83.軍師の策 ルイボスティーの章★
結ばれた男女がすることと言ったら一つだろう。
俺は千翼の肩を掴んだまま、顔を近付ける。
「あっ……」
これまでの彼女であればきっと、照れてそっぽを向いてしまっただろう。
既にスイッチが入っている状態であればまだしも、雰囲気を作るところから、というのは慣れていない。
しかし、俺の彼女になったという自覚が勇気を与えたのか、千翼は強く目を閉じて俺を待った。唇には力が入っていなかった。
俺たちは愛を確かめ合うように、以前の公園での続きをするように貪り合う。
お互いの熱気が身体から離れ、絡み合い、さらに勢いを増す。
そして、俺は千翼のシャツのボタンを外し始める。
宝物を包む布を捲る時のように、汗で素肌に張り付いたそれを動かして、隔てるものは無くなった。
彼女の下着はいわゆるブラジャーではなく、スポブラだった。
グレーの生地は汗で色濃くなり、小麦色の深い谷間に汗が溜まってる。
俺は、ゆっくりと谷間に顔を埋めて、汗を舐める。
「あっ、ん……い、樹、くん……?」
戸惑う千翼の声など耳に入らない。入ったとしても抜けてしまう。
なぜなら、俺の身体に強い衝撃が走ったからだ。
(……あ、あ……甘い、だと…………?)
千翼の汗は甘かった。
いや、もちろん汗としての塩気はあった。
彼女が人間だということを、これが現実だということを辛うじて伝えるように。
しかし、その奥には甘さが隠れていたのだ。
一流のシェフが食材の産地からこだわり、味覚の絶対音感を持つ者に向けて提供した料理のような、そのレベルの深さに。
俺は彼女の両腕を上げさせ、片手で掴むと、ついに腕の下に位置する窪みに迫る。
「樹くん、そこは……っ!」
彼女の制止など表面上のものに過ぎない。
これは生命のスープだ。一滴たりとも溢さぬように丁寧に舐めとると、千翼はくすぐったいのか、身を捩らせる。
あぁ、俺はついに成し遂げたのだ。
背中まで伸びた黒髪ポニーテール。
気の強そうな目元に、余計な肉のついていないシュッとした顔の輪郭。
褐色の肌。激しいトレーニングによって鍛えられた、芸術とも言える肉体。
その持ち主である千翼の汗を、ついに、舐め回している。
彼女に知られないように、俺は泣いていた。
こんなにも幸せなことがあるのか?
男として欲するべき富・名声・力……そんなものは一番ではなかった。
男が求めるべきは、美少女の汗だったのだ。
「あ、あのさ……樹くん」
申し訳なさそうに千翼が口を開く。
「わ、私……その…………お手洗いに、行きたいんだけど……」
千翼の臍の周りの汗を舐めていた俺は、一度顔を上げた。
そして、心の底から湧き上がってくる慈愛の笑みをプレゼントする。
(——知ってたさ)
だって、そのために俺はルイボスティーを選んだのだから。
ルイボスティーには利尿作用があるのだから。
俺は、彼女が辱めを受けて震える姿が見たいのだから。
「大丈夫だよ千翼ちゃん。僕が全部受け止めてあげるから」
「う、受け止めてくれるのは嬉しいけど、とりあえずお手洗いに……」
「ははは」
「なにその乾いた笑い!?」
もはや対話の必要はない。
彼女はここまで——行くタイミングを失ったというのもあるが——雰囲気を壊さないために、限界まで我慢したのだろう。
太ももの薄筋のあたりがプルプルと震えている。
俺は、そんな彼女を少しでも楽にしてやるために、下腹部に手を置いて圧をかける。
「あっ——あぁっ!?」
顔を真っ赤に染めて、俺の手を止めようとする千翼。
しかし、彼女の腕は変わらず俺に抑えられたままで、抵抗することはできない。
「安心して千翼ちゃん。僕はどんな千翼ちゃんでも愛せるから」
「う、嬉しいけどそんな場合じゃないから! 本当にヤバいからぁっ!」
俺は千翼の言葉を全て無視して、下腹部を押し続けた。
おっと、最後に一つだけ言っておくことがある。
満喫でのこういう行為は、異世界じゃなきゃ禁止だぞ。
おめでとう樹。俺は誇らしいよ。
今作、あと一ヶ月しないうちに終わるって知ってました?
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作品作りにご協力いただけると幸いです!




