を聞く新入生に混ざって、アトミック王子とスコット君も説明を聞いていました。
「興味を持った人は部員の作業風景を見ていってね。工作の体験スペースも用意してあるよ。」
ひと通り話を聞いたスコット君は、馬車を作っている人を見つけて、そこに向かいました。
しばらく様子を見ていると、
「馬車に興味があるのかい?」
と、上級生が聞いてきました。
「あ、僕は部長のライドだよ。よろしくね。」
「あ、僕はスコットです。よろしくお願いします。興味があると言うか、家が行商人をやっていまして、馬車が壊れた時に自分で応急処置が出来たら良いな……と思ったんですけど……ちょっと変わった馬車ですね。」
「なるほどね。ここではそう言う馬車の基礎も学べるよ。で、いま彼が作っているのはちょっと面白い馬車なんだよ。」
ライド部長はそう言うと、作業をしている男子に声をかけました。
「調子はどうだい?」
「だいぶ完成に近づいてきたよ。」
作業をしている男子生徒が答えました。
「彼は新入生なんだけど、君の作っている馬車に興味があるようなんだ。」
すると作業をしていた生徒は手を止め、スコット君を見ました。
「この馬車に興味があるとはお目が高いね。」
そう言って笑う男子部員。
「ええ、随分変わった馬車だな〜と思いまして。」
スコット君は思ったまま答えました。
「これはね、旅に特化した馬車なんだよ。中は部屋を小さくしたようになっていてね、ベッドや最近話題の冷却容器も備えているんだ。」
いわゆるキャンピングカーですね。
馬で引きますが。
部活動なので簡素ではありますが、中には二段ベッドと小さいテーブルと椅子があります。
「とても面白いですね。長旅でも快適に眠れそうです。」
「でしょ?でも2人しか寝れないし、沢山の荷物を積むことは出来ないから、行商には使えないね。まったく実用的じゃないや。」
そう言って部員は笑いました。
アトミック王子も興味を持ったようで、
「面白いなぁ。僕専用で作ってもらおうかな。」
などと言ってます。
「こちらは他の部と掛け持ちをしても構わないですか?」
スコット君は確認すると、
「ああ、もちろん大丈夫だよ。作りたい物が出来た時や、修理したい時とかに来れば良いよ。この部は技術科の生徒もいるから、いろいろと教えてもらえるよ。」
と教えてくれました。
「ありがとうございます。じゃあ入部させてください。」
スコット君は技術部に入部しました。
「次はどうする?」
「次はアトミックが選んでよ。」
「そうだなぁ〜ダンス部はどうかな?」
アトミック王子が笑顔で言いますが、スコット君は嫌そうな顔をします。
「えー、僕はダンスなんてやったことも無いし、今後やる予定もないよ。」
「まぁそんな事を言わずに、とりあえず行ってみようよ。」
そう言って、アトミック王子に半ば強制的に連れてこられたダンス部部室。
人気があるようで、多くの新入生が見学に来ています。
貴族科の女子でしょうか?
女子達はアトミック王子を確認すると、途端に色めき立ちました。
「キャー!アトミック王子よ!」
「素敵です!アトミック王子!」
「是非私と一曲踊ってください!」
「何言ってんの!私が先よ!」
あっという間に王子は人だかりに。
「わーー!」
あっという間に隅に追いやられたスコット君。
「皆さん!お静かに!ダンスは淑女のたしなみですよ!」
顧問の教師のひと言で、部室は静かになりました。
「うるさくて申し訳ありませんでした。アトミック王子。」
「いえ、こちらこそ突然お邪魔してすみません。」
「折角ですから、私と一曲踊っていただけませんかしら。デモストレーションとして。」
「僕で良ければ喜んで。」
アチコチから、先生ズルい!と言う声が聞こえてきますが、先生は動じません。
音楽が流れて、アトミック王子と先生は踊りました。
それはもう、女生徒達に一言も文句を言わせない程に見事なダンスでした。
踊り終わると、大きな拍手が巻き起こりました。
「じゃあ次はスコットが踊る番だよ。」
「絶対にイヤだ。」




