観戦・アニマル大相撲! 4
動物に人間の食べ物を与えてはいけません。
この物語はフィクションであり、ゲームの中でのお話です。
少し大きめのお椀に、たくさんの野菜と鶏肉。
ちょっと味が強めなのは、相撲部屋のちゃんこだからかな?
塩分補給の意味もあって、塩味強めに調整してあるのかもしれない。
「ツキノ、あ~ん」
「きゅ~ま」
「これがちゃんこ鍋なんだって。
おいしい?」
「きゅま♪」
僕が頼んだのは、心技館ちゃんこ。
大きなお椀に、塩味のちゃんこ鍋がよそわれている汁物。
ナナミさんが言ってたスイーツパンとか、そのメニューの近くに載ってた『アニもう食パン』なんかは、とても気になったんだけど。
お相撲さんと言ったら、やっぱりちゃんこ鍋だよね。
気分的にも温かい汁物が食べたかったし、丁度いいかなって。
「愛ちゃんも一口どうぞ。あ~ん」
「にゃ~ん」
「おいしい?
塩っぱ過ぎない?」
「んにゃん♪」
味は絶品そのもの。
実際に相撲部屋で出してるメニューを再現してるらしいから、美味しさは保証済み!
だって、このちゃんこ鍋をたくさん食べるから、あんなに大きな体のお相撲さんになれるんだもん。
毎日食べても飽きなくて、体づくりの基礎になって、健康にも配慮してる。
ある意味、究極の食べ物って言っても良いと思う。
…ちょっと言い過ぎかな?
「野菜もお肉も、味がしみ込んでて美味しい!」
「相撲見ながらちゃんこが食べれるん、アニガーならではや。
本来、国技館では地下でしかちゃんこ食べられへんねん」
「持ち出しできないの?
てゆーか、国技館って地下があるんだ!」
「国技館の地下には大広間があってな。
場所中は、色んな相撲部屋のちゃんこが再現されて食べられるんよ。
相撲やってへん時どうなっとるかは知らんけど」
「プロレスとかやってる時あるよね」
「アーティストがライブ会場として使う時もあるわな」
おしゃべりしながら、ナナミさんも軽食を楽しんでる。
予想に違わずって言ったら怒られちゃうかな?
たこ焼きを食べる姿が、堂に入ってる。
「ひと口いる?
ほれ、遠慮せんと。あ~ん」
「それじゃあ、頂こうかな。
あ~ん」
「美味いやろ?」
「熱々で、プリプリで、美味しい!」
「せやろせやろ?
それにな。
このたこ焼き、めっちゃレアやねんで?」
「レア?」
珍しいって意味のレアだよね?
ブツ切りのタコが入ってたし、生地もソースも美味しかった。
とりわけ、これって言う特徴は見つからなかったけど。
僕からすれば、満点の美味しいたこ焼きって感じ。
「国技館ではな、たこ焼き出す店、閉店してもうたんよ。
せやから、アニガーの心技館でしか食べられへんねん」
「あわわ。そういう意味で、レアなんだ」
「国技館で食べるたこ焼き、最高に美味かったんやけどなぁ。
勿体ないことやで…」
「じゃあさ。心技館に来た時は、味わって食べないとね」
「せやね。
電子空間で再現してくれる事に、ただただ感謝やで…」
国技館みたいに多くの人で賑わう場所にお店を出せても、それで安泰ってわけではないんだね。
社会情勢とか、原材料の高騰とか。
難しい問題もいっぱいある。
小麦粉なんかは円安とか海外の流通の影響が直撃しちゃうから。
パン屋とか、粉物使うお店は苦しくなっちゃうんだよね。
国内産の小麦は、流通量の問題が大きすぎて解決策にならないし。
「ナナミさんも、ちゃんこ食べて?
美味しいから、元気出るよ?
はい、あ~ん」
「うう、ウィート君は優しいわ。
あ~ん。
…くうーっ!
涙の塩味やーっ!」
「塩っぱだった?」
「んや、普通に美味い。
ありがとうね、ウィート君」
「どういたしまして。
ゴリスチャンも、あ~ん。
もちろんピーナッツもね。あ~ん」
「ウホ。ウッホッホ♪」
「ワンワン!ワフー♪」
「美味しい?良かった。
2人もくれるの?
僕はもう貰ったから、ツキノと愛ちゃんにお裾分けしてあげて?
気持ちだけ頂いておくからさ」
ゴリスチャンとピーナッツが食べているのも、ナナミさんと同じたこ焼き。
別々の食べ物を買って、シェアしようって感じではないみたい。
2人もちゃんこのお礼にたこ焼きを食べさせようとしてくれたけど、ナナミさんに頂いちゃったからね。
僕の分は、ツキノと愛ちゃんに食べさせてあげてよ。
…よくよく考えてみたら、ゴリラさんとビーグル犬に『あ~ん』してもらうチャンスを逃したのでは…!
「きゅーま!ま~む!」
「ツキノもお返しくれるの?
ありがとう、あ~ん」
「きゅまま?」
「うん、美味しい。
食べ応えもあるし、いいチョイスだね。
ありがとう、ツキノ」
「きゅまー♪」
あちあちハフハフ。
たこ焼きを食べ終えたツキノが、唐揚げを差し出してくれた。
嬉しいけど、ツキノくん。
唐揚げをみんなに食べさせようとすると、数が足りなくなっちゃうよ?
うーん。
折角みんなで遊びに来てるんだし、しょぼんとしたツキノは見たくない。
こっそりと、もう1本注文しておこう。
「スズメさん、唐揚げ串をもう1本お願い」
『畏まりました』
「スズメさんも、ちゃんこ美味しい?
塩っぱすぎない?」
『美味しく頂いています。
お気遣い感謝します、ウィートさま』
スズメさんは、僕と同じ塩ちゃんこ。
羽と翼を器用に使って、上品に食事をしてる。
…羽、痛まないよね?
大丈夫だよね?
「にゃ~ん」
「最後は愛ちゃんだね。
あ~ん。
あわわ。旨味が凝縮されてて、すっごく美味しい!」
「にゃん♪」
愛ちゃんが選んだのは、焼き鳥セット。
もも肉かな?
鶏肉の串が3本と、つくね串が2本。
愛ちゃんはつくね串を食べさせてくれたんだけど。
濃い目の辛口ダレが美味しくて、つくね自体の味もまた美味しい。
鳥の旨味が、つくねの中にギュッと閉じ込められてるみたい。
串が5本も入っているし、愛ちゃんのチョイスは大当たりだね!
「おお、愛は通なモン選んだね。
お相撲さんにとって、鶏って縁起がええねん」
「鶏?
ツキノの唐揚げ串も?」
「もちろん。
ちゃんこ鍋の鶏肉もなんやけど。
鶏って二本足で立つし、歩くやん?
転じて、手に土が付かないって縁起物らしいわ」
なるほど。
鶏肉を使ったメニューが多いのには、理由があったんだね。
…ところで。
みんなに配る数が足りないのに気付いて、ショックを受けて。
どうしようってアワアワしてた先に、もう1本の唐揚げ串を見つけて。
不思議そうな顔をして、動きが固まって。
スズメさんに促されて、ゴリスチャンとピーナッツにお裾分けして。
いまは僕の膝にぐりぐり顔を擦り付けてる子グマさん。
君のチョイスは縁起物として大正解だったらしいから、反省しなくていいんだよ?
お裾分けできない料理だってあるんだから、あんまり気にしないの。
世の中には、料理をシェアするのが嫌いな人だって居る事だし。
みんなが好きなものを食べればいいんだから。
ほらほら、唐揚げ串がもう1本あるよ?
ツキノ、美味しく食べよう?
お食事の時は、笑顔で楽しく、だよ?
私事都合のため、明日の更新はお休みです。




