30 部活動
学校には部活動というものがあるそうです。
授業で習わない事に接し、新しい仲間との出会い。
でも強引な出会いもあるようです。
休み明けの登校日。
スコット君は待ち伏せされることもなく、ホッとしてます。
教室に入ると、アトミック王子がこちらに気が付きました。
「やぁ、おはよう、スコット。」
「おはよう、アトミック。」
「昨日は有意義な1日だったね。」
「ホントだよね。ノルディカさんには思いっきり負けちゃったけど。」
「ハハハ。ノルディカは、そんなに簡単に越えられる壁じゃないぞ。」
「うん。僕の目標の人だよ。」
「そして乗り越えた先には幸せな結婚。」
……ザワザワ……
「い、いやだなぁ〜何を言ってるのやらアトミック王子。」
周りの空気が変わったことを感じて、焦るスコット君。
校舎の入り口で待ち伏せされることはなくなっても、注目されている事には変わりないようです。
そうしてしばらく雑談をしていると、ユキ先生が入ってきました。
「はいはい。皆席に着きましょう。」
そう言うとユキ先生は、黒板に何やら書き始めました。
『部活動』
「この学校には幾つかの部活動があります。主に授業前や放課後に活動していますね。今日からその部活動の勧誘が始まります。」
どうやら今日から部活の新人勧誘が解禁になるようですね。
「部活動の参加は強制ではありません。放課後に家事や家業のお手伝いをしている人も多いですからね。でも時間の取れる人は所属してみる事をおすすめします。部活動では、授業で触れる事のない分野に挑戦する事も出来ます。専門学科の生徒もいるので教室とは違った人間関係を築く事も出来ます。体験だけでもしてみると良いと思います。」
その後、部活動について、もう少し説明をした後は、いつも通りの授業が始まりました。
そして昼休み。
教室に他クラスの生徒が入ってきました。
どうやら上級生のようです。
「スコット君と言う生徒はいるかな?」
どうやらスコット君を探しているようですね。
「あ、はい、僕がスコットですが。」
そう言うと、その上級生は顔をニンマリとして近付いてきました。
「やぁスコット君。僕は剣術部の部長のロクサだよ。早速だけどね、剣術部の勧誘に来たんだけど、もちろん入部してくれるよね。」
と、にこやかに言ってきました。
スコット君はしばらく考えたあとで、
「いろいろな部活を見てから決めようと思っていますので、即答できないですよ。」
と、申し訳なさそうに言いました。
「えぇ!?君はかなりの腕前と聞いているぞ!?剣術部一択だろ!?」
とロクサさんは食いついてきます。
そこに、またひとりやってきました。
「やれやれロクサ。スコット君は暑苦しいのが嫌いなんだよ。」
「何だと!ってお前はローム!」
「初めまして。僕はロームと言います。魔法研究部の部長をしてます。君のことは聞いてるよ。何でも凄い魔法を使うとか。是非我が部で魔法を極めようではないか。」
「いえ、先程もお話しましたが、いろいろな部を見て回りたくて……」
「いやだなぁ、君のような逸材は他では勿体ないよ。」
そこに割って入るロクサ部長。
「おい!ローム!邪魔をするな!スコット君は剣術部に入るんだ!」
「何を言ってるんだい、ロクサ。君は先程スコット君に断られていたではないか。」
「それはロームも同じだろ!」
「なんですと!」
「なんだと!」
スコット君を巡る争い再発。
やっとクラスの男子や女子に囲まれなくなったというのに……
「まぁまぁ先輩方、落ち着いてください。」
「なんだと!邪魔をするな!……ってアトミック王子!?」
いつも助け舟を出してくれる、頼れる男アトミック王子。
「じつはスコットは、その実力を見込まれて僕の護衛もしているんですよ。なので、剣や魔法の技術は公に出来ない制約もあるんです。そう言った理由で入部は難しいと思いますよ。」
とにこやかに言うアトミック王子。
「ぐぬぬ……」
さすがにアトミック王子に言われては引き下がるしかありません。
「まぁ部活動見学だけでも見に来てくれ。」
そう言って部長達は帰っていきました。
「ヤレヤレだよ。いつも助けてもらってばかりだよ。ありがとうアトミック。」
疲れた顔でアトミック王子にお礼を言うスコット君。
「いいよ。気にするなよ。」
と返すアトミック王子。
「しかし、男子達に待ち伏せされて、女子達に待ち伏せされて、今度は部長達。スコットはモテモテだなぁ。」
と、お腹を抱えて笑うアトミック王子。
そうでした。
アトミック王子は確かに助けてはくれるのですが、それを楽しんでもいます。
「ハァ……僕の平穏はどこに……」
項垂れるスコット君。
アトミック王子は笑いながら、
「まぁまぁ。とにかく放課後になったら、一緒にいろいろな部活動を見て回ろうよ。僕はゲイル様のアドバイスもあるから園芸部に興味があるんだ。」
なるほど……とスコット君は思いました。
どうせなら自分の糧となる部活に入りたい。
そう思うとやる気が出てきました。
「そうだね。きっと役に立つ部活動があるよね。是非一緒に見て回ろう。」




