31 アトミック王子の部活見学
早速希望の部活見学に向かうアトミック王子とスコット君。
アトミック王子には希望する部活があるようです。
それには理由があるようですね。
授業も終わり放課後になりました。
「スコット、さっそく部活動の見学に行こう。」
「そうだね。じゃあ、どこから見て回る?」
そこで、教室を出て行こうとするユキ先生に、アトミック王子は尋ねました。
「ユキ先生。部活動は、いくつかを掛け持ちしてもいいんですか?」
ユキ先生はしばらく考えたあとで、
「例えば剣術部のように大会に出て勝つ事を目指している部は、毎日練習があるので掛け持ちは難しいかしら。自分で時間調整が出来て、部長の許可ももらえれば掛け持ちも大丈夫ですよ。事実、掛け持ちしている上級生もいますからね。」
と教えてくれました。
「ありがとうございます。ユキ先生。」
アトミック王子が元気に返事を返すと、
「あ、そうそう。スコット君は剣術部はやめたほうが良いかしらね。死人が出てからでは遅いですからね。」
と笑いながらユキ先生は付け加えました。
「……ありがとうございます、ユキ先生。」
小さい声で返事をするスコット君。
クラスの皆も連れ添って部活見学に行くようです。
教室をわらわらと出ていきました。
「スコット、僕達も行こうか。」
「そうだね。じゃあどこから回る?」
「僕は、まず園芸部は入りたいと思っているから、そこからで良いかい?」
「うん、わかったよ。」
アトミック王子とスコット君は教室を出ました。
ふたりは園芸部が活動しているという花壇にきました。
昼間の剣術部や魔法研究部と違い、積極的な部員勧誘はやっていないようです。
とはいえ、希望している生徒はそれなりにいるようで、ふたりも部活の説明している場所に行きました。
「……という感じで、この花壇では季節に合わせた花を育てています……ってアトミック王子!?」
花壇の説明をしている上級生が、王子が現れたことに驚きました。
集まっていた生徒達も一斉にふたりを見てざわつきました。
「あ、僕のことはお気になさらず話を続けてください。」
笑顔でそう言うアトミック王子。
花壇の説明をしていたからか女生徒が多く、生徒達は色めき立ちました。
説明していた上級生も緊張した様子ですが、話を続けました。
「……以上が花壇の説明になります。」
説明が終わるとパチパチと拍手がわきました。
その拍手に応えた上級生はアトミック王子のところに来ました。
「アトミック王子がこんなところにこられるとは思いませんでした。いかが致しましたか?」
「はい。じつは僕の土魔法の先生が、上達する為には土と親しみ理解する事が大事と仰ったんです。そこで園芸部に興味を持ったのです。」
「そう言う事情だったのですね。それでしたら花壇よりも畑の方が良いですね。案内いたしましょうか?」
「よろしくお願いします。」
ふたりは上級生に連れられて畑に向かいました。
着いたその場所は中々立派な畑でした。
いろいろな野菜や穀物が育てられています。
「ここで収穫された物は商業組合に卸したり、文化祭で出品したり、自分達で食したりします。」
アトミック王子とスコット君は真剣に聞いています。
すると畑仕事をしていた男性が近付いてきました。
「アトミック王子がこのような場所に来るとは思いませんでしたよ。私は園芸部の顧問をしておりますミレーと申します。ところで畑に関心があるとかで。」
アトミック王子は顧問のミレー先生に事情を説明しました。
ミレー先生は、
「王子の魔法の先生は、魔法をよく解っておられますね。土魔法は土を理解する事から始まり、それは土魔法の頂に辿り着いても変わらないと私は考えています。」
そう言うとミレー先生は、畑でもなんでもない地面に両手を向け『土作り』と呟きました。
すると2メートル四方の土が浮き上がりました。
浮き上がった土からは、更に木の根などが浮き上がります。
余計なものが取り除かれた土は細かく砕かれ、フカフカの状態で地面に戻りました。
そして木の根等は別の場所にまとめられました。
アトミック王子は驚きました。
「凄いです。」
ミレー先生は、
「この魔法はですね、畑を作っているうちに覚えた魔法なんですよ。最初は普通にクワで土を掘り起こしていたんです。長い時間作業をしていると疲れてきます。簡単に土を掘り起こせないか……と、土を耕すイメージで魔法を使ったところ、土を掘り起こす事が出来たのです。小さいスコップで穴を掘る程度でしたがね。」
と、笑いながら話しました。
「それをキッカケに実際に畑を耕しながら、それと同じ動作を魔法で具現化していき、更に効率よく規模も大きく……と研究して、ここまで耕せるようになったんですよ。その後で余計な根などを取り除く方法なども考えましたがね。」
「なるほど……実際に自分の力で畑を耕し、その作業をより明確にイメージ出来るようにして練習し、更に魔法で出来る事の可能性を見出せば、ミレー先生のように自分の求める結果を魔法で生み出せるんですね。」
「さすがアトミック王子ですね。とても素晴らしい理解力です。」
ミレー先生は嬉しそうに頷きました。
「園芸部は他の部と掛け持ちをしても大丈夫ですか?」
「ええ。大丈夫ですよ。季節によって暇な時もあるので、掛け持ちの方も多いですよ。入部されますかな?」
「是非お願いします。」
アトミック王子は園芸部に入部しました。




