93.エピローグ
「……というわけで、凪ちゃんが彼女になりました」
「先輩方、よろしゅう頼みます〜」
翌日の昼休み、俺のクラスまでやってきた凪を彼女たちに紹介した。
「あなた、樹を陥れようとしたんでしょう? 次やったら、私が許さないから」
ミラは半ギレといった感じだが、凪のことを嫌っているわけではなさそうだ。
多分、彼女からも盗めることがあると期待しているのだろう。
「私たちが力を合わせれば、樹さんを危険から守ることができますよ! ねぇ皆さん?」
「そうだねお嬢。今回だって、いっくんが頼ってくれて嬉しかったし!」
美桜も九重も、今回のことはむしろ自信に繋がっているようだ。
……九重に関しては、少しだけ威圧感というか、何か言いたいことがありそうだが。
「でも、凪ちゃんとまた仲良くできて嬉しいなぁ。ほら、前は突然辞めちゃったでしょ?」
「せやね。でも、今回は諦めへんよ? 一番じゃなくたって食い下がってみせるんやから」
千翼と凪も、再び友情を育んでいけそうだ。
彼女たちがギスギスするのも見たいと言えば見たいが、仲良くしてくれるのが何よりである。
そして、凪は陰を感じなくなった笑みを浮かべながら、席に座っている俺の腰のあたりに抱きついてくる……のだが。
「……凪ちゃん。暑いから離れてもらっていい?」
「やぁんっ! 樹先輩ったら、いけずなんやからぁ〜!」
昨日のアレ以来、凪は新しい性癖の扉を開いてしまったようで、何かと俺に鬱陶しがられたくなっている。
鬱陶しがられたくなっているって、どんな言葉だよ。
(まぁ……なんとかなったな)
この世界が俺の明晰夢ではなく、創造神でもないと知って、一時はどうなることかと思ったが、上手くやっていけそうである。
これからも、俺は簡単になびかない女子たちを狙い続け、ハーレムを拡大させていくだろう。
爆乳曰く。
「貴方のような素晴らしい男性が産まれるなんて、そして素質を持ったまま成長するなんて奇跡に近いのです。貴方の子種をばら撒きなさい。それは男としての快楽を得るのみならず、世界を救う試みでもあるのです」
だそうだ。
であれば、俺は好き勝手に世界を救ってみせる。
楽しみで仕方ない。
なぜなら俺は——変態なのだから。
・
時は少し遡り、横島樹が全てのネタバラシを終えて、町出凪の告白を受け入れた頃。
御厨家の黒服たちが回収したはずの写真が、一枚だけ風に飛ばされていた。
それが最後に辿り着いたのは誰かの足元。
誰か……女子はそれを拾い上げ、嘲笑した。
「……彼女であれば我々の仲間になれるかと思いましたが……期待はずれだったようですね」
「ま、凪もヤるヤツではあるけどなぁ。俺と千翼の敵じゃなかったし」
「君たち、同じレディだからと言って陰口は良くないよ? 全てのレディは等しく、丁重に扱わないと」
「あぁ!? お前は悔しくないのかよ! あんな、どっから湧いてきたから分かんねぇ男に良いようにされて!」
「……良いわけがないだろう。レディに頭を下げさせるなんて、あってはならない。横島樹と言ったか……彼はきっと、想像を絶する下衆だよ」
「でしたら、我々がお灸を据えてあげる必要がありますよねぇ?」
一人の女子が、凪の写真をビリビリに破いて手を離した。
欠片となったそれは風に乗り、どこかへ飛んでいく。
少年漫画みたいな終わり方しててワロタ
次回は最終回にして、樹の童貞問題に終止符が打たれます
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