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自由学舎フォルティナ  作者: mashironotsuki
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2/9

アル先生、初めての机

晴れ渡った朝。街中が、なんだかそわそわしていた。

理由はただ一つ。

──自由学舎フォルティナ、開校初日。

市庁舎の鐘が鳴り響くと、ぼろぼろの靴を履いた子供たちが、わらわらと集まってきた。


「ここで、勉強するんだよね……?」

「うわ、机がある!!」

「すっげぇ!!」


きらきらの目。どきどきの顔。

先生役は、街の神父さんと、元文官の老人たち。それから、手仕事を教える職人たち。

そして──


「えーっと、今日の授業は…… あ、これか?」


一番前の席に、ぺたんと座っているのは、他ならぬアルだった。

生徒たち、びっくり。


「え、アルも……?」


アルは、照れくさそうに笑った。


「だってさ、オレ、 学校行ったことないんだもん!」

「だから、みんなと一緒に、 今日から、勉強するんだ!!」


ざわざわ、わあっと広がる歓声。

──この教室には、偉い人も、弱い人も、関係なかった。

みんな、ただの「学ぶ仲間」。

初めての授業は、「字の書き方」。

神父さんが、チョークで黒板に、大きな字を書いた。

【あ】


「じゃ、これ、みんな書いてみよう!」


わいわい。

きゃっきゃ。

一生懸命、小さな手で、ぶかっこうな「あ」の字をなぞる。

そして。

アルも。

小さな舌をちょっと出して、ぐぐっと手に力を込める。


「う、うーん、むずかしい……!」


紙の上には、びっくりするほど味のある「あ」の字。

子供たち、大爆笑。


「アル、下手くそー!」

「オレのほうがうまいぞー!」


アルは、ぷくっと頬を膨らませた。


「くそぅ、練習してやるー!!」


笑い声と、教える声と、失敗して転んだり、泣いたりして、でもすぐ立ち上がる声。

小さな教室に、命の音が満ちていく。

──それは、たぶん、この街で一番、優しい時間だった。

窓の外、グレゴル──親分が、そっと腕を組みながら見守っていた。


「……小僧。」

「お前が……本当に守りたかったのは、こういう未来だったんだな。」


風が吹いた。花びらが舞った。

ちいさな学校に、ちいさな奇跡が、今日もまた、生まれていた。


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