32スコット君の部活見学
アトミック王子は園芸部に入部を決めました。
次はスコット君が希望する部を見に行きます。
しかし待っていたのは波乱でした……
アトミック王子は園芸部に入部する事にしました。
でも他にも気になる部活があれば入部するつもりです。
「今度はスコットが見たい部に行こうよ。」
「そうだね。行商をするなら馬の世話もちゃんと出来ないといけないから、飼育部ってのを見てみようかな。馬も飼育しているようだしね。」
「よし、行ってみよう。」
アトミック王子がそう言って、ふたりは厩舎の方に向かいました。
ここでも上級生の部員が新入生に活動の説明をしています。
「……と言うように馬はとても怖がりです。驚かせたりしてはいけませんよ。」
と言ったところでアトミック王子に気が付き、危うく大声を出しそうになった部員は、手で口を塞いで何とか耐えました。
「アトミック王子、ようこそいらっしゃいました。でも王子はお城の方で乗馬はされていますよね?」
「そうですね。今日は友達のスコットが乗馬と飼育を学びたいと言うことで、僕もついてきたんですよ。」
王子が付き添いで来たという事に部員は驚きましたが、冷静を保ちスコット君に話しかけました。
「と言うと、君が馬に興味があるという事だね。」
「はい。スコットと言います。僕の父は行商人でして馬に馬車を引かせているのですが、僕も後を継ぐかもしれないので、馬の世話や乗馬を勉強したいと思いまして伺いました。」
部員はますます驚きました。
(確か王子は、この行商人の息子のスコット君を友達と言ったような……)
などと思いましたが、それは口には出さずに、
「そうなんだね。じゃあスコット君、とりあえずうちの馬達を見ていくかい?」
と言いました。
「いいんですか?よろしくお願いします。」
スコット君はそう言って3人は厩舎に向かいました。
厩舎には数頭の馬がいました。
どの馬もとても綺麗です。
よく手入れがされているようですね。
「とてもよく手入れされている馬たちですね。それにとても順応だ。良い馬たちです。」
アトミック王子が馬を優しく撫でます。
とても大人しい馬達です。
スコット君も近くに行きました。
すると、全ての馬達がスコット君を見て怯え始めました。
そして馬達が固まって隅の方に逃げていきます。
「え?……これは?」
スコット君、驚きました。
明らかに馬達はスコット君を怖がっています。
部員も、
「あれ?どうしたんだろう?」
と言って馬達をなだめます。
「じゃあこちらの誰にでも懐く、一番おとなしい馬に触ってみようか。」
部員が1頭の馬を連れてきました。
スコット君がそちらに近づくと、馬はガタガタ震えだしました。
そして更に馬に近づくと痙攣して失禁し、気を失って倒れてしまいました。
「え!?これは大変だ!先生!先生!」
辺りが騒然としました。
慌てて顧問らしき先生が来ました。
「いったい何があった?」
「それが……こちらの新入生が近づいた途端馬が怯えて、挙句の果てに気を失ってしまいました。」
部員の説明を聞いた先生は、
「なるほど……すまないが君はちょっと離れてくれるかな?」
とスコットに伝えます。
「え?あ、はい、わかりました。」
スコット君、離れたところで様子を見ることに。
やがて馬は気を取り戻し起き上がると、アトミック王子に頭を擦り付けました。
「……アトミック王子にはよく懐くようですね。」
先生はそう言います。
馬達は厩舎の隅に固まって、怯えた目でスコット君を見つめています。
「どうやら馬達は、君から恐怖と言うか殺気と言うか、何か威圧を感じているようだね。」
先生がそう言うので、
「え?うちの馬達は大丈夫なんですが……」
と、スコット君は言いかけたところで思い出しました。
神さまの拠点ではゲイル様が馬の世話をしています。
あの馬達はゲイル様がドラゴン様だと解っているようで、まるで兵士の様にビシッと従っていました。
だから拠点の馬達はスコット君くらいでは驚かないのでしょう。
しかし、どうやら普通の馬はスコット君の存在が恐怖でしかないようです。
「僕は馬達に怖がられている……」
ガックリと肩を落とすスコット君。
「そんなに気を落とすなよ。」
笑いながら慰めてくるアトミック王子。
「とりあえず他の動物の様子も見てみようよ。」
アトミック王子に誘われて、顧問の先生と部員と一緒に、他の動物達も案内してもらいました。
しかしどの動物達も、スコット君が近づくと背を向けて隅の方で固まっていたり、遠くから怯えた目で見つめていたりと一様に怯えていました。
「………。」
先生と部員は無言で引き攣った顔をしています。
アトミック王子は笑いをこらえています。
「そんなぁ……」
項垂れるスコット君にアトミック王子は、
「君は魔獣をたくさん狩りすぎたんだよ。きっと動物達は本能的に君には近づいてはいけないってわかるんだよ。残念だったね。」
と、少しも残念そうな顔をせずに、笑いを噛み殺しながら言いました。
「そんなぁー!」
スコット君は絶叫し、肘をつきました。
その絶叫に動物達は更に恐怖し、その日はスコット君達が帰っても、しばらく怯えたままだったそうです。




