任侠クッキング開幕!
──運動会の翌日。
自由学舎フォルティナでは、新しい生活が始まった。
「今日のお昼は、自分たちで作って、食べるんだよ!」
アルが、にこにこ宣言すると、子供たちは、「ええー!!」と叫びながらも、目を輝かせた。
──だって。
畑で育てた野菜。自分たちで収穫したハーブ。それを使って、お昼ごはんを作るんだから!
しかも今日は特別。
鍛冶屋さんたちが、ピカピカの鍋やフライパンを寄付してくれた。
「そのお礼に──」
「みんなでおいしいランチを振る舞おう!!」
アルが宣言すると、子供たちの目が燃えた。
「任侠クッキング、開幕じゃぁ!!」
なぜか、グレゴル校長がそう叫んだ。
子供たち、影響受けすぎである。
【チーム長野分け】
赤組:焼き担当(鉄板で焼きそば・お好み焼き)
白組:煮込み担当
青組:サラダ&デザート担当(フルーツ盛り合わせ)
「食材は分けた!道具も分けた! だが勝負は仁義に従え!!」
「「「おうッ!!」」」
なぜか腹にねじり鉢巻を巻くちびっこたち。目がマジだ。
グレゴル校長、腕組みして、満足げ。
シンプソン教頭、「……ええと、まあ、怪我だけはしないように……」と苦笑い。
火をおこす!
包丁を研ぐ!
鍋を振る!
子供たち、すべてに全力。
「焼きそば焦がすなァァァ!!」
「サラダは芸術だァァァ!!」
「シチューは愛だァァァ!!」
そこかしこで飛び交う謎の任侠ワード。
アルも、なぜか超本気。
「鉄板の上にも三年って言うだろッ!!!」
「いや言わないけどなッ!!」
と横でシルク(監査役)が爆笑してる。
やがて、いい匂いが、中庭いっぱいに広がった。
ジュウウウ。コトコト。ぱたぱた。
手作りとは思えない、美味しそうな昼ごはんたち。
鍛冶屋のおじさんたちが、ごつい体で列に並んだ。
子供たち、ぺこりと頭を下げる。
「食べてください!!」
「オレたち、がんばった!!」
鍛冶屋たち、ごくりと喉を鳴らして、一口食べた。
──そして。
「うめぇぇぇぇぇ!!!!!!」
広場に、でっかい歓声が轟いた。
ちびっこたち、「やったー!!」と飛び跳ねる。
グレゴル校長は、遠くから、その光景を見て、ゆっくり目を細めた。
「……家族ってのはな。」
「一緒にメシを食うことから始まるんだ。」
ぽつりと、誰にともなく、呟いた。
アルが、隣でこっそり頷いていた。
そして、この日、ちいさな学校に、またひとつ、でっかい絆が生まれた。




