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大事な物は……(末っ子8)  作者: 夏目 碧央


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住み着く友

 小中学校が同じだったナオキという友達がいる。地元に帰った時には時々会う事もあった。そのナオキから連絡があった。

『上京するから、お前んち行っていい?』

OKして日時を決めた。そしてその日、ナオキがやってきた。やけに大きな荷物を持って。

「実はさ、親が離婚しちゃって家を追い出されてさ。東京で仕事を見つけたんだけど、住む家が見つかるまで、泊めてもらえないかな?」

玄関で拝むナオキ。

「そりゃ大変だね。いいよ、好きなだけ居てよ。」

俺がそう言うと、ナオキはなんと、

「母ちゃん、入って。」

と言って、玄関の外にいたナオキのお母さんを呼んだ。

「レイジくん、お久しぶりね。大きくなって。オホホホホ。」

「おばさん!お久しぶりです。おばさんはお変わりありませんね。」

「あら、ありがとう。でもだいぶ年をとったわよぉ。」

などと社交辞令の会話があった後で、俺はナオキを見た。もしかして……

「いやあ、親が離婚したって言っただろ。母ちゃんも家を追い出されたんだよ。それで、母ちゃんも一緒にいいかな?」

更に拝むポーズをするナオキ。おばさんも頭を下げている。

「わかった、わかったよ。大丈夫、部屋はあるから。さ、上がって。上がってください。」

「まあ、広い家ねえ。本当に、レイジ君は大成功したわよねえ。」

おばさんが感嘆を漏らす。で、大荷物を玄関の外から運ぶ。いつまで居るんだろう……。

 しなくていいと言ったのだが、おばさんは洗濯や掃除、料理もしてくれた。俺の部屋の掃除はさすがに辞めてもらったが、洗濯はすると言って三人分まとめてやってくれた。アイロンもかけてくれるし、至れり尽くせり。とはいえ、独り暮らしの気ままな感じが、無くなっている。

 それでも、いつでも話し相手がいるというのは、悪くない。酒でも飲もうかなと思った時、一緒に飲んでくれると、寂しさや空しさがなく、楽しい。やっぱり友達とはいいものだな。

 数日後、ナオキと酒を飲んでいる時に、動画配信をしたくなった。気分が良かったのだ。ナオキは映らないようにして、声だけ出演する事に。そこへ、

「煮物作っておいたから、食べてねー。」

というおばさんの声も配信された。

「おばさん、ありがとうございます!」

なんだか、既に賑やかな配信になっていた。

「俺はさ、本当の事を言いたいのよ。でも言えない。」

「何?本当の事って。」

「だから、それは言えない。アハハハハ。」

酔って、そんな事を話したり、ちょっと下品な事を言ったりしたかもしれない。一人でしゃべる時には出ない言動も、ナオキがいるからつい、やってしまった。


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