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男女比が壊れた世界に転生(夢)した俺は、女子達を好き放題弄ぶことにした  作者: 歩く魚


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7/8

今はあるポキ丼

 学生生活の醍醐味といえば?

 そう問われて俺が上位に挙げるのが「学食」だ。

 安価で食べられる日替わりのメニューに友人との会話。

 かなり深く思い出に残っている。


「ね、ねぇいっくん? もう少しだけ、あと二センチだけ近付いてもいい?」

「ちょっと綾香、なに言ってんの! 男子との距離感には気を付けろってガイドブックに書いてあるでしょ!?」

「千翼さんったら、意外としっかり読んでらっしゃるんですね?」

「べ、別に配られたから読んだだけだし!? そういう御厨さんだって――」


 まぁ、この世界では気を許せる男友達なんてできなさそうだし、現在進行形で俺を取り囲んだ争いが繰り広げられている。


「――そもそも、アタシが昼休み最初に話しかけたんだしっ! いっくんはアタシに近付かれたら嫌?」

「ん? そんなことないよ。ただ、僕たちはこれから毎日のように顔を合わせるわけだし、少しずつ刺激を強くした方が良くない?」

「し、刺激って……」


 いかがわしい行為を想起させる言葉に面食らう九重だったが、これは事実だ。

 出会って数秒で合体するのも一興とはいえ、やはり時間の積み重ねは捨てがたい。ポリネシアンほどでなくとも。


「吉崎さんも御厨さんも、そう思わない?」

「え、えっと……」

「私はその、あまりそういう知識が……」


 顔から湯気を出しながら俯く二人。なかなかに白々しい。


「みんな仲良くしてくれると嬉しいな」


 俺たちを取り囲む他の女子までメスの顔になった頃、食堂へ辿り着いた。

 学校としての格が高いからか食堂も広く、体育館くらいの面積がある。

 全体的に白を基調とした清潔感のある内装も申し分ない。


「……え? ちょっと、あれってもしかして……」

「二年の転入生くんじゃない!?」

「えっっっっっっろ」


 食堂に入ってすぐ、他学年含めた女子たちが俺に気付いてヒソヒソと話をしだす。


「い、いくら同クラの子たちが守ってるからって……」

「もしかしたら女子に耐性がある子なのかも?」

「可愛い……食べちゃいたい……」


 生殖という本能に身体を乗っ取られつつある生徒がじりじりと近付いてくるが、クラスの女子にガードされている。


「ほら、いっくん行こ」

「あははー、やっぱり男子連れてくるとこうなるよね」

「彼を守るのが私たちの使命。ご安心くださいね、横島くん」


 彼女たちは頼りになりそうだ。

 俺はここで年齢を超えた大乱行パーティになっても構わないが。


「では……あそこに座りましょうか」


 御厨が指差した方向。

 なるべく端の方の注目を浴びにくい席を選んでくれ、俺を囲うように腰を下ろしていった。


「じゃあ荷物を置いて――あ、横島くんの分は私が置くからいいよ。盗まれちゃうからね」


 そう言って吉崎はハンカチを置いた。

 彼女が先ほど、首の汗を拭うのに使っていたものだ。

 俺の方が盗みたいくらいだったが、今回はやめておこう。


「ありがとう吉崎さん。楽しみだなぁ、今日のメニューはなんだろう」

「なになに、いっくんって結構食べるタイプ? 自慢じゃないけどアタシ、料理得意なんだよね」

「でしたら私も。この間も三つ星を獲得したんですよ?」

「それはお抱えシェフの話でしょ……」


 会話に入ってこないことからして、吉崎はあまり料理をしないのだろう。

 運動部女子が得意なイメージないしな。この辺も流石は夢世界である。


 食券を買うための列に並ぶ。

 そこそこ並んでいたのだが、すぐに自分の番が来た。

 

 回転率の速さ……というよりも、俺を近くにした女子たちが「なに頼んでいいか分からない」「いっぱい食べるって思われたくない」と自ら離脱したのだ。


 俺のせいで好きなものを選べないのは申し訳ない。

 しかし、これも狙いの一端を担っている。

 要もないのに他学年のクラスに行くのは不自然だし、そうなると出会いが限られてしまう。

 

 そこで、先んじて「男子が食堂に出没する」という情報を流すことによって、俺に興味のある女子を効率的に集め、また俺に興味のない女子を炙り出すことにも繋がるのだ。


 我ながら素晴らしい作戦。

 ここが頭脳ゲームの世界でも、そこそこ生き残れていたかもしれない。

 自分に酔いながら券売機と、その横の献立を確認する。


「カレーは常設で、日替わりが三つ。今日は野菜炒め定食にチキン南蛮……ポキ丼なんてあるのか」

「あ、この前食べたけど美味しかったよ」

「アタシも食べたー! 野菜炒めじゃ味気ないよねー」

「毎日野菜を摂らないと、お肌に悪いですよ?」

「ポキにもアボカド入ってるから!」


 見せる相手が極端に少ないとはいえ、女子のことを考えてある。

 俺が学生の頃なんて、ポキ丼のポの字もなかった。

 現代の学食は贅沢だなぁ……。


「二人のオススメみたいだし、今日はポキ丼にしようかな」

「んじゃあアタシもー」

「食べ応えあるのはチキン南蛮だけど、今日は私も横島くんと同じにしようかな」

「では私も。みんなで仲良しですね」


 さっそく食券を買おうとすると、クラスの女子全員が「私が買う」と名乗り出てくれたが、丁重に断っておいた。

 学食すら奢ろうとしてくれるなんて、この世界の男は何に金を使うんだ?


 食券を買った後は、流れるように受け取りスペースに並ぶ。

 今回は前の生徒たちをスキップすることにはならなかったが、それでも進みはスムーズで、数分のうちに自分の番が巡ってきた。


「ポキ丼をお願いします」

「はいよ。提供までちょっと待――」


 受付のおばちゃんが俺を見て固まる。

 思考からすっかり抜け落ちていたが、彼女達も女性。

 俺の力が通じるのか試してみよう。


 おばちゃんが震える手でポキ丼を持ってきた時、俺は何気なさそうに言う。


「ありがとうございます、お姉さん」

「…………ちょっと待ちな」


 俺を引き止めたかと思うと、彼女は渡したばかりのポキ丼を素早くひったくって奥へ消え、すぐに戻ってきた。

 手には先ほどと同じ丼が乗っていたが、具の量が倍くらいに増えている。


「たくさんお食べ。男子っていうのはあれだろ、食べれば食べるだけ大きくなるんだろ?」

「はは、ありがとうございます! たくさん食べます!」


 俺の成長はもう頭打ち感はあるが、好意は嬉しい。

 これからは、好きな献立の日はこの手を使うことにしよう。

めっちゃ変なメニューとかありましたか?


評価ポイントをいただけるととても嬉しいので、お手数ですがよろしくお願いいたします!

作品作りにご協力いただけると幸いです!

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