全力で、楽しめ!!
空は、どこまでも高く青かった。
自由学舎フォルティナ、記念すべき──
第1回大運動会!
中庭に、即席で作られた白線。手作りの旗。ワクワクで目を輝かせる子供たち。
開会式で、でっかい校長──グレゴルが、ぶっきらぼうに宣言した。
「ルールは一つ。」
「……全力で、楽しめ!!」
おおおおおお!!!子供たち、大歓声。
アルは、めっちゃ嬉しそうに、手作りのプログラムを配って回った。
【本日の種目!】
1. ガチ徒競走
2. 巨大玉ころがし(玉はなぜか鍛冶屋の火消し玉)
3. 倒れたら負け!相撲大会(参加自由)
4. 宝探し競争(景品:手作りお菓子!)
5. チーム対抗綱引き!(最終決戦)
そして、超目玉は──
グレゴル校長とアルのスペシャルリレー!!!
最初の徒競走。
ヨーイ、ドン!!
子供たち、わーっと走り出す!
……が、コースに仕込まれた泥だまりと、ぬるぬる石畳に、次々と転倒者続出!
「きゃああ!」
「泥だらけだー!!」
でも、誰も泣かない。すぐ立ち上がって、笑いながら、また走る。
「へへっ、負けないぞー!」
「どろまみれでも楽しい!」
子供たちの声が、空に弾けた。
次の巨大玉ころがし。
どすん!どすん!
超重量の火消し玉が、ごろごろと転がる。
ちびっこたち、押して押して押しまくる。
「がんばれー!!」
「玉に押しつぶされるなー!!」
応援するアルも、なぜか途中から参加して、全身泥だらけに。
校長グレゴルは、腕を組んでにやにや眺めていた。
「……いい顔してやがる。」
誇り高い声で、ぽつりと呟いた。
宝探し競争では、宝箱の中にアル特製の超マズい手作りクッキーが混じってて、引き当てた子供たちが大騒ぎ。
なお、本当に当たりはちゃんと美味しいお菓子もある。by 神父シンプソン
「ぎゃー!!これ毒だー!!」
「食うな、爆発する!!」
腹を抱えて笑うちびっこたち。それを見て、グレゴル校長も腹を揺らして大笑い。
そして、最終種目──
グレゴル校長VSアル、スペシャルリレー!
「いっくぞー!!!」
「おう、負けねぇぞ、チビ!」
でっかい熊みたいな男と、ちっちゃな冒険者少年が、校庭を全力疾走!!
子供たちの応援が、空に響く。
結果?
──引き分け。
アルが最後、グレゴルの服にしがみついて、一緒にゴールに転がり込んだ。
「……はぁ……はぁ……たのしかったぁぁぁぁ!!」
アルは、顔じゅう泥だらけで、満面の笑みだった。
その隣で、グレゴル校長も、いつになく柔らかい顔で空を仰いだ。
──これだ。
──オレが、守りたかったのは。
子供たちの笑顔。無垢な未来。
たったそれだけ。だけど、世界で一番大事なものだった。
運動会の最後。全員で、手をつないで大声で歌った。
歌詞は、みんなで考えた即興ソング。
「みんなともだち、みんなかぞく、
あしたへと、いっしょにいこう!」
空に、太陽に、響き渡った。
自由学舎フォルティナ。ちいさな、でも誰にも負けない、未来への一歩だった。




