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VR恋リアのテストだと思ったら本物の異世界でした〜「ヤラセだろ?」と勘違いした俺たちの愛の力が最強すぎる件〜  作者: ぽてと


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番外編①:神の部屋(嘘と本音の個別インタビュー)

深夜。シェアハウスの各部屋で参加者たちが眠りにつこうとした瞬間、彼らの意識は順番に真っ白な小部屋へと転送された。

部屋の中央にはポツンと丸椅子が一つ置かれ、正面には赤いランプが点灯したカメラ(のような魔法の水晶)が浮遊している。


「アー、テステス。起きてますかー?」


部屋に響き渡る、ディレクターの軽薄な声。


「ここはいわゆる『インタビュー室(神の部屋)』です! これより皆さまには、今日一日を振り返り、一番気になった異性を一人だけ『MVP』として指名していただきます。ここで語られた内容は、他のメンバーには絶対にバレませんので、どうかありのままの本音をお話しください!」


神の言葉に、参加者たちは(それぞれ別の部屋で)ゴクリと唾を呑み込んだ。


「さて、投票に先立ちまして、重要な『愛の力』の追加仕様を説明します! ただいまより、以下のルールが適用されます」


【愛のバフの追加ルール】


両思いバフ: 見事お互いに指名し合い『両思い』が成立したペアには、翌日、超強力なステータス補正がかかります。両思いになった本人たちには「誰と両思いになったか」の秘密のシステム通知が届きます。


モテ・バフ(片思い受信): 両思いにならなくても落ち込む必要はありません! 誰かから「想われている(投票される)」だけで、その人数に比例してバフがかかります。一票なら2倍、二票なら4倍のステータスアップです。


※注意点: 翌朝、バフを獲得した参加者は全員『ピンク色のオーラ』に包まれます。しかし、他人の目からは「両思いでバフがかかっているのか、単に複数人から片思いされてバフがかかっているだけなのか」は判別できません。


「――つまり! あの子がピンク色のオーラを出していても、あなたと両思いになったとは限りません! 他の誰かと両思いかもしれないし、単にモテているだけかもしれない! この疑心暗鬼こそが、恋リアの醍醐味ですね! それでは、インタビューを開始します!」


◆ ◆ ◆


▶︎ Interview.01:ティア(純白のシスター)


「えっ、私ですか……? うーん、皆さん本当に優しくて、一人を選ぶなんて心苦しいんですけど……」


カメラの前で、ティアは頬に手を当てて困ったような、完璧な「清楚系」の表情を作った。

しかし次の瞬間、彼女はカメラの死角で足を組み直し、声のトーンをスッと一段階落とした。


(……って、ここ他の奴らには聞こえないのよね? じゃあ手短にいくわ。私が今日投票するのは、魔道士の『ルーファス』さんよ)

ティアの瞳に、打算的な光が宿る。

(アヴァロンさんも悪くないわよ? バカっぽくて扱いやすいし、肉盾としては最高だった。でも、賞金一億円を手にするための『最終的なパートナー』として考えるなら、絶対に頭の回るエリートを選ぶべきね。彼の言葉の端々から漂う『現実世界でも高収入です』っていう余裕、私の苦労人センサーが確実に見抜いてるわ)

彼女はもう一度、カメラに向かってふわりと微笑んだ。

「ルーファスさんの、知的なところに惹かれちゃいました。どうか、私の想いが届きますように♡」


▶︎ Interview.02:アヴァロン(漆黒の暗黒騎士)


「ふっ……MVPの指名だと? 下らない。俺は孤高の騎士だ、女のケツを追いかけるような真似は――」


腕を組み、兜の奥から鋭い視線を(カメラに)向けるアヴァロン。だが、数秒の沈黙の後、彼は兜をガバッと脱ぎ捨てて身を乗り出した。


「――とでも言うと思ったか! 俺の投票は絶対に『ティアちゃん』一択っすよ!!」

中二病の仮面が完全に剥がれ落ち、ただの陽キャ大学生アキラの素顔が露わになる。

「いやマジで、今日のティアちゃん見ました!? 俺がオークぶっ飛ばした時、すっげぇ潤んだ瞳で俺のこと見つめてたんすよ! あんなの完全に惚れてるでしょ! 絶対両思いっすわー、いやー照れるなー!」

彼は後頭部を掻きながら、デレデレにだらしない顔で笑った。

「あの子、すげぇ優しくてか弱いじゃないですか。明日のミッションでも、俺が絶対に守ってやろうって決めたんすよ。……というわけで、ティアちゃんでお願いします!」


▶︎ Interview.03:ジン(双剣の暗殺者)


「……暗闇は、俺の友達だ。他人の視線など気にしたことはない」


フードを目深に被り、アサシンらしく壁に寄りかかって気取ったポーズを決めるジン。しかしその声は、トラウマを思い出したのか微妙に震えていた。


「けど……俺に光を教えてくれたのは、あの子っす。……『ティアちゃん』っすね」

ぽつりと、ジン(中身はフィットネストレーナーのケンタ)が本音を漏らす。

「今日のアヴァロンの野郎、マジで目立っててズルかったっすけど……俺だって、あの子のためならアンデッドの群れにも(泣きながら)突っ込めるっす! 清楚で、誰にでも分け隔てなく優しいティアちゃんは、まさにこの世界の天使っす。明日こそ、俺があの子のナイトになってみせますよ!」


◆ ◆ ◆


翌朝。

シェアハウスの巨大なリビングルームに、八人のメンバーが続々と集まってきた。

皆の視線は、お互いの「身体の表面」に釘付けになっていた。


「……おはようございます、皆さん」

ティアがリビングに現れた瞬間、その場にいた全員が息を呑んだ。

彼女の全身から、眩しいほどの『濃いピンク色のオーラ(モテ・バフ)』が立ち上っていたのだ。


(よしっ! このオーラの強さ、最低でも二人以上から投票されてるわね! モテバフの恩恵、ごちそうさま!)

内心でガッツポーズを決めるティア。しかし、彼女の視界の端に「あるシステムメッセージ」は表示されていなかった。

(……でも、ルーファスさんとの『両思い通知』は来なかった。ってことは、彼は私以外に投票したのね。チッ、手強いわね)


一方、リビングの隅で絶望に打ちひしがれている男がいた。アヴァロンである。

彼の身体からは、オーラなど微塵も出ていなかった。誰からも投票されなかった『無風(0票)』の証明である。


(う、嘘だろ……!? ティアちゃんからの投票がない!? あんなにいい雰囲気だったのに!)

アヴァロンは激しく動揺しながら、眩いピンクのオーラを放つティアを見た。

(待てよ、ティアちゃんがあんなに強いオーラを出してるってことは……彼女は俺以外の『誰か』に投票して、しかもその相手と『両思い』になったからあんなに光ってるのか!? いや、ただ複数人からモテてるだけなのか!? どっちだ!?)


疑心暗鬼に陥るアヴァロン。

そして同じく、オーラが全く出ていないジンも、部屋の隅で膝を抱えていた。

(ティアちゃん……誰と両思いになったんすか……俺の初恋、一日で終わったっす……)

実際にはティアは誰とも両思いになっていないのだが、ジンの目には「オーラを出しているティア=誰かと結ばれた」と映ってしまっていた。


さらにややこしいことに、エリート魔道士のルーファスからは、薄っすらとだがピンク色のオーラが漏れ出ていた。(※ティアからの1票を受信したため)


それを見たティアが、目を細める。

(ルーファスさん、オーラが出てる……。私とは両思いじゃないってことは、彼が投票した別の女と『両思い』になったか、あるいは別の女から『片思い』されてるってことよね。……誰よ、私のターゲットに色目使ったのは?)

シスターの微笑みの裏で、ティアの闘争心に火が点いた。


誰が誰を想い、誰と誰が繋がっているのか。

神の用意した「見えすぎるバフ」のせいで、彼らの勘違いとすれ違いは、さらに複雑に、そしてドロドロに加速していくのだった。

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