27 スコット君とノルディカ副騎士団長
ノルディカさんと戦う事になってしまったスコット君。
ノルディカさんは、いつにも増して獰猛な顔をしています。
その結果……
スコット君は、戻って来たばかりのノルディカさんと、戦うことになってしまいました。
これだから戦闘狂は困ります。
歯ごたえのありそうな相手を見つけると、すぐに戦いの流れになってしまいます。
「僕は戦闘狂ではないですよ〜行商人の息子ですよ〜」
誰もスコット君の話を聞いてくれません。
「さぁ、スコット君、やるぞ!」
今、サソリの魔獣と戦ってきたばかりだろうに、ノルディカさんはやる気満々です。
とはいえスコット君も、今の実力を確かめたいのは事実です。
「わかりました。」
と返事をして、ノルディカさんと向き合いました。
そして黒い木刀を構えます。
黒い木刀に、黒い炎が纏わりつきました。
「スコット君にはいつも驚かされる。」
ノルディカさんはそう言うと、白いレイピアを抜き、一直線に向かってきました。
凄い速さの突きがスコット君を襲います。
しかしスコット君は、その剣を剣でさばき、または躱し見事に対応します。
そしてノルディカさんの攻撃が止まった瞬間に、スコット君は袈裟斬りを繰り出しました。
しかしそこには既にノルディカさんはおらず、スコット君の剣は空を斬りました。
ノルディカさんは素早い回避でスコット君の側面に移動しており、そこから無防備のスコット君に突きを繰り出しました。
スコット君は瞬時に氷魔法の結界を発動し、ノルディカさんの攻撃をかわして距離を取りました。
そして2人は再び距離を取り、向かい合います。
「スコット君は更に腕を上げたな。しかし私も今日はひとつ壁を超えることが出来たのでな。次で決める!」
そう言うノルディカさんは、意外にも普通の突きを繰り出してきました。
スコット君は、その攻撃を木刀で受けます。
その瞬間、
「雷撃」
とノルディカさんが呟きました。
ノルディカさんのレイピアから走る雷の光。
スコット君の木刀はダイヤのように硬く作ったつもりですが、なんだかんだ言っても炭です。
カーボンのような性質でしょうか。
ダイヤと違い、よく電気を通します。
「アガガガガ……」
スコット君、感電して気を失ってしまいました。
急いで回復させる生命神ロキシー王女。
スコット君は気を失ったままですが、ロキシー王女の世界樹の回復力で身体は大丈夫です。
スコット君の無事を確認したロキシー王女は激怒。
「ノルディカさん!スコット君を殺す気ですか!」
「す、すみません!つい……」
「つい……ではありません!スコット君は凄い剣技を身に着けていますが、その身体はまだ子供です!何かあったらどうする気ですか!」
「申し訳ありません!」
激怒するロキシー王女に、頭が上がらないノルディカさん。
「今後、スコット君とは魔法を使った戦いを禁止!木剣以外での戦いを禁止!」
「えーー!?」
「えーー!?……じゃありません!絶対ですよ!ノルディカさん!」
ロキシー王女に怒られては、これ以上反論出来ないノルディカさん。
普段見せることの無いションボリした姿で謝ります。
「わかりました。申し訳ありません。」
そうこうしている間にスコット君が気が付きました。
「は!?僕はいったい何を!?」
上体を起こし、辺りをキョロキョロ見てます。
気が付いたスコット君を抱きしめるロキシー王女。
「良かった……無事で本当に。身体は大丈夫ですか?おかしなところはありませんか?」
ロキシー王女に抱きしめられたスコット君は顔を真っ赤にしながら、
「は!はい!大丈夫です!いったい何が……」
「スコット君は戦闘バカの雷撃を受けて感電したんですよ。危ないところでしたわ。」
「そうだったんですか……僕もまだまだですね。」
「いいえ!加減を知らないノルディカさんが悪いのです!先程、巨大なサソリの魔獣を雷撃一発で倒したので、いい気になっているのです。」
ノルディカさんがションボリしながらスコット君に謝ります。
「スコット君、すまなかった。加減せず攻撃してしまった。本当に申し訳ない。」
「いいえ、雷撃など初めてでした。僕もまだまだですね。勉強になりました。」
「スコット君……」
そこに割って入るロキシー王女。
「スコット君!甘やかしてはいけません!それにスコット君にも言いますが、ノルディカさんと模擬戦をする時は魔法禁止!木剣のみ使用可ですから!ふたりともわかりましたね!」
ロキシー王女のあまりの剣幕に、ふたりは頷くしかありませんでした。
怒られたスコット君はノルディカさんに言います。
「でもそうですね。今はまだ遠い存在ですが、いつか魔法を使わずにノルディカさんに勝ちたいです。」
「そうだな。いつか私に勝つことが出来たら私と結婚しようではないか。私は、私より強い男と結婚すると決めているからな。」
その場の全員の目が点になりました……




