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Animal Garden  作者: slowly
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43/57

Hello, mou mou. 5

「あっはっは!

 随分と可愛い事をしているね!」



 不意に聞こえてきた声に、振り返ってみると。


 ベージュのテンガロンハットを被った、優しそうなおじさんが微笑んでいる。


 一目見て、優しそうなって感じた理由は…


 朗らかな笑顔と、からっとした感じの大きな声。


 それと、オーバーオールを真ん丸と押し上げている、大きなお腹のせいかも。



「こんにちわー。

 ごめんなさい、騒がしくしてしまって…」



 牧場入口に比べれば、プレイヤーの数はずっと少ないけれど。


 いま僕たちが居る牧場の奥の方でも、プレイヤーの姿をちらほら見かける。


 子供たちが楽しそうだったから、つい好きにさせてしまったけれど。


 ちょっと、うるさかったかな?


 牛さんたちが鳴き声をあげない分、この子たちの声が響いちゃったかも。



「なあに!

 子供たちが元気なのはいいことさ!

 ここは静かでいいけれど、静かすぎても寂しいからねえ!

 あっはっは!」



 あわわ。


 とてもお声が大きなおじさんだ。


 ツキノたちも、びっくりして動きが止まっちゃってる。


 さっきまでは仔牛たちの尻尾が左右にぐるぐるん回って、楽しいって気持ちを伝えてくれていたのに。


 今はピーンと垂直になったまま。


 大人の牛さんと同じくらいに大きな声だったもん、驚いたよね。  



「ウキッ!ウキー」


「うん?

 おお、こりゃイカン!

 大きな声で、驚かせてしまったね!

 これは申し訳ない!

 あっはっは!」


「ウキーッ!」


「スマンスマン!

 あっはっは!」


「ウッキャー!」



 大きな声で話し続けるおじさんを注意しているのは、お猿さん!


 僕の腰下くらいかな?


 ツキノと同じくらいの背丈で、おじさんの周りをピョンピョン飛び跳ねてる!


 ちょっと怒って見えるのは、おじさんの声が全然小さくならないからかな?


 お猿さんも興奮してきちゃって、おじさんと同じ大きさの声量になってるかも。


 呆気に取られて、ただそのやり取り見ていると。


 おじさんの大きな体の後ろから、何かが僕のところに飛んで来た!



「チュチュン、チュン」


「きぅきぅ」


「あわー、小っこい可愛い!

 こんにちわ、雀さん。リスさん」


「チュン」


「きぅ」



 僕の目の前で地面に降りた鳥さんと、その背中から飛び降りたリスさん。


 騒がしくてすみません。


 そんな感じで頭をペコペコさせてる雀さん。


 僕にも見えてるってことは、ナビゲーターじゃないんだよね。


 ペットの雀さんは、アニガーで初めて見たかも!


 その隣で、手乗りサイズの小さなリスさんが、一生懸命にペコペコしてる。


 雀さんを真似しているのかな?


 小さくて、すっごく可愛い!



「あっはっは!

 ウチの子たちが、すまないねえ!」


「ウキー…」


「チュン…」


「きぅ…」



 ああ。言葉は通じないけど、何を言ってるのかがわかるよ。


 多分、お前が言うなって感じだよね。


 ジト目になってる3体も可愛いけど。


 それに全く動じていない、おじさんのインパクトが強いなぁ。



「あっはっは!

 急にお邪魔をしてすまないね!

 連れているのがクマの子供だけに見えたものでね!

 もしかしたら、ここに来るのが初めてなんじゃないかと思ってね!

 お節介をしたくなったのさ!」


「はい、初めてです。

 …そっか。

 子供のペットだけを連れていると、初心者だってわかるんだ」



 他の子はお留守番で、幼生体のペットだけを連れてる人の可能性もあるけど。


 それをやるのは、結構なベテランさんかも。


 最初の内は、嬉しくてペットの皆を連れ回しちゃうよ!


 お留守番させるだなんて、とんでもない!


 家族が10体くらいに増えた時は、また別の話になるのかも、だけど。



「殆どの初心者は入り口付近で乳絞りを体験するからね!

 誰かしらにクエストが出て、やり方を教えてくれるんだけどね!

 この辺りは人が少ないからね!

 おじさんが、アドバイスだけでもと思ったのさ!」


「牛さんと人が密集してたのは、そんな理由もあったんだ。

 僕、最初くらいは自分で牛さんを探そうと思って。

 それで、プレイヤーが少ない場所に連れて来てもらったんです」


「なるほど、自分で探して牛乳を貰おうだなんて…通だね!

 しかも最初から!

 実に天晴れあっぱれだ!

 あっはっは!」



 言われてみれば。


 プレイヤーが多いって事は、それだけ助けて貰えるって事なんだ。


 1人で居たって、スズメさんが助けてくれると思うけど。


 クエストが出るって意味では、プレイヤーが多い場所の方が美味しいのかもしれないね。 


 鳴き声の大きさは、聞こえ方を調整して貰えばいいんだから。



「ウキキッ、ウキッ!」


「おお、そうだったそうだった!

 自己紹介がまだだったね!

 私の名前はジョージ!

 憧れの芸能人から名前を貰って付けたんだよ!

 あっはっは!」


「僕の名前はウィートです。

 中学3年生で、実家がパン屋で。

 えーっと…

 アニガー初めて5日目です!

 よろしくお願いします!」



 ゲームの中の自己紹介って難しいよね。


 実名を言っちゃいそうになるし。


 住所とか、何県に住んでますって言うのもNGになる。


 パン屋の息子はOKでも、佐藤パンの息子はNG。


 中学生って言うのはOK…むしろ、推奨されてる。


 未成年だから、強く保護されてますよっていう警告になるんだって。



「こちらこそ、よろしくお願いします!

 それにしても、パン屋の子供さんか!

 私はパンが大好きだから、実家がパン屋なのは羨ましいね!

 あっはっは!」


「ウキ、ウキーッ!」


「そうだったそうだった!

 この子はね、お猿の斉天大聖せいてんたいせい

 天くんって呼んであげてよ!

 西遊記から名前を貰ったんだ!

 ニホンザルだけどね!

 あっはっは!」


「ウキキッ!ウキー」



 やかましい!


 みたいな感じの、綺麗な裏手突っ込みを見せてくれた天くん。


 その後で、これまた綺麗なお辞儀を見せてくれた!


 西遊記って、三蔵法師が天竺=インドを目指して旅をする話だよね。


 流石に、名前に孫悟空は使い辛かったのかな?


 …斉天大聖も大概だとは思うけど、ね。



「ウィート君の目の前に居るのが、雀のピピちゃん!

 子供の時に飼っていたインコから名前を貰ったんだよ!

 この子は、私が最初にペットにした子なんだ!

 アニガーの中でだけどね!

 現実では、金魚の金ちゃんが最初のペットだったね!

 あっはっは!」


「チュン、チュン…」



 すみません、すみません。


 そんな気持ちが伝わって来るほど、ペコペコし続けているピピちゃん。


 君が謝ること無いんだよ、気にしないでって。


 にっこり微笑んで、気持ちを伝えようとしてみたけど…


 ジョージさんが、他のプレイヤーとやり取りする時もこんな感じなのかな?


 面倒見が良さそうで、ちょっとだけ苦労人な雰囲気があるよ…



「最後は、ピピちゃんの隣に居る、リスのチール!

 今月仲間入りしたばっかりだから、まだ幼生体なんだ!

 来月もリスを仲間に加えて、デップにしようと思ってるんだ!

 名前の由来は…怒られそうだから、秘密さ!

 あっはっは!」


「きぅきぅ」



 お隣のピピちゃんと一緒に、ペコペコしている小さなチールくん。


 申し訳なさよりは、ピピちゃんの真似をしているみたいだけど。


 可愛いから、全て良し!


 モチーフについては、聞かなかった事にしておこう。


 …デフォルメ体とか、危ないんじゃないかなぁ。



「僕のペットは、ツキノワグマのツキノです!

 僕のペットはこの子だけで…周りの仔牛は、牧場の子たちです」


「きゅま☆」


「もー☆」


「もー☆」



 すっかり仲良しな子グマさんと仔牛たちの組み合わせ。


 ツキノを中心に、仔牛が周りに集まっちゃってる!


 …ちょっとツキノくん。


 僕も、その中混ざりたいんだけどー。

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