18 自己紹介
教室に王女様がいたら驚きますよね。
当然教室はざわざわしています。
ちゃんと自己紹介するのが良いでしょうね。
その頃、商業科の教室では、ざわつきが収まりませんでした。
服装や髪型は庶民のそれですが、顔はどう見ても王女様。
名簿の名前はロキシー。
そして、その王女らしき女性と親しげに話しているのは破壊神。
名簿の名前はタイヨー。
ロキシーという名の女性に確認したいところではありますが、入学時の実技試験で暴力的な破壊力を見せた破壊神タイヨーが怖くて声をかけれません。
そうこうしている間に時間は経ち、教室に教師が入ってきました。
「はいはい、皆さん席について静粛に。私がこの商業科の担任のキャピタです。これからよろしくお願いします。」
キャピタ先生は全員の顔をひと通り見渡すと、ロキシー王女に目を止めました。
「ロキシーさん。皆もいろいろと疑問に思うところがあるかと思います。どうでしょう?最初に自己紹介をしていただけませんか?」
ロキシー王女は微笑み了解し、教室の前に出て皆の前に立ちました。
「皆さん、初めまして。ロキシーと申します。察しておられるかと思いますが王女です。」
その途端、クラスの生徒達は大騒ぎ。
「やっぱりそうか!」
「服装は庶民だけどオーラが違うもんね。」
「可愛い……」
「でもなぜ王女様が商業科に?」
ざわめきは徐々に疑問へと変わりました。
「一応王女ではありますが、行商人の仕事もしておりまして、一度ちゃんと勉強しておこうと思った次第です。」
ますます生徒達の顔が困惑してきました。
「私はそちらにいるタイヨー君と婚約しておりまして、いずれは王家を出るつもりです。」
「「えーー!?」」
どよめきは最高潮に達しました。
それはそうでしょう。
王女がその立場を捨てて行商人の元に嫁ぐと言うのですから。
「なぜ!?」
「行商人なんて危険が伴うのに……」
「しかも破壊神……」
ざわつく生徒達に、ロキシー王女は更に付け加えます。
「彼はただの行商人ではありません。私の命の恩人なのです。私が2度死地に直面した時に、彼は助けてくれたのです。」
「「おぉー!」」
またもどよめく生徒達。
タイヨー君は、なんとも居心地の悪い気分でした。
なのにロキシー王女は、
「と言うわけでタイヨー君も是非こちらに。」
なんて言うのです。
さすがに、ご指名なので前に出ない訳にはいきませんが、皆の視線が突き刺さりとても痛いです。
「え〜ご紹介に預かりましたタイヨーと申します。ロキシー王女の紹介の通り、しがない行商人見習いですがどうかよろしくお願いします。」
「……。」
しばらくの沈黙の後、
「そ、それではふたりとも席に戻ってください。」
と言う、キャピタ先生の言葉で時間は再び動き出しました。
この日は授業等はなく、学校や授業についての説明、行事等のスケジュール、教科書の配布等がありました。
それらを終えて本日は解散です。
と言うわけでタイヨー君とロキシー王女は帰宅しました。
家に着くと玄関前には豪華な馬車。
「送ってくれてありがとう。」
「気にしない気にしない。それじゃ明日また学校でね。バイバイ!」
「バイバイ!」
どうやらスコット君はアトミック王子に送ってもらったようです。
「おかえり、スコット君!」
「あ!タイヨー兄さんもロキシー姉さんもお帰りなさい!」
そう言って3人揃って玄関を潜ります。
「スコット君、学校はどうだった?」
「それがもう驚きでしたよ……って先生!?速くないですか?」
「先生??」
スコット君が先生と言って話すのはユキ様。
「タイヨー兄さん、僕のクラスの先生は、なぜかユキ様なんですよ。僕もアトミックもビックリですよ。そうそう、アトミックも同じクラスでした。」
「サプライズって事ですよ。喜んでもらえたかしら?」
カラカラと笑うユキ様。
「先生って誰でもなれる仕事なの?」
タイヨー君の疑問はもっともです。
「私もちょっと分からないです。」
さすがにロキシー王女も、先生にどうやってなるのかは分からないようです。
「簡単ですよ。スミス王に、先生になりたいんだけど……って言ったらすぐに了承されましたわ。」
「……まさかユキ……脅してないよね?」
「タイヨー様、失礼ですね。ちゃんと教員試験も受けましたよ。」
確かにドラゴン様も精霊様も、長くいきているだけあってとても博識です。
ただユキ様は、遊び心が強いと言うか、悪戯好きと言うか、面白い事が好きと言うか……
「生徒達を悪い道に導かないでよね。」
「タイヨー様は私を何だと思ってるのですか?まぁ実際は、スミス王からアトミック王子の護衛も頼まれていますがね。先生なら校内でも共にいられますからね。」
まぁ確かにその通りです。
ノルディカさんや騎士の方々が護衛につく訳にはいきません。
その点、先生として近くにいるのであれば何も問題なさそうですが……
「本当に大丈夫だよね?」
「しつこい男は嫌われますわよ、タイヨー様。」
「僕はユキ様が先生なのは心強いし嬉しいです。」
「スコット君は良い子ですね。100点をあげましょう。」




