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3話

3話

「……で連れて帰ってきた、と」


大きなため息をついてダンド艦長は項垂れる。イア隊長と私は司令室へ任務を終え帰艦中に拾った脱出ポッドについての報告をした。その場にいる報告を聞いた誰もが頭を抱えている……これは相当まずいらしい。


「いいか、ルビリス。そもそも地球の人間だというのが本当ならばロアユトの共鳴を起こすことはできないはずだ、それができるということは奴らがロアユトを持っているということになる」


「ええ……持っているのが仮に本当だとしても共鳴できる人間は限られるでしょう、それを地球軍が把握していないはずはない」


どうやらかなり大事らしく、イア隊長とダンド艦長は二人で話し込み始めた。

……脱出ポッドの彼の様子からおそらく、私たちが敵同士なのは理解しているのだろう。それでも彼は危険を冒して来た。この数十年地球軍と私たち(ロア軍)の戦争は膠着状態にある。圧倒的な数を有する地球軍に対して、ロア軍はロアユトの驚異的なエネルギーを用いてМVCを強化。少数ながらも善戦している……これがもし彼らの手にロアユトが渡っていたとしたら。ここから覆されるのは時間の問題になる。確かに大問題だ。


「……まあ、まだ本星の人間が事故にでもあって記憶喪失の可能性もある」

「ええ、軍に問い合わせて照合にかけたほうがよいかと……もし照合しなければ」

「……しなければ?」


「我々はことを大きく動かさねばなりません」


――――――――――――


先程よりも緊張した面持ちのイア隊長に連れられて格納庫へと戻る。通路の推進ハンドルを握る手に思わず力が入る。これをきっかけに戦争が激化するかもしれない。そう思うと自分の言動一つ一つに生まれる責任が恐ろしくのしかかってきた。それはきっと前を行く隊長も同じなのだろう。

格納庫への扉の前で立ち止まる。目配せをした隊長に頷き返して開かれた扉へ進む。その先には――




「ね、これ何?この機体どうなってんの?」

「お、おい……!あんまり勝手に動くなよ!くそ、こいつどうすんだよ……って、あ!それはルビリスのやつだぞ!」

「へー!けっこうかっこいいな!俺も乗りたい!」


……ポッドの中の少年がクォードと、私のМVCの周りを追いかけっこをしていた。……どういう状況?


「あ!ルビリス!こいつどうすればいいんだ!?勝手にポッドから出てきちまったぞ!」

逃げ回る少年を追いかけながらクォードは私に助けを求めてきた。

「え!?あたし!?え、えーと、捕まえてクォード!」


私が慌ててそう言うとクォードは私のМVCのコックピットを見ている少年に飛びかかる。МVCの腕を蹴り、少年を羽交い締めにすることに成功したクォードに私は急いで駆け寄った。


「大丈夫?ありがとうクォード……そこの君!なんで勝手に出てきたの!?」

「えー……?ようやく着いたと思ったら全然外に出してくれないし……暇だから出てきたんだよ」

「暇だからって……」

「説明もなしに待たされてるんだから仕方ないだろ」


うっ……まあ確かに何も言わずに置いてきてしまった……。少年の意見に気圧されているとイア隊長が話しかけてきた。


「あなた名前は?私はロア軍第三防衛部隊隊長のイア・サリスファー」

「……ニア、ニア・ルジール」

「そう、ニアねよろしく」


そう言って隊長は少し微笑んで手を差し出す。少年はその手を取るか少し迷った後、意を決してといった様子で隊長の手をとった。


「……!ふーんなんだ、なんてことないじゃん」

「?どうしたの?」

「いや……あんたたちに触れたら石にされるって噂、やっぱ嘘だったなって」


青い星、私たちの祖先がその昔生まれた星から来た少年はそう言って私たちに初めて笑顔を見せた。


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