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Animal Garden  作者: slowly
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28/57

登場!難波のナナミ(自称)1

「ちょっとそこ行くおぼっちゃん!」



 急に大きな声をかけられて、ちょっとビクってなっちゃった!


 おぼっちゃんって、僕のことだよね…?


 きょろきょろ周りを見渡すと、ポニーテールの女の人が僕を見て手招きをしている。


 背の高い人で、足元にはビーグル犬とペルシャ猫、隣にはタキシードを着たゴリラ(!)さんが、付き添うみたいに立っている。



「ウチやで~、ウチ。

 ちょっとこっちにおいで~な」



 何か、僕に用があるのかな?


 スズメさんに目を向けると、しっかりと頷いてくれた。


 知らない人だけど、スズメさんのOKが出たなら大丈夫だよね!


 てゆーか、動物たちが気になって仕方無いんだよー!



「あ、あのー。こんにちは…」


「ふっふっふー、こんにちは~。

 まず自己紹介…の前にー。

 ウチが怪しくないお姉さんやって、説明しとかなあかんね」



 確かにびっくりしたけど、びっくりはしたけど。


 いきなり大きな声を聞いたから驚いたのであって、別に不審者だとは思ってないんだけど。


 でも、大丈夫ですって伝える前に女の人が話し始めちゃった。



「このゲームな、初心者さんとかお子供さんとかが初めてプライベートエリアから出た時に、近くのプレイヤーにナビゲーターから依頼が入ることがあんのよ。

 ちょっと色々教えたって~言う感じの」


「あー、それで声かけてくれたんですかー。

 スズメさんがお願いしてくれたの?」


「あかん、あかんでー君ぃ。

 さっきから、君のナビゲーターはん、しゃべっとらんやん?

 それな、プレイヤー同士が交流しとる時に、ナビゲーターは前に出てこんのがデフォルトやねん」


「んー、言われてみれば。

 スズメさん、ちょっと距離が遠いかも?」


「せやな。こーゆー時、あの子ら一歩引くねん。

 ここの運営、プレイヤー間の交流に肯定的みたいでな?

 特に、未成年にはまぁ優しいで~」


「確かに、ホームから出ると、アニガーがもっと楽しくなるって言ってたかも」


「せやせや。それにな、ナビゲーターって、自分のトコの子~しか見れんねん。

 ウチの子、今ここに居るねんけど、見えへんやろ?」



 くるくると手首を回して、左肩の横辺りを指さしてくれるけど、僕には何も見えない。


 この人も、からかって遊んでるワケじゃなさそうだし。


 そうなると、スズメさんも僕にしか見えないってこと?



「僕のナビゲーター、スズメさんって言うんですけど、見えませんか?

 僕の左後ろの、頭の高さ位に居るんですけど」


「見えへん見えへん。

 アニガーのナビゲーター、ホンマにプレイヤー専属でな。

 自分に着いてくれた子ぉ以外、見えんし触れもせんねん」



 あわー。


 スズメさんって、ホントに僕の専属ナビゲーターなんだね。 


 ログインしてる時はいつも一緒に居てくれてるし、この世界のことを何でも教えてくれる。


 ログアウトしてる時だって、ツキノの面倒を見てくれてるって話だし。


 うーん。


 それだけでも十分すぎるほどありがたいのに、僕のためだけに頑張ってるって聞いちゃったら。


 もう、ますます頭が上がらなくなっちゃうなぁ。



「よっしゃ!これで不審者認定もされへんやろ!

 ウチ、ナビゲーターに推薦される、優良プレイヤーやからね!

 遅くなってもーたけど、自己紹介いっとこか!

 ウチ、ナナミ!

 難波のナナミちゃん、二十歳の大学2回生や!

 よろしゅうな~」


「あ、僕、佐藤麦です!

 中学3年生です!

 よろしくお願いします!」


「あ~、元気がええのは花丸やけども。

 君いま、本名しゃべったやろ?」


「…あ」


「あかんで~、個人情報は隠してかな。

 厄介ごとに巻き込まれるで~?」


「ご、ごめんなさい。

 えと、アニガーでは、ウィートっていいます」


「ウィート君な、よろしゅうに~」



 は、恥ずかしい。


 お姉さん…ナナミさんが普通の名前に聞こえちゃって、つい自分の本名で自己紹介しちゃったよ!


 あわー。


 個人情報は大事だって、お父さんともいっぱい話し合ったのにー。



「まぁまぁ、そない真っ赤にならんでも大丈夫や。

 こういう経験積まさすために、今回みたいな機会がセッティングされんねやからな。

 それに、本名の部分は聞こえへんかったで?

 ナビゲーターがあかん空気を察知すると、そこの音声を他人に聞こえへんようにしてくれんねや。

 ウチも初めて見たけど、口の動きまで止まるんやね~」


「うー、次から気を付けますー」


「まぁアニガーん中なら、ナビゲーターが助けてくれるしな。

 意識しすぎて、現実で『僕ウィート!』なんてやらかす方が赤っ恥やから、そっちの方気ぃつけんとー」


「…それはヤバイ。

 4月から高校生だから、気を付けなくっちゃ!」


「あ~、中学生言うとったもんね。

 気ぃつけや。

 初日やらかすと、3年間、ドギツくなるからね…」



 ウチの、甘酸っぱい青春…って呟いてるナナミさんの目が淀んでいる気がする。


 なんだか、深く突っ込んではいけない気がするよ!


 よくわからないけど、よくわかったこともある。


 高校最初の自己紹介は、気を付けよう! 




 ~~~~~~~~~~~~~~~




 ナナミさんと、お互いのペットを紹介しあった。


「ゴリスチャンや。

 リスちゃうで。

 ゴリラの執事で、ゴリスチャンや」

「ウホ」

「タキシードが恰好いいねー」

「きゅまー」

「ちなみに、女の子やで」

「ウッホ~ン」

「あっ、そうなんだ。

 可愛いの方が良かったかな?」

「嘘やけど」

「ウホ」

「!」


「ピーナッツや。

 先月まで幼生体やったけど、趣のある子犬でなあ」

「ワンッ!」

「わー、モフモフだー!

 子犬のときも見たかったなー」

「きゅまきゅまー」

「オネェやで」

「ワッフ~ン」

「…えっ、そうなの?

 僕、オネェの人…犬?初めて会うよー」

「嘘やけど」

「ワン」

「!」


「キャッツ・愛や。

 宝石の名前から貰うたで。

 まだ幼生体やねん」

「にゃん」

「可愛いねー!

 子猫ちゃん、可愛いねー!」

「きゅまま~」

「夜は怪盗やで」

「にゃっ☆」

「…嘘だよね?」

「嘘やけど」

「にゃ~ん☆」

「…」

「きゅまっ☆」


「…気を取り直して、ツキノワグマのツキノです。

 まだ出会って4日だけど、僕の家族です!」

「きゅま!」

「おー、おでこの三日月が恰好ええね!

 名前、カッペーにせんかったん?

 うさぎちゃんとか、宗近もええね!」

「え?かっぺいですか?

 むねちかもかっこ良いけど、うさぎは何でです?クマですよ?」

「きゅまー?」

「…いや、ええねん。

 オタクが本能で口走った、ただの妄言やねんて…」


方言については、雰囲気でキャッチして頂けると幸いです。

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