13 歴戦のパーティー
初めて自分達だけで魔獣を倒した3人の子供。
今日も実戦経験を積んでいます。
その姿は、もはや歴戦のパーティーの様で。
あの魔獣との戦いから子供達3人は、積極的に実戦経験を積んでいました。
今では余裕も出てきたのか、いろいろな連携を試しながら戦っています。
そして今もイノシシの魔獣と戦っています。
その3人を見て、ノルディカさんは感嘆の声を上げました。
「まるで幾多の死線を戦い抜いた歴戦のパーティーだな。見事な連係だ。」
あっという間にイノシシを倒すと、どうやら血の匂いを嗅ぎつけたようで、今度は複数の狼の魔獣が出てきました。
10数匹はいる大型の狼の魔獣でしたが……
アトミック王子が最近覚えた強力な『威圧』を放つと狼達は恐怖し動きを止め、フラックスちゃんが氷魔法を放ち狼を全て氷漬け。
まだ動ける3匹の狼にスコット君は猛烈なスピードで近付いたかと思うと、的確に急所のみを突き、瞬時に多数の魔獣を無力化してしまいました。
ノルディカさん、驚きのあまり開いた口が塞がリません。
ゲイル様が戦い終わった3人をそれぞれ評価しました。
「アトミック王子、覚えたばかりだと言うのに見事な威圧だった。だが、あの威力のままで人に向けたら即座に気を失ってしまうだろう。威力を上手に調整できると、いろいろと使い道が増えるぞ。」
「わかりました!いろいろ試してみます!」
「フラックス嬢、氷魔法の威力も範囲も申し分ないが、いささか精度に欠けるようですな。更に精密な魔力操作を覚えれば、全ての魔獣を氷漬けに出来るようになりますぞ。」
「分かった!練習するね!」
「スコット君、今の立ち回りは見事だぞ。瞬時の判断、倒す順番、狙う場所、どれも完璧だ。とても頼もしくなったな。」
「有難うございます!更に精進します!」
子供達の返事に満足のゲイル様。
子供達の返事に引き攣った笑いのノルディカさん。
「ははは……この3人と同時に戦ったら私では勝てないかもしれないな……」
ゲイル様がフラックスちゃんに聞きます。
「この氷漬けの狼たちは、あとどれくらいで動き出すかな?」
「うーん……1時間くらいかなぁ?」
「ではスコット君がとどめを刺した狼だけ持ち帰るとしよう。イノシシは氷が溶けた狼達に、練習相手になってくれたお礼として譲るとしよう。」
じつは今日は馬車を持ってきています。
その馬車に絶命している3匹の魔獣を積み込み、フラックスちゃんが凍らせました。
「さて、帰りましょう。」
今や『木の扉』を自在に使えるフラックスちゃん。
王都の家に瞬間移動しました。
「みんなーおかえりー」
呑気に出てきたジロさんは馬車の狼にビックリ。
「こ……これは……」
するとフラックスちゃんが、
「みんなでね、倒したの!それでね、この狼を売りに行って、そのお金で皆でケーキを食べるの。お父さん、お願い、ついてきて。」
と言います。
ジロさんは驚くも、フラックスちゃんのお願いは断れません。
「そうだね。それでは商業組合に売りに行こうか。皆さんはどうしますか?」
するとアトミック王子が、
「ぜひ商業組合での売買を見たいです。連れて行ってください。」
と言います。
ノルディカさんも、
「私がケーキの店を……ゴホンゴホン。もちろん王子の護衛についていきますわ。」
と同行してくれます。
ちなみにゲイル様は、
「私は甘い物はちょっと……」
と言って、家に残る事にしました。
「では行きましょう。」
そう言ってジロさんは馬車を走らせます。
すぐに商業組合に到着しました。
「あ、ジロさん。お久しぶりです。長旅をしていたんですか?」
と、笑顔で職員が話しかけてきました。
ジロさんは王都を拠点にしていた行商人です。
職員さん達とは顔馴染みです。
「久しぶりだね。じつは弟子ができてね。アチラコチラ経験を積みながら旅をしていたんですよ。」
「そうだったんですね。ところで今日はどうしましたか?」
「魔獣を倒したのでね、買い取りをお願いしたくてね。馬車に積んであるんだけど。」
「わかりました。では裏に馬車を移動させてください。」
馬車は建物の裏にある魔獣の引き取り場に移動しました。
「では早速拝見……ってノルディカ副騎士団長様!?」
職員さんはビックリしました。
「ああ、私の事は気にしなくていい。護衛で付いてきているだけだ。」
ノルディカさんが馬車の方に顔を向けます。
そこには3人の子供がアレやコレやと話しています。
2人はジロさんのお子さん。
あとひとりは……アトミック王子!?
「王子様!?どうしてこんな場所に!?」
職員さんは大慌て。
でもノルディカさんは、
「ああ、気にしなくていいぞ。社会見学だ。君は普通に職務にあたってくれ。目立っても困るしな。」
「わ、わかりました。では早速買い取りを……って氷漬けの狼!?大きいですねー!それに最小限の攻撃で仕留めてある。これは良いですね。」
さすがプロです。
すぐにジロさんと買取の話を始めました。
そして商業組合を出ると、ノルディカさんが素敵な笑顔で言いました。
「さあ!ケーキを食べに行こう!店は任せろ!」




