20 見せしめ
男子生徒たちに絡まれ連れていかれるスコット君。
大丈夫か!?スコット君!?
大丈夫か!?男子生徒達!?
人気のない所に連れて行かれるスコット君。
いや、先頭をスタスタ歩いていくのがスコット君なのだから、人気のない所に連れて行かれているのは男子生徒達でしょうか。
ともかく人気のない場所に着いて、スコット君は男子生徒達に囲まれていました。
「さて、僕に何の用かな?」
笑顔で話しかけるスコット君。
「何の用かじゃない!ナメやがって!」
「アトミック王子と幼馴染だからって調子に乗るなよ!」
「痛い目に合わせてやる!」
見ると、男子生徒達は木の棒を握りしめています。
「やれやれ……荒事は嫌いなんだけどな。」
「うるさい!みんな!やっちまえ!」
「おー!」
男子生徒達は一斉に飛びかかりました。
いや、飛びかかるつもりでしたが動きませんでした。
見ると、靴が床に凍り付いて動けなくなっています。
「お前!何をしやがった!?」
荒ぶる男子生徒にスコット君は、
「まぁ氷魔法でチョイチョイと。そんな事より、もうやめないかなぁ。」
「うるさい!お前なんかボコボコにしてやる!」
「はぁ」
と、動けずジタバタしている男子生徒達を前に、大きなため息をつくスコット君。
「ならしょうがないか。そっちがそのつもりなら覚悟してね。まだあまり上手く使えないけど『威圧』。」
そう呟いてスコット君は弱めに威圧を放ちました。
威圧を受けた男子生徒達は、恐怖にその身をガタガタと震え上がらせました。
皆には見えたのです。
見えてしまったのです。
ドラゴンが、今にもこちらに向かって襲い掛かってくる姿を……
「ド!ドラゴン!?」
男子生徒達は小便を漏らし、気を失ってしまいました。
「あーやり過ぎたかなーまぁすぐに目を覚ますでしょ。」
スコット君はそう呟くと、その場からフッと姿を消しました。
その後、通りかかった先生が驚いて皆を起こしたのでした。
スコット君はと言うと、瞬時に食堂に移動して誰にも気付かれずに、いつの間にかアトミック王子の近くで食事をしていました。
アトミック王子にはバレていましたが。
アトミック王子の取り巻き達は、いつの間にか王子の隣で食事をしているスコット君に驚きました。
「いつの間にそこに?と言うか、さっき男子生徒達と一緒に何処かに行きませんでしたか?」
「ん?ああ、ちょっと話をして、すぐにこっちに合流してたよ。気が付かなかった?」
「そうだったんですね。」
隣でアトミック王子が笑いをこらえています。
こうして談笑しながらのランチタイムは無事終了しました。
無事で無かったのはこの後。
午後の開始時刻になっても、数人の男子生徒達が教室に戻ってきませんでした。
でもユキ先生は何か知ってる様子。
特に気にするでもなく授業を始めてしまいました。
しばらく授業が進んでいくと、教室の扉が音もなく開きました。
そこからコソコソと教室に入ってくる男子生徒達。
「そこの男子諸君。コソコソ入ってこずに前に来なさい。」
ユキ先生の怖い声が響きました。
男子生徒達はビクッとした後、恐る恐る前に出てきました。
「いったいどうしたのですか?授業はもう始まってますよ。その前にズボンが体操着の様ですが制服はどうしたのですか?」
ユキ先生の質問に、皆が顔を真っ赤にして泣きそうな表情になります。
「まぁ良いでしょう。武士の情けとも言います。席に着いてください。では授業を再開しますよ。」
ユキ先生は、この話題は終わりとばかりにさっさと授業を続けました。
授業も終わり、皆が男子生徒達に詰め寄りました。
「何で授業に遅れたの?」
「何かあったの?」
「何で体操着?」
「制服は?」
ああ!子供達の質問のなんて残酷なことでしょう!
男子生徒達は泣きそうです。
そこに颯爽と登場するのはアトミック王子。
「みんな、ユキ先生も言ってたじゃないか。武士の情けって。ここは何も聞かずにいてあげようよ。さぁ解散解散。」
さすがにアトミック王子に楯突くことも出来ず、渋々皆は解散するのでした。
アトミック王子は男子生徒達にひと言。
「あまりスコットにチョッカイ出さない方が良いよ。彼は僕の護衛も兼ねてる凄腕だからね。なんたってノルディカ副騎士団長と対等に戦えるんだからね。」
ノルディカ副騎士団長の名前の効果は絶大です。
男子生徒達は震えながら大きく首を縦に振るのでした。
その夜の事。
「スコット君。あまりクラスメイトを虐めてはいけません。友達がいなくなりますよ。」
「はい……ごめんなさい、ユキ先生。」
家で御説教を受けているスコット君でした。




