67.※横島樹の感想です
「よっしゃー! 無事に桜木町にとうちゃーく!」
鬼の追跡……というほどではないが、俺と九重がデートすると知らない他三人からの追及を潜り抜け、俺たちは桜木町へとたどり着いた。
楽な方法を選ぶなら、渋谷あたりから東横線か湘南新宿ラインで横浜までというルートになるが、横浜駅から京浜東北線なり市営地下鉄なりで桜木町にいく必要があるため、少し面倒だ。
みなとみらいに行くのであれば、東横線から直通でみなとみらい駅に行くこともできる。が、俺が楽しみたいのは桜木町の駅前の雰囲気。
果たして許可を取っているのか分からない、教義の「き」の字も理解していないような脳足りんの宗教勧誘を鼻で笑いながら見る観覧車が大好きなのだ。
そして、桜木町駅から汽車道を通って赤煉瓦へ向かい、コスモワールドを迂回するようにクイーンズスクエアまで、大通りを真っ直ぐ進んで横浜駅まで歩いて帰る予定だ。
ということで、降りる駅は桜木町一択。であれば、都内から京浜東北線で一本で行くのが——かかる時間的には微妙だが——手早く、俺たちはそうした。
熱い横浜語りはこのくらいにしておいて、次のコーナーは「今日の九重さん」だ。
今日のも何も、週末ならまだしも今は普通の放課後だし、シンプルに制服姿なのでは?
もちろん、その通りです。九重はギャルらしく制服を着崩し、風で髪が揺れる時にうっすら見える首筋が艶かしい。
だが、違いもある。制服を着ていようが遊べる部位……それは髪型だ。
本日の彼女は、金髪のボブを編み込むようにハーフアップにしている。
それによって、いわゆるシースルーの比率が増し、夏を先取りして爽やかな印象を受ける。
いや、もはや夏なのかもしれない。
髪型によってギャルみに健全な明るさがプラスされていて、一目彼女を視界に入れてしまえば、太陽ですら季節を勘違いしてしまうだろう。
総評としては、very goodだ。
「カフェはどの辺なんだっけ?」
「色々候補があって、一番オシャレそうなのは中華街にあるカフェだったんだけど、今回は赤煉瓦のにしよっかなって! カフェなのに寝っ転がれるらしいよ!」
「珍しいね。行ってみようか」
今日はまだ精を放出しておらず、邪な気持ちが湧きやすくなっている。
思い返してみれば、俺は吉崎の脚ばかりを堪能していて、実は他の女子の脚に触れた事はほとんどないはずだ。
二人で横になれるカフェというのが本当なら、少しだけ味見をするのも悪くない。
吉崎と九重、触り心地はどちらも絶品ではあるが、白さや細さ、きめ細やかさでは九重に分がある。触って確かめるまでもない。
だからといって、どちらが優れているという話ではないが。
「ねぇ知ってる?」
汽車道を歩いている途中、九重が思い出したかのように声を出す。豆知識タイムだろうか。
「あの……向こうにあるのがワールドポーターズっていう施設なんだけど、最近リニューアルしたらしいよ」
「そうらしいね。確か一階から二階とか三階とか、そのくらいだったはず」
「いっくんって何でも知ってるよねぇ」
感心したように、うんうんと頷く九重。
「人生三周目って感じ!」
「はは、それは言い過ぎだよ」
二週目なら正解なんだけどな。
それに、俺の年齢は十六だか十七だかではあるが、中身はバリバリのおっさんだ。
ワールドポーターズが「ワルポ」と呼ばれていることも、最近の若者には「ワーポ」とかいうアホっぽい略し方をされていることも、ワルポがリニューアルしても……悪口を言うのはやめておこう。
どこから刺されるか分かったもんじゃない。
要するに、色々知ってるってことだ。
そして、ワルポを素通りするとデカい公園のような場所が眼前に広がり、その奥が赤煉瓦。今回の目的地である。
時刻は六時前で、空はうっすら闇に染まり始めていた。
いちゃつき始めるのに丁度いい。
愛ゆえに強く当たることもあるのです。愛ゆえに
評価ポイントをいただけるととても嬉しいので、お手数ですがよろしくお願いいたします!
作品作りにご協力いただけると幸いです!




