住み着く友
小中学校が同じだったナオキという友達がいる。地元に帰った時には時々会う事もあった。そのナオキから連絡があった。
『上京するから、お前んち行っていい?』
OKして日時を決めた。そしてその日、ナオキがやってきた。やけに大きな荷物を持って。
「実はさ、親が離婚しちゃって家を追い出されてさ。東京で仕事を見つけたんだけど、住む家が見つかるまで、泊めてもらえないかな?」
玄関で拝むナオキ。
「そりゃ大変だね。いいよ、好きなだけ居てよ。」
俺がそう言うと、ナオキはなんと、
「母ちゃん、入って。」
と言って、玄関の外にいたナオキのお母さんを呼んだ。
「レイジくん、お久しぶりね。大きくなって。オホホホホ。」
「おばさん!お久しぶりです。おばさんはお変わりありませんね。」
「あら、ありがとう。でもだいぶ年をとったわよぉ。」
などと社交辞令の会話があった後で、俺はナオキを見た。もしかして……
「いやあ、親が離婚したって言っただろ。母ちゃんも家を追い出されたんだよ。それで、母ちゃんも一緒にいいかな?」
更に拝むポーズをするナオキ。おばさんも頭を下げている。
「わかった、わかったよ。大丈夫、部屋はあるから。さ、上がって。上がってください。」
「まあ、広い家ねえ。本当に、レイジ君は大成功したわよねえ。」
おばさんが感嘆を漏らす。で、大荷物を玄関の外から運ぶ。いつまで居るんだろう……。
しなくていいと言ったのだが、おばさんは洗濯や掃除、料理もしてくれた。俺の部屋の掃除はさすがに辞めてもらったが、洗濯はすると言って三人分まとめてやってくれた。アイロンもかけてくれるし、至れり尽くせり。とはいえ、独り暮らしの気ままな感じが、無くなっている。
それでも、いつでも話し相手がいるというのは、悪くない。酒でも飲もうかなと思った時、一緒に飲んでくれると、寂しさや空しさがなく、楽しい。やっぱり友達とはいいものだな。
数日後、ナオキと酒を飲んでいる時に、動画配信をしたくなった。気分が良かったのだ。ナオキは映らないようにして、声だけ出演する事に。そこへ、
「煮物作っておいたから、食べてねー。」
というおばさんの声も配信された。
「おばさん、ありがとうございます!」
なんだか、既に賑やかな配信になっていた。
「俺はさ、本当の事を言いたいのよ。でも言えない。」
「何?本当の事って。」
「だから、それは言えない。アハハハハ。」
酔って、そんな事を話したり、ちょっと下品な事を言ったりしたかもしれない。一人でしゃべる時には出ない言動も、ナオキがいるからつい、やってしまった。




