69.この強さがいい…★
ガトーショコラはなかなか美味かった。
横のクリームが好きなんだよな、俺は。
よし、コーラも飲んで一息ついたし本命のエロイベといこう。
エロイベといっても、世の中の変態が想像するような「本気」のやつじゃない。
肌の露出はないし、抜かれるものはないし、入るものもない。
勃つもモノくらいはあるかもしれないが、極めて健全なイベントである。
ということで俺は、脚を伸ばしてくつろいでいる九重を、舐め回すように見つめることにした。
細い腕も、唯一肉感的である胸元も、スッとした鼻の高さも魅力的ではあるが、やはり、やはり脚。
夏の日差しでさえ彼女の白さを傷つけることはできない。
青白い血管が通っているのが見えなければ、リアルタイムで美肌加工をしているのかと勘違いしてしまう。
ただ細いだけの脚ではない。
脂肪がないながらも最低限の膨らみがあり、触れば指が沈むことは間違いない。
もう一つ、最も特徴的なのがウエストの締まり方だろう。
一流のモデルとはこういうものだと言わんばかりにキュッとしまった腰つき、健康的かと問われれば否だが、触りたい。どんな感触か確かめてみたいと思わせられる。
「……ん。いっくんどうしたの?」
俺の熱烈な視線に気が付いた九重が首を傾げる。
こういう時、もはや言葉はいらない。
俺は身体一つ分、彼女の方へと寄る。
二人の間にはほとんど隙間がなくなり、九重の動揺した顔と、期待するような視線を受け取った。
「あっ……」
その脚に指を這わせると、九重は小さく声を漏らした。
それは戸惑いでも拒否でもなく、喜び。
やっと触ってもらえたというポジティブな吐息だ。
(こ、こんなことが……あっていいのか……?)
九重の脚を指先で、手のひらで味わいながら、俺は彼女よりも遥かに動揺していた。
憂いているのだ。俺の知る限り日本語には、この質感を完璧に表現できる言葉がない。
同じようなワードの羅列になってしまう。
手がツルツルと滑ってしまうとか、自分の手が汚してしまわないか心配になるとか、人の温かみのおかげで人工物でないと理解できるとか、そんな言葉じゃ足りないのだ。
一つ確かなのは、吉崎とはまた違った意味で絶品だということ。
どちらか一つを選べないのであれば死ねと脅されれば、俺は満面の笑みで死を選ぶだろう。
そのくらい純度の高い脚たち。
二大巨頭。いや、巨脚。
俺はそれから一時間ほど、九重の脚や腰を、エロ漫画の変態親父の手つきで撫で回した。
彼女のウエストなんて、もう俺の理解が及ばない代物だ。
何を食って、どんな運動をしたら、ここまでの曲線が生み出せるのか?
そして、細さは性的興奮とは真逆に位置すると思っていたが、彼女の腰に触れれば触れるほど、抱きしめたくなる衝動に駆られる。
つけている香水の匂いではない、九重本来の甘い香りが鼻から脳に達し、離れがたくなる。
「んっ……い、いっくん……ちから、強いよ……」
その言葉に我に返り、離れようとすると——九重の方が俺に手を回す。
「違うの……この強さがいい……」
甘えるような声に、いっそう力が入ってしまう。
その強さに男を感じたのか、九重は小さく笑みを浮かべた。
・
赤煉瓦を出ると、夕方なんてどこかへ消え去っていた。
時刻は二十時。来た道を戻ってワルポに入り、コスモワールド側の出口から出て、横浜駅まで歩くことにする。
この時間の汽車道は、意外と人が少ない。
俺と九重は黙っているわけではなく、ちらほらと会話をしてはいたが、俺は息子の興奮を抑えなければならないし、彼女もきっと同じだ。
お互いに自分に集中しなければならず、上部だけの会話を続けていた。
そんな中、ワルポの入り口が目の前に迫ったきたタイミングで、九重が控えめに口を開いた。
「……いっくん」
「ん?」
「あの——また、キスしてほしいんだけど」
そういえば、エロイベが起こる時のサブタイに「★」をつけることにしました。今回はエロイベ未満ですが、見栄えのために付けさせてもらうぜ!
もう一つ、九重をどうこうするまで連載は続かないと思います。しかし、九重が好きな方もいると思うので、ある試作を用意しました。乞うご期待
評価ポイントをいただけるととても嬉しいので、お手数ですがよろしくお願いいたします!
作品作りにご協力いただけると幸いです!




