でっかい校長先生と、ちいさな教室
朝の自由学舎フォルティナ。
まだ朝靄の残る中庭に、ぞろぞろと子供たちが集まる。
「おはよー!!」
「今日もがんばるぞー!」
元気な声。小さな足音。
そんな中。
どしん、どしん、と地響きのような足音が近づく。
「……よし。」
現れたのは、もちろん。──グレゴル校長。
鍛冶屋で鍛えた超特大の椅子に、どっかり座る。
見上げる子供たち。一瞬、みんな真顔。
だが。
「おはようございます、校長先生!!」
ぴしっ。
ちびっこたち、一生懸命敬礼!!
グレゴルも、ぶっきらぼうに、ゴツい拳を胸に当てた。
「……おはよう。」
不器用な挨拶。
でも、ちゃんと優しい。
アルが、こそこそと教壇横からメモを出す。
「校長、今日の朝礼メモ!これ!」
グレゴル、ごそごそ受け取る。
紙には、ちびっこ字でこう書いてあった。
──"今日も無理せず、がんばろう!"
グレゴルは、ごほんと咳払いして、読み上げた。
「……おまえら。今日も無理せず、がんばれ。」
超棒読み。
でも、子供たちは、大喜びだった。
「はーい!!」
「がんばるー!!」
「グレゴリ先生もがんばってー!!」
思わず、でっかい校長先生の顔がほころぶ。
「……オレも、がんばる。」
どこかで、風鈴みたいな笑い声が響いた。
そのあと。
先生たちによる朝の体操。ぐちゃぐちゃになりながらも、ちびっこたちは懸命にジャンプ!
グレゴルも、のっそり腕を回して、膝をぎしぎし鳴らしながら付き合う。
「い、いてて……」
「校長、老体にムチうってるー!」
「無理しないでー!」
ツッコミが飛ぶたび、グレゴルは顔を赤くして、でも、とても、とても楽しそうだった。
──ここは、ただの学校じゃない。
笑って、泣いて、みんなで支え合って、未来に歩くための場所。
アルは、校庭の隅からそれを見て、静かに、笑った。
「──最高の、家族だな。」
そう、心から思った。




