21 男子生徒の次は女子生徒
男子生徒達との件はとりあえず解決。
しかし今度は女子生徒達がスコット君を狙います。
ただし男子生徒達の時とはどうも違うようで。
スコット君が男子生徒達に因縁をつけられ絡まれる……と言う事件が済んでからというもの、とりあえず男子生徒達に待ち伏せされるなどという事は無くなりました。
良かったです。
怪我人が出る事が無くて。
精神的にダメージを負った子はいるようですが……
ところがスコット君、今度は女子生徒達に絡まれると言う事態になってきました。
スコット君が校舎の近くまで来ると、入り口に数人の女子生徒が集まっていました。
(あれは確かアトミックの取り巻き女子……だけではないなぁ?)
しばらく陰で様子を見てると、どうやら誰かを待っている様子。
(待っているのは……誰だろう?アトミック王子?)
男子生徒達の時と違って刺々しい雰囲気は感じられないので、スコット君は普通に校舎に入ろうとしました。
「あ!スコット君だ!」
「スコット君!おはよう!」
「スコット君!ちょっとお話が……」
「何言ってるの!?私が話があるのよ!」
「そっちこそ何よ!」
呆気にとられるスコット君。
「えっと……おはよう。僕に用事なの?何かな?」
ビックリしながら女子生徒に聞くと、
「ええと……」
「あの……」
皆しどろもどろ。
「ま、まぁ、教室に入ろうね。」
そう言って教室に向かいました。
女子生徒達を従えて教室に入るスコット君。
その様子を見て、お腹を抱えて笑うアトミック王子。
「スコット、モテモテだね。」
ニヤニヤしながらそう言います。
「いや、そんなじゃないからね。大体僕はしがない行商人の息子だよ?モテる理由が無いじゃん。」
そう言うスコット君に王子は、
「優しい笑顔と物腰、なのにとても強い、そして王子と幼馴染……注目されるよね。」
と言って更に笑います。
「え?そういうものなの?」
森の中で両親と妹、タイヨー兄さんにロキシー姉さん、そしてドラゴン様や精霊様達、それらの面々以外とは、ほとんど接点を持たずに暮らしてきた日々。
同年代の女子と接するという機会を、一切持たずにこの歳まで成長したスコット君には、未だ恋心と言うものに芽生えておりません。
とても強く美しいユキ様やノルディカさんに憧れは持っていますが、それは同年代の少女に恋心を抱くものとはまったく違います。
そもそも同年代の子供と初めて会ったのがアトミック王子なのです。
こういった同年代の女子の反応に、どう対応して良いのか全く分からず困ってしまいました。
「どうすれば良いのかなぁ?」
するとアトミック王子が悪い笑みを浮かべたかと思うと、皆に聞こえる程度の声で、
「ねえ、スコット。スコットは歳下や同じ位の歳で大好きな女の子はいるの?あ、名前は言ったら駄目だよ。」
と、聞きました。
皆が一斉に聞き耳を立てます。
「え?いるよ?」
教室がざわつきました。
そしてアトミック王子が更にひと言。
「それは僕も大好きな女の子の事だよね?」
「ん?そうだね。」
そう言って笑い合うアトミック王子とスコット君。
もうざわつくどころではありません。
噂をし合う女子生徒。
私だ!と言い張る女子生徒。
顔色が紅潮する女子生徒に青くなる女子生徒。
フラフラしている女子生徒もいます。
「そ!それは誰ですの!?」
堪らず積極的な女子がアトミック王子に問いただしました。
「それは言えないよ。僕とスコットの秘密だからさ。な、スコット。」
そう言ってウインクするアトミック王子。
「え?うん、そうだね。」
ここはアトミック王子に話を合わせるスコット君。
クラス中は2人が好きだという女の子について、ワイワイと騒ぎ始めました。
それを見てアトミック王子は、
「女の子達はね、誰が誰の事を好きとかそういう話が大好きなんだよ。」
とスコットに教えます。
「え?そういうものなの?」
「そうなんだよ。だから好きな人がいるって言っておけば、積極的にアプローチしてくる事はなくなるよ。」
「そうなんだね。初めての事だらけで解らない事ばかりだよ。」
「知ってるよ。だからスコットには本当に好きだという人が出来るまで、誰かひとりの女子と親密になる事はやめてほしいんだ。」
「そうなの?」
「うん。ひょっとしたら別の女子が妬んでその女子を虐めるかもしれないだろ?中にはスコットの戦闘力が欲しいだけで言い寄ってくる人も出てくるかもしれない。気を付けないといけないよ。本人はそのつもりは無くても、その子の両親がスコットを利用しようとしてくる可能性もあるからね。今はまだ用心してほしいんだ。」
「なるほどね。怖いなぁ〜よくわかったよ。」
そしてアトミック王子は小声で、
「ところでスコットが大好きな女の子ってフラックスちゃんだろ?」
「え?もちろんだよ。アトミックもだろ?」
「もちろん。だって信頼する仲間だもんね。」
そう言うと、ふたりは笑い合いました。




