63.その手で何をするのか★
多くの星を解説して、時には星座の成り立ちを映像で見せてくれて、観客が本格的にリラックスし始めた頃。
俺の左肩や胸の辺りを枕のようにして天井を眺めていた凪が、モゾモゾと動き始めた。
周囲の客に気を配っているのか、俺に直接話しかけてくるようなことはしない。
時にはスクリーンほど震えるような大音量の映画中でさえ、ヒソヒソ話は耳についてしまう。
余計なことを喋って周囲から顰蹙を買い、追い出されでもしたら厄介だ。
彼女も同じように考えて口を開かない。
落ち着くのに良い位置を探しているのかとも思ったが、それにしては何ていうか、意思を持って動いている。
少しのあいだ様子を伺っていると、彼女は、俺の胸よりもさらにこちら側へおもむろに身を乗り出し、左手で俺の腹のあたりを撫で始めた。
上から下に、左右に、円を描くように。
指で、手のひらで、爪で。
ゆっくりと、くすぐったいぐらいの力加減で触ってくる。
やがて、凪の指は丁寧にシャツのボタンを外し、直に肌へと触れて来た。
——愛撫だ。
こいつは、俺が声を出せないのを良いことに身体を弄り回そうとしている。
もちろん、普段の俺ならば、されるがままという選択肢はない。
だが、俺の左腕は凪という、女子にしても軽い重しで動かすことができないし、右腕でもギリギリ胸に届くかどうか。
彼女ほどの爆乳でも、先端に触れるのが精一杯。
残念ながら彼女は下着をつけているため、俺の反撃は意味をなさない。
ひょっとして凪は、俺が干渉できない位置を探っていたのか?
(……それなら、かなりのやり手だぞ)
ドーム内は空調も効いていて汗をかくことはないが、これが少年漫画であれば、俺の頬に汗が伝っているはずだ。
そして、俺の身体を旅する凪の手は徐々に下がっていき、太もものあたりを撫で始めた。
自分で触れても何も感じない部位。
その役割を異性が担うというだけで、肉体は悦ぼうとしている。
はぁ、という凪の吐息と乳の感触が、俺という男の本能を目覚めさせようとしてくる。
(流石に……このままじゃマズイか?)
気持ちとしては全然アリだ。
プラネタリウムを見ながらのエロイベなんて、そう経験できるものではない。
相手がド級の美少女というなら尚更。
しかも、この世界では性犯罪という括りはあれど、男が絡むと途端に複雑になる。
ある意味では単純なのか、男側が望んでいれば全てがOKなのだ。
前世のように「無理やり受け入れさせる」という懸念がある以上、そう簡単に無罪にできるわけではないが、そもそも基本的に男の方が力が強い。本気で拒めば勝てるのだ。
でも、今の段階で凪に対して力押しはしたくない。
力では男に勝てないと理解させるのは、もっと決定的な場面なのだ。
(……仕方ない。バレないぐらいの声量で注意するか)
そうして、彼女に声をかけようとすると——
「…………ッ!」
凪は空いている右手で、機を見計らったかのように俺の口を塞いだ。
「ふふっ」
意地悪そうな笑みを浮かべる凪。
(見事……見事としか言えない)
少なくとも今この時に限っては、彼女は俺の思考を読み、上回った。
素晴らしい。俺がしのぎを削るライバルとして相応しい。
今回は、その気合いに免じて、甘んじて愛撫を受け入れることにした。
俺が拒否しないと理解したのか、凪は右手を離し、左手での動きに集中し始めた。
パンツ——この場合はズボンと表現する方が分かりやすいか——の上から盛り上がっている部分を撫で、爪で軽くくすぐり、満遍なく刺激を与えていく。
涙や汗とはまた違う、原因不明の液体のようなものが、普段は別のものを放出する部位から滲んでいる気がする。
(ようやくだ……クるのか……!)
旅の終着点は一つ。
凪が俺のパンツのベルトをカチャカチャと外すと、腰のあたりに開放感が到来する。
そして、彼女は俺の顔を見上げて妖艶な——一つ下の女の子がしてはいけない表情のまま、布の下に手を入れた。
別に、どこを触ってるか明言はしてないですからね。勘違いしないでくださいね。
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