15 入試当日
いよいよ入試当日です。
この日のために準備してきたタイヨー君。
まずは筆記試験です。
さて、本日はタイヨー君とロキシー王女のバートン国立学校商業科の入学試験当日です。
「タイヨー君、忘れ物はないですか?」
「うん、大丈夫だよ。」
「では行きましょうか。」
2人は学校に向かって歩き出しました。
「ところで商業科は何人くらいなの?」
「どうでしょう?大体50人くらいでしょうか?科によって違うのでよく分からないのですが。」
「ちなみに以前行っていた内政科と貴族科はどれくらいの人数がいたの?」
「どちらも少人数でしたね。内政科を受講する方は、元々内政に関わってきた家系とか貴族の方が殆どですし、貴族科に至っては貴族の家系の方のみですので。」
そもそも貴族の方が少数の訳ですから当然ですか。
「でも内政科や騎士科は異職種の方で挑戦される方もいましたよ。当然成人された方々です。」
「騎士を夢見て学校に入る……夢があるね。」
話をしながら歩いているうちにタイヨー君とロキシー王女は学校に到着しました。
「えーっと、商業科はどこかなぁ〜」
タイヨー君がキョロキョロしてますが、すぐにロキシー王女が商業科の受付を見つけてタイヨー君の腕を引っ張って連れていきます。
ロキシー王女は受付の女性に小声で話しかけました。
「すみません。驚かず平静を装って聞いていただきたいのですが……」
受付の女性は一瞬驚いた顔をしましたが、声を上げることはなく静かに答えました。
「ロキシー王女ですね。そちらはタイヨー様。内密に王室の方からお話を伺っております。私についてきてください。」
女性はそう言うと、別の者にその場を任せ学校の中に歩いていきました。
2人は後を追っていき、人が見当たらくなったところで受付の女性が話しかけてきました。
「あの場所でロキシー王女と言うことが皆に知れたらパニックになってしまいますからね。」
「気を使ってくれてありがとう。とても助かりますわ。」
ロキシー王女の返事に嬉しそうな顔をしたあとで、受付の女性は申し訳なさそうに聞いてきました。
「ところでロキシー王女様。握手をしてもらっていですか?」
「え?それは構いませんよ。」
そう言ってロキシー王女は手を差し出しました。
受付の女性は、その手を愛おしそうに握り、
「ああ……女神様。ありがとうございます。もう私の一生に悔いはありません。」
そう言って涙を流しました。
ロキシー王女は、
「私は女神様ではありませんよ。でもあなたの人生はまだまだこれからです。幸多き未来をお祈りしていますわ。」
と、言いました。
受付の女性は、
「女神様……何というもったいないお言葉……」
と言って更に涙を流しました。
その後、気持ちを受付嬢に切り替えた女性は、試験を受ける部屋に2人を案内すると丁寧に挨拶して、もと来た通路を戻っていきました。
「王都では女神信仰が流行りそうだね。」
「タイヨー君までやめてくださいね。」
2人はそんな話をしながら部屋に入りました。
部屋には既に何人か席についていますが、試験前の緊張からか誰もロキシー王女に気が付きませんでした。
受付ではロキシー王女から名乗ったので分かってもらえましたが、今のロキシー王女は服装は平民の服で、髪型も普段とは全く違うスタイルにしています。
なので自分から名乗らなければロキシー王女とは気付かれないでしょう。
2人も席に着き、静かに待っていました。
しばらくしたら試験官がやってきました。
彼は部屋の中をひと通り眺めたあと、ロキシー王女に誰にも気づかれないような目礼をしました。
そして、
「全員揃ったようだな。これから商業科の入学試験を始める。」
と言うと、試験用紙を係員と配り始めました。
「開始の合図をするまで問題は裏にしたまま触らないように。」
やがて全員に試験用紙が配布されました。
「全員に配り終えたな。それでは始め!」
その合図と共に、皆一斉に試験に取り掛かりました。
ペンが走る音しか聞こえない静寂が1時間過ぎた時、
「全員ペンを置くように!」
と言う試験官の合図が響きました。
やがて係員が答案用紙を回収し終わると、
「筆記試験はこれで終了だ。この後、商業科は1時間の休憩を挟んで実技試験になる。各自休憩の後、訓練場に集合するように。」
そう言って試験官と係員は部屋を出ていきました。
ロキシー王女は小声でタイヨー君に、
「お疲れ様でした。試験はどうでしたか?」
と、尋ねました。
「うーん、たぶん大丈夫かなぁ?答えられない問題は無かったけど。」
タイヨー君は自信があるようです。
「そうですね。基礎科を卒業していれば難しい問題ではなかったと思います。」
ロキシー王女は余裕そうです。
そうして待つこと1時間。
2人は訓練場に向かいました。
試験官は受験者が揃っていることを確認し全員に伝えました。
「では実技試験をとりおこなう。」




