表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Animal Garden  作者: slowly
PR
27/57

central bazaar

『central bazaarへの転移完了。

 二人とも、もう目を開けて大丈夫ですよ』


「了解っと…あわーぁ!」


「きゅまー!」



 ホームからバザールに移動するのに、特別な移動手段は必要なかった。


 ホームは星そのものって話だったから、宇宙船とかワープポータルとかが移動手段になるのかと想像してたんだけど。 


 目を閉じて、ふわっとした浮遊感を感じたら、もう移動が終わってた!


 ログインしてから、ホームに降り立つときの、あの感じ。


 違うのは、最初に感じたのがスズメさんの声と、ツキノの手の感触で。


 雑踏の中に居る時の、あの騒めきの音と、人の匂い。


 ちょっとした衝撃に、肌が粟立つのがわかる。

 

 今までも、地平線の彼方まで広がる草原とか。


 一瞬で建っちゃうオシャレなログハウスとか。


 アニガーを始めてから、驚くことも感動することも、沢山あったけど。 


 あくまでそれは、自分だけの世界で起こったことだったんだ。


 ここは、バザールは、全然違う。


 僕の目の前を、沢山の人が行き交っている。


 ちょっと、情報が処理できなくて、眩暈が起きそう。


 僕自身が人混みが苦手ってわけじゃ無いんだけど。


 学校での集団生活も送れてるし、電車に乗って遊びに行くことだってあるし。


 そうじゃなくて、落差が激しかったっていうのかな?


 凄く静かに、ツキノたちとわいわい騒ぐ程度だったところに。


 急に多くの人が集まる場所に出ちゃって、びっくりしちゃったのかも。



『プレイヤーから、外部の雑音を低減させます。

 ウィートさま、大丈夫ですか?』


「きゅーま?きゅまきゅま?」


「あ、うん。大丈夫大丈夫!

 ちょっと驚いちゃっただけだから!

 2人とも、ありがとうね」


『念のため、外部の音は抑えておきますね。

 転移前から、もう少し周りの音を抑えておくべきでした。

 申しわけありません、ウィートさま』


「全然大丈夫だよ。

 気にしないで、スズメさん。

 今の驚きだって、体験してみなきゃわからなかったことだもん。

 最初から守られてばっかりじゃ、面白くないしね!」


『ウィートさま…

 お心遣いに感謝します。

 以降、より注意を払ってお世話をさせて頂きます』


「ほどほどで大丈夫だからね?

 家族なんだから、気楽にやろうよ。

 ツキノは大丈夫だった?

 人が多くて、びっくりしなかった?」


「きゅむむ」


「やっぱり驚いた?

 沢山の人が居るもんねー」


「きゅむー」



 スズメさんのおかげで、周りの音は聞こえるかどうかって小ささになったけど。


 歩く時の、靴が地面を蹴る音。


 沢山の人の声が重なって、がやがやとした雑音に聞こえる。


 話しながら歩いてる人が通り過ぎていく感じも、何だか新鮮味が感じられて。


 ここの環境に慣れてきたのかな。 


 現実の世界の、休み時間の教室と同じように思えてきた。


 人が多いのに、街中って感じが薄いのは。


 車の音とか、お店の音楽とか。


 機械の音が無い分、人の出す音がはっきりと聞こえるからかもしれない。


 どこからか軽やかな旋律が聞こえてくるから、全く音楽が無いってことじゃないみたいだけども。


 それでも、耳で捉えられる音の大部分は、人が発する音で占められている。


 こんな体験、初めてだ。


 ホームで、大草原に1人立っていた時の静けさとはまるで違うのに。


 ちょっとだけ、同じような感覚を覚えてる。


 こんなに賑やかなのに、不思議だね。


 思わず、ツキノの手をぎゅっと握っちゃった。



「きゅーま?」


「…んーん。

 ツキノは可愛いね。

 にぎにぎ、むぎゅむぎゅ」


「きゅむきゅむ♪」



 なんだか、不思議な気持ちになっちゃったけど。


 右手に感じる温かさが、僕を元気づけてくれる。


 そう、今日はこの子にとっても初めてのお出かけなんだから。


 僕が急にナイーブになってる場合じゃないんだよね!


 びっくりして、感傷的になってた僕はもうおしまい!



「初めてのバザール、探検していくぞー!」


「きゅまー!」


『おー!…ふふ。

 では、簡単にご説明しますね。

 central bazaarは、world's fieldsの中央に位置する、現在のAnimal Garden日本語版において最も大きな街となります。

 我々が今立っている中央エリア上部は、マーケットエリアです。

 ホームエリアでinterfaceから行う買い物との違いは、同じ商品でもより多くの種類を扱っている。

 プレイヤーの注文で、一点もののアイテムが出来上がる。

 投影とは違い、現物を見て確かめることができる。

 安売りをすることがある。

 といったところでしょうか』


「一点ものにも心惹かれるけど。

 やっぱり安売りが気になるよねー」



 今の僕たちは文無しだから、いくら安くなっても仕方ないんだけどね。


 …まずはお金を稼がないと!



『中央エリア下部には、飲食店が立ち並んでいます。

 和洋中から甘味から辛味まで、色々な料理が楽しめます。

 ホームでも簡単に料理をすることができますが、初期費用や材料費、手間暇がかかります。

 ここではGPが嵩む分、美味しいものをすぐさま楽しむことが可能ですね。

 未成年のウィートさまには関わりない事ですが、アルコールの摂取も可能です。

 ただ、この世界では酔いを感じる事はありません。

 あくまで、味覚や嗅覚で楽しんで頂く嗜好品です。

 それでも、未成年の飲酒・喫煙が許されないのは法律の通りです』


「いいね、美味しい物!

 折角なら、2人にはまず僕の料理を食べさせてあげたいけど。

 家族で外食っていうのも、目標の1つにしておこう!」


「きゅま!きゅまま!」


『はい。楽しみです。

 西エリアは、屋内作業が主となる施設群ですね。

 編み物や料理、ビーズ等で小物づくりができる教室があります。

 読書ができる図書館や、飲食可能な共有スペースも。

 ボードゲームやカードゲームを楽しめるのもこのエリアです。

 材料費はかかりますが、工具を貸し出す教室もありますので、自分で家具を作ることもできますよ。

 Do It Yourselfを楽しむことができますね』


「憧れのDIYだ!

 やりたいと思っても、最初の一歩目が難しいんだよねー。

 アニガーでできるなら、挑戦しちゃう?」


「きゅまま?」



 日曜大工っていうか、木材から使える家具を作り出すって、憧れちゃうよね!


 ただ、道具を揃えたり、やり方を覚えたり。


 怪我をするのが怖かったりもするし。


 なにより、作業するだけのスペースの確保が難しくて…


 なかなか手を出せないでいたけど、ゲームの中で挑戦できるなら、理想的な環境って言えるんじゃない?



『東エリアは、娯楽エリアになります。

 音楽の演奏や、歌唱・合唱イベントが催されます。

 演劇に挑戦できたり、鑑賞することもできますよ。

 ダーツやボウリングも楽しめます。

 競馬場…の様な施設も有り、成人の方であればGPを賭けてのやり取りも許可されています。

 ただし、一日に賭けられる通貨はGP・GC共通で上限が設定されており、Animal Gardenには借金という概念が存在しません。

 掛け率もある程度のラインで調整されていますので、一攫千金を狙うことはできません。

 あくまで、アクセントとして楽しめるという程度にお考え下さい』


「あわー。

 まぁ、ギャンブルに興味はないけど。

 お馬さんって格好いいよね!」


「…きゅむーん」



 確か、ペットにできる動物の種類に、お馬さんは居なかったはず。


 だったら、アニガーでお馬さんを見れる唯一のチャンスかも?


 もしかしたら、ふれあいコーナーとかあるかも!


 あわよくば、乗れちゃったりとか…!


 ちょっと焼きもち?…な、ツキノくんには。


 手をにぎにぎして、ごまかされてもらって。

 

 いやー、お馬さんにはロマンがあるんだよー!



『北エリアは競技場です。

 サッカーや野球などの球技ができるグラウンド。

 バスケットや卓球が楽しめる体育館。

 徒競走やマラソンができるコースも用意されています。

 競泳専用のプールもありますよ。

 全体的に、運動的なイベントが楽しめるエリアと言えますね。

 チームスポーツは、あらかじめチームを組んで参加することもできますし、一人で飛び入り参加することもできます』


「あわわ。僕の苦手なエリアだー」


「きゅーま。きゅま!」


「ツキノが頑張ってくれるの?

 うーん。

 それなら心強いけどー…」



 どうしても、運動主体のエリアには近づき辛いんだよね。


 幼馴染たちの応援とかなら兎に角、自主的にっていうのは…ね。


 ツキノの運動もホームでできるし、ちょっと後回しでいいかなーって感じ。



『南エリアは遊技場エリアですね。

 北エリアとの違いは、競技に重点を置かない点です。

 サッカーよりも、リフティング。

 野球よりも、キャッチボール。

 短距離走よりも、お散歩。

 競泳ではなく、水遊び。

 運動的なイベントも楽しめながら、北エリアよりも敷居の低いactivityが用意されています。

 GP効率という点では優れませんが、のんびりと楽しみたいプレイヤーに人気のエリアとなっています』


「それ、いい!

 すごくいいよ!

 一番行きたいエリアだ!」



 ゆる~く遊べるエリアって、かなり理想的かもっ!


 結局のところ、僕はツキノと楽しく遊びたいんだもん。


 GPは欲しいけど、キツキツな感じのアクティビティに挑戦したいかっていうと…


 南エリアは、そんな僕でもゆっくりまったり遊びながら、GPも少しづつ貯められそうっていう、かなり良さそうな感じがする!


 今から通い詰めちゃいそうな予感がするねっ!

ブックマーク登録・評価ポイント・いいねを付けて頂き、ありがとうございます。

読んで貰えて、嬉しいです。

がんばります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ