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Animal Garden  作者: slowly
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44/57

Hello, mou mou. 6

「それじゃあ、お節介のアドバイスをさせて貰おうかな!

 クエストじゃないから、お互いにポイントは入らないけどね!

 おじさんのワガママだと思って、付き合ってくれたまえ!

 あっはっは!」


「ポイントなんて、無くても大丈夫です!

 僕たち、牛乳を貰いに来ただけですから。

 あと、牛さんと遊べたらいいなって。」


「それは良いゲームの楽しみ方をしていると思うよ!

 あっはっは!」



 今日は、GPを稼ぎ来たわけじゃ無いし。


 今回みたいな場合、僕がクエストで貰えるBPってさ。


 人に助けて貰った上で、そこから更に頂けちゃうポイントなワケで。


 助けて貰った分のポイントが入らないからって、文句なんか出るはずないよ。



「早速、レッスン1といこう!

 まずは、好みの牛を見つける事だね!

 見た目、雰囲気、フィーリング!

 どこでもいいから、好きだと思える牛を見つける事が重要だ!」


「気になる子なら、もう見つけてるんです。

 すごく優しそうな牛さんが居て」



 この場所に来てから、近くに居る牛さんの、その殆どが僕たちに注目しているというか。


 何となくでも、みんなが好意的に見てくれてるのが感じられる。


 だから多分。


 どの子にお願いしても、お乳を搾らせてくれるとは思うんだ。


 でも、その中でも。


 ツキノと仔牛たちを、静かに見守ってくれてる牛さんが居るんだ。


 他の子と同様、僕やジョージさんの事も気にしてはいるみたいだけど。


 それでも仔牛たちを優先して見てあげている、お母さんみたいな優しさの。


 艶のある黒い毛並みで、牛さんの中でも一際大きな体。


 澄んだ黒目と、まっすぐなお鼻が美しいお顔立ち。


 ジョージさんが言ってた好きだと思う点が、全部当てはまってる!


 僕は、あの牛さんに一目惚れしちゃったんだ。



「おお、それは良い!

 素晴らしいよ!

 牛選びをナビゲーターに任せていると、体験できない事さ!

 最初の乳絞りから『これだ』っていう相手が見つかるのは、凄い事だよ!」


「声をかけて来てもいいかな?

 僕、あの子とお話ししたい」


「あっはっは!

 勿論だとも!

 レッスン2は、牛としっかり対話する事!

 いきなり手を伸ばすのではなく!

 顔を合わせて、話しかけて!

 牛乳を貰うのは、それからさ!」



 …ごめんなさい、ジョージさん。


 正直、もう話半分で聞いてしまっている。


 でも、僕の集中力は今、あの牛さんだけに使われちゃってるんだ。


 少しづつ近づく度に、僕に視線を向ける頻度が高まって来る。


 ちょっとソワソワしてるのかな?


 仔牛たちの方を見たり、僕の方を見たり。


 顔の動きと尻尾の動きが合わさっていて、ちょっと面白い。


 そんな牛さんも、目の前まで近づくと、やっと視線を合わせてくれる。



「こんにちは、牛さん。

 僕の名前はウィート。

 よろしくね?」


「…モー」


「あわ、綺麗な声だね。

 他の子は大きくて低い声がお腹に響くのに。

 君の鳴き声はとっても聞き心地が良くて、すんなりと鼓膜に響く」


「…モゥ」


「気を使ってくれるの?

 大きな声じゃなかったから、大丈夫だよ」


「…モー」


「うん、やっぱり綺麗な声だ。

 ねえ、体を撫でてもいい?」



 どうぞって感じに、体を横に向けてくれる。


 牛さんは横に視界が広いから、僕は顔の横辺りに立つ。


 触る人の姿は視界に入っていた方が良いだろうからね。


 ゆっくりと、頭と背中を撫でてみる。


 光沢のある黒い毛並みは、見た目通りの滑らかな手触りに、暖かな感触。


 柔らかくて、指が沈み込むようで。


 あんまり触り心地がいいから。


 脳が命令しなくても、僕の手が勝手に動き続ける気がする。


 もう、ずうっと撫でていたいけど。


 今日は牛乳が欲しくて来たんだから。


 しっかりしないとね!



「僕さ、今日はミルクを貰いに来たんだ。

 誰にお願いしようかなって、探していたんだけど。

 君にお願いしたいんだ」


「…モー?」


「うん、君がいいんだ。

 綺麗な子だし、優しい子だし。

 ずっと仔牛たちのことを見てあげていたでしょ?

 それを見て、僕は君の事が好きになったんだ」


「…モゥ」


「いいの?

 ありがとう!

 嬉しいよ!」



 喜んだ勢いで、ぎゅーっと抱き着いてしまう!


 あわわ、あったかーい!


 つやつやすべすべで、暖かくて。


 手の平とか頬っぺたが特にだけど。


 全身が、すんごく幸せな感触に包まれるー!


 …あわー。


 このまま眠ったら、控えめに言って最高なのではー?



「いやあ、若くて良いねえ!

 私も若かりし日々を思い出してしまったよ!

 青春って良いねえ!

 あっはっは!」


「ウキャー!」


「天くん、突っ込みが強烈だね!

 アニガーなら痛くないから、問題ないけどね!」


「ウッキーッ!」



 天くん、突っ込み役お疲れ様です。


 ジョージさんたちとは、さっき会ったばかりだけど。


 彼らの立ち位置って、何となくわかったかも。


 ジョージさんが明るく飛ばして、天くんがブレーキ役。


 ピピちゃんがフォローに回って、チールくんがついて回る。


 短い時間の印象だけど、そう間違ってない気がするよ。


 …こう考えると、チールくんは要領がいいのでは?


 一番被害が少なそうなポジションを確保したのでは…


 ちょっと、名前に引っ張られてる気がする…



「あっはっは!

 私だって若い人のお邪魔をしたくはないがね!

 搾乳するのを忘れてないかと思うじゃないか!

 時間は有限だよ!

 とりわけ若いうちは、時間が足りないものさ!」


「…いや、忘れてはいませんよ。

 お乳を搾って良いって、許可をもらえましたし。

 …時間の事は、ちょっと忘れてました。

 ごめんなさい、ジョージさん」


「謝ることは無いよ!

 ゲームを楽しむ事は良い事さ!

 動物が好きな事も良い事さ!

 ただ、時間が限られているのが残念なだけさ!」



 よく考えたら、僕1人の時間じゃ無いんだった。


 せっかくジョージさんが付き添ってくれたんだから。


 まずは、目的を果たさないとダメだよね。



「ではレッスン3!

 搾乳段階の注意点だ!

 搾乳のやり方は知っているかな?」


「親指と人差し指で輪っかを作って、中指から順番に絞る!」


「惜しい!

 親指と人差し指の輪っかで乳首の根元をしっかりと絞ってから、順に指の力を入れていくんだ!

 これは、牛の病気を防ぐために大事な手順だからね!

 痛そうかと気遣って力を緩めた搾乳は、乳房炎のリスクを高めてしまうんだ!」


「指で輪っかを作るのは、牛さんのためなんだね。

 あ、手袋をした方がいいって聞いた事もあるかも」


「正解!

 人間が持つ細菌を、乳頭経由で牛に移さないために手袋をするね!」


「牛さんを守るためのルールが多くあるんですね」


「そうさ!

 牛の健康を守ることで、人間も安心して牛乳を飲めるからね!」


「なら、この子のためにも気を付けないと…!

 他にも気を付ける事はありますか?」


「人間用のミルクを取る前に、前絞りをしてあげる必要があるね!

 3回程度絞っておくことで、新鮮なミルクを出してくれるのさ!

 そのあと、乳頭を綺麗に拭いてあげると良い!

 乳を搾った後にも拭いてあげよう!」



 牛さんのお乳を搾るのにも、色々と手順があるんだね。


 その殆どが、牛さんの健康を守るための決まり事。


 だったら、僕も教わった事を守って乳絞りをしよう。


 ミルクを貰うときに、この子を傷つけちゃいけない。


 仲良くなりたい相手なんだから、しっかりと気遣ってあげなきゃ!

軽いナンパに映らないかが心配で、悩んで、見直して。

真剣な態度に書けていると判断して、投稿します。


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読んで貰えて、嬉しいです。

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