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VR恋リアのテストだと思ったら本物の異世界でした〜「ヤラセだろ?」と勘違いした俺たちの愛の力が最強すぎる件〜  作者: ぽてと
愛の力は物理破壊の合図!? 勘違いだらけの恋リア・サバイバル

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第13話 バレた仮面と、波乱を呼ぶ追加キャスト

規格外のレイドボスによる深夜の襲撃から一夜明けた、三日目の朝。

神(ディレクター)の理不尽なシステム復旧魔法により、粉々に吹き飛ばされていたシェアハウスのリビングは、何事もなかったかのように元の豪華な姿を取り戻していた。


しかし、リビングのソファの隅で膝を抱える純白のシスター・ティア(中身:伊藤マイ)の心は、木っ端微塵に砕け散ったままだった。


(終わった……。完全に終わったわ。私の一億円が……)

ティアは、どんよりとした暗いオーラを放ちながら虚空を見つめていた。


昨夜の戦闘。瀕死のアヴァロンを前にして、彼女は完全に理性を失い、長年の過酷な肉体労働とブラックバイトで培われた『素のヤンキー口調』を大爆発させてしまったのだ。

『命粗末にしてんじゃねえよ!』『誰が私のご飯褒めてくれんだよ!』

思い出すだけで顔から火が出そうだった。清楚でか弱く、男性の保護欲をそそる完璧なヒロイン像は、あの一瞬で完全に崩壊した。


(絶対引かれた。あのエリート魔道士(ルーファス)はもちろん、アヴァロンにだって『なんだこのガラの悪い女』って思われたに決まってる……。もう誰も私に投票なんてしてくれない……)


絶望のどん底に沈むティア。

そこへ、リビングのドアが開いてアヴァロンが入ってきた。昨日の重傷はシステムによって完全に回復しており、いつもの漆黒の鎧姿に戻っている。


「……よぉ、ティア。早いな」

アヴァロンが、少し照れくさそうに頭を掻きながら近づいてきた。


(……来た。ついに『お前、本当はシスターじゃないだろ』って幻滅される時が来たんだわ)

ティアはギュッと目を瞑り、震える声で弁明を試みた。

「あ、アヴァロン様……。昨夜の、あのはしたない暴言は……その、悪霊に取り憑かれてしまって……」


「昨日のティア、すっげぇカッコよかったぜ」


「……え?」

予想外の言葉に、ティアは思わず顔を上げた。


アヴァロンは、ソファに座るティアの前にしゃがみ込み、彼女と視線を合わせた。その瞳には、幻滅どころか、昨日よりもさらに熱を帯びた真っ直ぐな好意が宿っていた。


「俺さ、お前のこと、守ってやらなきゃ何もできない『か弱い女の子』だって勝手に思い込んでた。でも違ったよな。お前、ジンが襲われた時は咄嗟にフライパンで助けに入ってたし、俺が死にかけた時は……なりふり構わず、本気で怒ってくれた」

アヴァロンが、優しく微笑む。

「作られた清楚さなんかより、あの時俺のために泣いて怒ってくれた『素のお前』の方が、何百倍も最高だと思ったよ。……俺を助けてくれて、ありがとうな」


ドクン。

ティアの心臓が、昨夜とは違う理由で、大きく跳ねた。


(……なんなの、この男。バカなの? 大バカなの!? 騙されてたって怒るどころか、素の私を肯定するなんて……!)

長年、女手一つで泥水をすするように生きてきたマイにとって、「取り繕っていない自分」を真正面から受け入れ、感謝されることなど初めての経験だった。


「ア、アヴァロン様の……バカ。あんなの、ただ口が滑っただけで……」

ティアは顔を真っ赤にしてそっぽを向いた。今度は演技でもなんでもない、正真正銘の「素の照れ隠し」だった。


ピロンッ!


『システムアナウンス! ティアさんの無自覚な心拍数上昇(本気の照れ)を確認!』

(ちょっとシステム! いちいち拾わないでよ!!)


「アー、テステス! 皆さん、おはようございまーす!」

良い雰囲気になりかけた二人の間に、空気を全く読まない神のアナウンスが響き渡った。リビングに他のメンバーたちも続々と集まってくる。


「昨夜の抜き打ちレイドボスイベント、お疲れ様でした! 見事な愛の連携により、被害を最小限に食い止めた皆さんに拍手! というわけで、昨夜の戦闘データと心拍数をもとに、栄えある『第1回・ベストカップル賞』を発表しまーす!」


ファンファーレと共に、空中のモニターに二人の顔が映し出された。

「圧倒的な愛情パワー(リミットブレイク)でボスを粉砕した、アヴァロンさん&ティアさんペアです! おめでとうございます!」


「っしゃあ!!」とガッツポーズをするアヴァロンと、「うわぁ……」と顔を手で覆うティア。


「ベストカップルの二人には、特別報酬として、今夜『超高級VIPグランピングテント』での二人きりの宿泊権をプレゼントします! 満天の星空の下、誰にも邪魔されないロマンチックな夜をお過ごしください♡」

「ふ、二人きりでお泊まり……!?」

ティアがパニックに陥る横で、アヴァロンは「任せろティア、俺が最高の夜にしてやるからな!」と完全に浮かれていた。


しかし、神のアナウンスはそれだけでは終わらなかった。


「さて! 番組もいよいよ中盤戦。皆さんの関係性も固まってきたようですが……恋リアといえば、やっぱり『波乱』が必要ですよね?」


神の言葉に、参加者たちの間にピリッとした緊張感が走る。


「というわけで、本日より『ラヴ・クエスト・アイランド』に、新たな風を吹き込む【追加キャスト2名】が合流しまーす! 一人は、圧倒的なカリスマを誇る『勇者』! もう一人は、魅惑の『聖女』! すでに皆さんの向かう新エリアでお待ちかねです!」


「追加キャスト……だと?」

ルーファスが眼鏡を押し上げ、ジンがゴクリと唾を呑み込む。


「既存のペアを掻き乱すか、それとも新たな恋が芽生えるか! 嫉妬と波乱の第2章、スタートです!」


シェアハウスのドアが、重々しい音を立てて開く。

アヴァロンの真っ直ぐな言葉に揺らぎ始めたティアの心。リリスのジンへの不器用な恋心。ガルムとシルフの穏やかな関係。

少しずつ形作られてきた彼らの関係性を根底からぶち壊す「劇薬(追加キャスト)」の登場により、命がけの恋愛サバイバルは、さらなるカオスへと突き進んでいくのだった。

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