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Animal Garden  作者: slowly
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53/57

観戦・アニマル大相撲! 3

『クマ安~。クマ~安~』


「くうーっ!

 ええ取組やったわーっ!」


「あっという間だったね…」


「きゅまー…!」



 立ち合いが成立するや否や。


 クマさんの強烈な体当たりを、サイさんが両手を広げて受け止める。


 バスンッ!って音が、会場中に響き渡る衝撃。


 サイさんが土俵際まで押し込まれつつ、勢いがそこで止まって。


 クマさんの廻しにサイさんの右手がかかって、ここから逆転か!


 そう思ったのも束の間。


 先に廻しを掴んだのは、クマさんの右手だった。


 クマさんがもう1つ気合の押し込みを見せて、そのまま土俵割り。


 決め手は、寄り切り。


 迫力のぶつかり合いは、クマさんの勝利で終わった。



「最初にぶつかった時、凄い音だったね!

 なんかもう、バーンッ!って音が響いてた!」


「立ち合いの体のぶつけ合いっちゅーのは、わかりやすい相撲の面白さよな。

 特に、体の大きな力士同士の立ち合いは、細かい事気にせんでも楽しいやん?

 それもあってか、大相撲って外人さんにも大人気なんや。

 言葉わからんでも魅力が伝わるし、日本の伝統も感じられるしで」



 旅行や仕事で日本に来た海外の有名な人が、テレビ放送に映ってたりするね。


 日本を案内する側としても、連れて行きやすいのかもしれない。



「聞いたことあるかも。

 15日間、毎日続けて試合が見れる格闘技は、世界でも珍しいって」


「せや。相撲は相撲やから、格闘技と呼ぶかどうかはともかく。

 それだけ過酷なんは間違いないで」



 比べるものでは無いと思うけど。


 格闘技って呼ばれる競技で、2週間も試合をし続ける競技って、なかなか無い。


 練習とか稽古とか、毎日の努力が大変なのは一緒なんだろうけど。


 毎日テレビで試合を映す格闘技って、すごく稀なんだと思う。


 きっと、体にかかる負荷が大きいのが理由じゃないかな。


 それに耐えていけるお相撲さん達は、やっぱり凄いんだ!



「クマ安関みたく、明確な強みのある力士は強いわなぁ。

 当たりの強さって、誰に対しても強く出れる武器やし。

 変化で透かそうにも、体の大きさと突進の速さがあるからな。

 中途半端な体勢で受けたら、跳ね飛ばされて終わってまうわ」


「変化って?」


「立ち合いで相手とぶつかる事を避ける動きのことや。

 正面から突っ込んで来る力士の横に回り込んで、立ち合いの衝突を避けたり。

 相手の横や後ろに位置できれば、絶対的に有利な取組になるしな。

 なんなら、目標を見失った相手側がそのまま土俵に倒れこむこともあるよ」


「あー、思い出した。

 おじいちゃんが怒ってたやつだ。

 いい体格をして、けしからんって」


「まぁわからんではないかな。

 正直。

 見る側としては、面白く無いんよ。

 小兵力士が使うならまだしもやけど。

 やっぱり、力士同士のぶつかり合い。

 力比べが好きで相撲を見とる面もあるから」


「でも、ルール違反じゃ無いんだよね?」


「せや。禁じ手や無いから、誰がやってもええ。

 つまり、全力士が頭に入れておかなアカン事でもある。

 土俵上の力士は勝つか負けるかで闘っとるんやし。

 大相撲って、番付社会やから。

 誰にどう見られるかより、勝ってナンボっちゅうのもわかる。

 ただ、客としてはな…がっかりするねん」


「なるほど。

 じゃあ、今みたいなガチンコのぶつかり合いは?」


「そんなん…大好物やんか!」


「きゅままー!」



 おっと、右膝の上の子グマさんも大興奮しちゃってる!


 あんまりお手々を振り回すと、僕の顔にポスポス当たるんですけど。


 全然痛く無いし、むしろ幸せ触感だから。


 ドンドンやってくれていいんだけど。


 若干、前が見づらいです。


 頭をポンポンして、ちょっと落ち着かせようと試みる。


 …興奮、収まらず。


 うーん。


 次の取組が始まれば、また集中して見てくれるかな?


 元気なのは良い事だし。


 騒いだ音は、周囲に伝わらないって聞いてるから。


 好きにさせておいてあげようか。


 一方、左膝の子猫ちゃんは。


 僕の左手を抱えて、カムカムチロチロ。


 フワっとした毛並みが僕の膝の上でユラユラ揺れて。


 プニっとした肉球が僕の左手を包み込む。


 ザラッとした冷たい舌の感触が指先を這う。


 …何だろう、この可愛い生き物は。


 次にペットにする動物、どんな子にするか決めてないんだけど。


 これは、心が揺らぐ。


 愛ちゃんは、ペルシャ猫だったよね?


 猫ちゃんかー…いいよねー…!



「愛、飽きてもうたか?

 ゴメンなウィート君」


「ううん。

 いま、ちょう幸せだから。

 お構いなくー」


「ああ、うん。

 迷惑でないならええのよ。

 …お茶とお菓子でも頼もうか」


「ここって、飲食大丈夫なんだ?」


「座席での飲食なら可能やで。

 国技館には飲食物を外から持ち込まないのがマナーやけど。

 アニガーの心技館なら、料理を作って持って来てもオッケーや!

 ナビ子ー、メニュー出してー」



 キツネさんタヌキさんの解説パネルとは別に。


 手元にもう一つの電子パネルが生成される。


 手元とは言っても、僕の両手は塞がっているけれど…


 おや?


 2人とも、僕の手よりパネルの方が気になるの?


 …そうだよね。


 誰だって、美味しい食べ物には勝てないよね。 


 

「国技館の飲食店を参考にしたメニューになっとるからね。

 定番どころは幕の内弁当とか、焼き鳥、豚まん辺りやろか。

 意外なトコで、ハンバーガーセットなんかもあるで」


「ここで、ハンバーガー?

 雰囲気に全然あってない気がするけど」


「結構人気があるみたいやで。

 15日ずっと来てる人も居るし、変わったもん食べたくなるんやない?

 外人さんにも食べやすいメニューやろうし」



 外人さん向けって考えると、違和感が消えちゃう不思議。


 2週間通い詰める人にとっては、たまにジャンクフードを食べたくなるのかも。


 ショッピングメニューにも、アメリカンドックとか載ってるもん。



「スイーツ類も充実しとるんやで。

 甘味大将、アライグマ親方のおすすめスイーツパンも美味そうやわ」


「ほほう。

 僕にパンをおすすめするんだね?」


「なんや、パンに一家言持っとるんかいな?」


「まだ言ってなかったっけ?

 僕の実家、パン屋さん」


「…ホンマもんかいな!」


「ホンマもんです。

 僕はまだ、お手伝いだけなんだけど」



 ふふん。


 国技館グルメ…じゃなくて、心技館グルメ。


 その実力、見せて貰おうかな!

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