14 入学試験対策
子供達の入学準備は順調です。
ところでタイヨー君は大丈夫?
商業科は入試があるようですよ。
子供達の入学準備が着々と進んでいくなか……いや、基礎科に入学するのに実技はまったく必要ないのですが……ともかく、タイヨー君とロキシー王女も入学準備をしなくてはなりません。
なにしろ専門学科には入学試験があるのですから。
「え?そうなの?」
タイヨー君はロキシー王女に聞きます。
「そうですよ。」
当然です。
基礎科ではないのですから。
とりあえず基礎科の知識があれば大丈夫です。
「ならライアにいろいろ教えてもらっているから大丈夫。」
と言うわけで、ロキシー王女がチャチャッとテスト問題を作りました。
「とりあえずやってみてください。」
タイヨー君、難なく答えていきます。
当然です。
これで間違えたらライアに怒られます。
「となると問題は実技ですね。」
「え?僕はそこそこ強いと思うけど?」
タイヨー君は不思議に思い聞くと、ロキシー王女はそれですよ……と言います。
「タイヨー君は強すぎるんですよ。だから攻撃を受けても怪我ひとつしないじゃないですか。でもそれじゃあ試験は受からないかと。ちゃんと回避や防御が出来ないと駄目なんですよ。」
「え?『威圧』や『重力操作』は?」
「試験官が皆、気絶して試験はそこで終了ですよ。程々の戦いをしないと駄目なんですよ。」
「なるほど……ロキシーは大丈夫なの?」
「私は世界樹様の力を得てから、時々ゲイル様と紅炎様にご指導いただいてますわ。」
「そうなんだね。じゃあ僕も練習してみよう。ゲイルはいる?」
「はい。此処に。」
いつの間にか近くにいるゲイル様。
「ビックリしたー!」
いつも通り驚くタイヨー君。
「あ、そうそう。なんでも学校の商業科を受けるには実技試験もあるんだって。そこで普通の人が使う剣術を教えてほしいんだけど。」
「なるほど。普通と言うのが重要なのですね。わかりました。早速やってみましょう。」
王都で暴れるわけにはいかないので、タイヨー君達は神さまの拠点に移動しました。
「試験は木剣で行われると思います。」
そう言ってゲイル様はタイヨー君に木剣を渡します。
「では早速いきますよ。はっ!」
ゲイル様がタイヨー君の頭を目掛けて木剣を振りました。
木剣はタイヨー君の脳天に命中。
が、木剣は折れてしまいクルクルと遠くにとんでいきました。
「………。」
一同沈黙。
「……あの〜タイヨー君。剣で受け止めるなり、避けるなり、しなくちゃ駄目ですよ。」
「そうだったよね。もう一回ゲイルお願い。」
「わかりました。ではもう一度。」
ゲイル様が剣を振り下ろします。
タイヨー君は、すかさず後ろに跳んで回避。
100メートル程後ろに行ってしまいました。
「……タイヨー君、避け過ぎです。」
そう言うと、ロキシー王女は直径20メートル程の円を地面に描きました。
「この線から外に出たら駄目ですからね。」
しかし何度やっても円から出ちゃうタイヨー君。
それはそうです。
以前、隕石を確認しに宇宙まで行った時もそうですが、タイヨー君の全力の移動速度は、ほぼ光速です。
瞬時に移動しようとすると、どんなに抑えても一瞬でかなりの距離まで移動します。
つまり微調整が全くできません。
「困りましたね。」
ロキシー王女、思わず呟きました。
そこでゲイル様が、
「いっその事、超短距離の瞬間移動をしてみてはいかがでしょうか?」
と言うので、タイヨー君はとりあえずやってみることにしました。
「じゃあ円の中で瞬間移動してみるからゲイル、攻撃してみて。」
「わかりました。ではいきます。はっ!」
ゲイル様がタイヨー君の脳天目掛けて木剣を振り下ろしました。
そしてタイミング良く1メートル程瞬間移動。
「凄い!タイヨー君!まるで避ける動作が見えなかったわ!」
ロキシー王女、大絶賛。
「タイヨー様、まるで達人技ですぞ。」
ゲイルにも褒められました。
「だって瞬間移動だよ。」
タイヨー君はそう言いますが、2人が喜んでいるのできっと大丈夫なんでしょう。
「次は攻撃ですが……やはりタイヨー様の攻撃は……?」
「上空から一直線に突っ込めば、隕石の何百倍もの威力があるかもしれないけど、地面に足をつけて剣を振っても大したことないよ。」
そう言ってタイヨー君が軽く木剣を地面に打ち付けたら、先程の20メートルの円と、ほぼ同じ大きさのクレーターができました。
まるでアラレちゃんです。
「……くれぐれもそれを試験官に直撃させないでくださいね。」
ロキシー王女が青ざめた顔で言います。
ゲイルが、
「ワザと外して地面に打ち付ければ合格をくれるでしょう。試験官殿も我が身が大事でしょうから。」
と言います。
タイヨー君も、
「……はい。気を付けます。」
と言うしかありませんでした。
ちなみにロキシー王女とゲイル様の模擬戦は充分に合格点でした。




