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ダウンロードしなさい
「え? いま、なんて言ったの?」
操縦シミュレーション室にて。
夕飯時の事である。
茜はひとことひとこと区切るように菊花に尋ねた。
しれっと菊花は涼しげな口調で言った。
あんたのスマホに私をダウンロードしなさい。
茜がここに来てから二か月が経っていた。
「もうあんたがマニュアル本を全部覚えるのは無理だと判断した。だから、私をあんたのスマホにダウンロードしなさい。私があんたをスマホからサポートする。「ナナカマドん」はネットワーク通信から遮断されているけど、持ち込み可能のスマホはその限りではない。でしょ」
「菊花」
「私をここまで動かした事を誇りに思いなさい。あんたの努力と身体能力を認めた上での提案なんだからね」
「………」
「っふ。感激して言葉も出ないのね」
「………っいやあああああぁぁぁぁぁっ!!!」
ぷるぷるぷるぶるるるるるると。
茜は空の景色が映し出されている真正面の画面をひたと見つめながら、身体を小刻みから盛大に揺れ動かしたのち、カッと目を見開いたかと思えば、両手で顔を覆い隠しては悲鳴を上げながら走り去って行ったのであった。
「………は?」
予測不能の茜の行動に混乱が生じてしまった菊花であった。
「な、によ。スマホに私をダウンロードするのがそんなに嫌なわけ?」
(2026.10.14)




