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12 実戦は人を成長させる

森に行き、魔獣と実戦を行うことになりました。

アトミック王子はもちろん、スコット君もフラックスちゃんも初めて。

試練の先には得るものがあるようです。

ゲイル様の提案で、いよいよ魔獣との実戦です。


「では前衛と盾役にスコット君、アトミック王子は真ん中で指示と魔法攻撃、後衛と援護にフラックス嬢の配置で迎え撃ちましょう。皆は万が一の時に援護を。では魔獣を呼び込みます。」


ゲイルは指示を出すと、前方の深い森の奥に向けて敵意のある『威圧』を放ちました。


しばらくすると魔獣の足音が聞こえてきました。

その音は徐々に近づき、やがて姿を現しました。

そこに現れたのは大型のイノシシの魔獣でした。


初めてみる巨大な魔獣に、恐れるアトミック王子。

しかしディーネが強い口調で言いました。

「アトミック王子!心を強く持ちなさい!」


アトミック王子は目が覚める感覚でした。


冷静さを取り戻したアトミック王子は指示を出します。

「スコット!一瞬でいい!魔獣の足を止めてくれ!フラックスちゃん!魔獣が止まったら草のツルで動けなくして!」


「「わかった!」」


スコット君が魔獣を威嚇し、敵意を自分に向けます。

そして突進してきた魔獣の動きを氷の盾で食い止めました。


魔獣の動きが止まった瞬間にフラックスちゃんの草のツルが魔獣の足を縛り付けます。

動けなくなった魔獣からスコット君が後方に大きく退避します。


スコット君の退避を確認してアトミック王子が魔法を放ちました。

「行け!!『水の刃』!」


発生した大きな水の刃は正確に魔獣の首を切り落としました。

魔獣は沈黙ののち、その場に崩れ落ちました。


「……やった。僕にもできた。」


「やったよ!僕たちだけで!」

「アトミックお兄ちゃん凄い!」

「いや!みんなの勝利だよ!」

三人の子供達は肩を抱き合って大喜びです。


「三人ともよくやった。」

ゲイル様が優し気な顔で戦いを褒めてくれました。


紅炎様が、

「あの魔獣の突進をよく耐えたな。飛び出すタイミングも良かった。更に身体も大きくなり鍛えていけば、攻守を兼ねそろえた素晴らしい戦士になるぞ。」

と、スコット君を褒めました。


「戦士になるかはわかりませんが……」

と言いながらも、スコット君は褒められたことを喜びました。


ライア様が、

「フラックスちゃん凄かったわ。あの瞬時に草のツルであの巨体を足止めするなんて。合格点です!」

と、フラックスちゃんを称賛しました。


「ほんと?やったー!」

フラックスちゃん、満面の喜びです。


ディーネ様が、

「アトミック王子、正直驚きました。たった今さっき覚えたばかりの『水の刃』を正確にコントロールして、あの巨大な魔獣の首を切り落とすなんて。本当に凄いです。」

ディーネ様は驚きながらアトミック王子を褒めました。


「いえ、まだまだです。魔獣に向き合っても負けない強い心を持たないと。」

アトミック王子は最初に魔獣を恐れてしまった事を悔やみました。


そこへノルディカさんがきました。

「魔法もさることながらスコット君とフラックスちゃんに、とても良い指示を出しました。とても素晴らしい判断力です。確かに最初は委縮したようですね。でもそれは仲間と信頼しあうことで勇気となり、勇気は力となって乗り切ることが出来るのです。さらに経験を積むのがよろしいでしょう。」


「はい!もっと経験を積んで更に信頼関係を築いていきます!」

アトミック王子は元気に答えました。


今回、初めての実戦を子供達だけで見事にこなしました。

その中でアトミック王子は実感していました。

仲間と協力して戦う事の心強さを。

信頼できる仲間が共にいる事での絶対の安心感を。


強い相手とは、ひとりで戦っても勝つことは難しい。

仲間を信頼し信頼してもらうことで、より強い力を発揮できる。

僕は皆が安心して戦えるように、強い心と冷静に現状を分析する力を身に着けよう。




「さて、それでは準備をいたしましょうか。」

ゲイル様が何か言い出しました。


「それでは私はフリッチさんを呼んできますわ。」

ライア様はそう言い残し『木の扉』をくぐりました。


ディーネ様が水魔法で魔獣の血抜きをしていきます。


ゲイル様が『風の刃』で魔獣を見る見るうちに解体していきます。


紅炎様が火の準備をしています。


すると『木の扉』からフリッチさんが現れました。


「お!見事な魔獣だねぇ。」

そう言って次々と魔獣を調理していきます。


戻ってきたライアは次々と薪を用意していきます。


一緒に来たジロさんは魔獣肉の山を見て、ただただ驚いています。

「え?これを子供達だけで倒したのかい?」


この一連の流れを、アトミック王子は茫然と見ていました。


「どうしたの?アトミック?」

スコット君が聞いてきます。


「魔獣を倒したのは良いんだけど、その後の皆の動きがあまりにも手馴れていてね。」

アトミック王子は思ったことをそのまま言いました。


「確かに手際が良すぎるよね。でもせっかく得た森の恵み。それに命を粗末にしてはいけないからね。ちゃんと責任を持って食べる事……っていつもゲイル様が言っているんだ。」


スコット君の説明に、アトミック王子は目から鱗が落ちる思いでした。

生まれて初めて命がけで戦い、魔獣を殺して自分の糧とするという事を実感したのです。


この日、アトミック王子は大きく成長したのでした。


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